G3 2024年新潟記念:中間考察
皆さんこんにちは。
バークレーでございます。
先週のキーンランドCと新潟2歳Sは久々に本当に悔しい結果となりました。キーンランドCは本命は頭で来るものの相手が選べませんでした。新潟2歳Sは本命対抗は着内に来たものの、頭を選ぶことができませんでした。いやぁ、久々に悔しいです。今週は夏競馬最後のレース、新潟記念の中間考察を書いていきます。いつも以上にデータ分析と数字から見えてくる情報からの考察に時間を掛けました。最近は月曜に1日掛けて考察を書くのがルーティンとなっているのですが、今回はあまりの悔しさに日曜日もほぼ半日データ分析に時間を費やしました。その中で今回のポイントになることがある程度見えてきたように思います。これは枠順や騎手が確定する前の考察です。私は何かの大会で優勝したことやメディアに取り扱われたことなどもない予想家です。考えて競馬を予想することの楽しさをひたすら追い求めているオタクでございます。その辺を踏まえて読むなりフォローするなりしていただければと思います。よろしくお願いします。では早速考察を始めていきましょう。
G3 新潟記念:予想基本方針
G3 新潟記念:新潟芝2000m左外回り
【コース形状考察】
こちらが新潟記念が行われる新潟芝2000m左外回りコースとなっています。スタートは2角ポケット地点からとなっています。3角までの距離は948mとめちゃくちゃ長くなっているのが特徴の一つでしょう。ただ前にも述べたことがありますが、最初のコーナーまでの距離が長すぎるというのも実はテンが落ち着きやすい要素の一つとなります。これだけ初角までが長いのだからテンは速くなるだろ!という声が聞こえてきそうですが、まずは次のグラフをご覧ください。
過去16年の新潟記念の中で、良馬場にて開催された年は14回あります。その前後半タイムをまとめたものになります。本来であれば逃げ馬考察の時に登場するこのデータですが、14回の開催のうち11回は後傾ラップであることが分かります。スタートから3ハロンもの間ハナの争いを続けていくことが逃げ馬にとって、あるいは前目で競馬をしている馬たちにとって得策ではない要素がいくつかあります。まず一つは「コーナーのカーブがきつい」ということが言えるでしょう。例えば新潟2歳Sで考えた時も、スタートから初角までは550m、いわゆるコーナーを走り始めるのはスタートから4ハロン目ということになっていましたが、明らかにラップ的には緩んでいます。
2024新潟2歳Sラップ
12.5→10.8→11.7→12.7→12.0→11.7→11.1→11.7
この太字の部分がコーナーということになりますね。2歳重賞は前が緩む傾向がもちろんあるのですが、それでもコーナーでペースが緩むのは古馬重賞でも同じです。コーナーのカーブがきついということは、スピードが速すぎると遠心力が掛かってしまい外側に膨れてしまいます。そうならないように向こう正面の時点からペースを緩めておく必要があるということになります。もう一つは「直線の長さ」でしょう。新潟競馬場外回りは日本の重賞の中で千直を除き最も長い直線ということになります。その長さは659mとなっています。当然この最後の3ハロン分ある直線勝負になるのが新潟競馬場外回り最大の特徴になりますので、この直線でしっかり脚を使えるための余力を残しておかねばなりません。だからこそ初角までが長い割には前半が流れるペースになりにくいという結果を生み出すのでしょう。皆様は前半1000m平均タイム59.99秒という時計にどのような印象を持たれますでしょうか?上記の説明だけではどうしても「印象」だけで語っているように感じるでしょう。客観的にどうなのかを考えるためにも、今まで行われた主な2000m重賞の前半平均タイムも念のために見ておきましょう。
金鯱賞はある程度期間が空いた後の中京開幕週、洋芝が補填された後なのでテンに関してはかかりやすくなる傾向が少しありますし、坂からスタートをするのでどうしてもテンは遅くなりやすくなります。中山金杯は例年荒れた冬の中山競馬場ですので時計がかかりやすいと判断できるでしょう。フローラSはご存知の通り東京2000mなので、スタートからすぐにコーナーを迎えるヨーク競馬場のような形状をしています。そう考えれば新潟記念はやはり前半でそこまでタイムが速くなりにくい重賞であるということが言えそうです。
【断面図考察】
次にコースの断面図をみていきましょう。前半が流れる展開になりにくいというか、直線前に脚を溜めておきたい騎手の心理が集中する部分であることもわかります。
こちらが断面図となります。関屋記念の時にも少し解説をしましたが、新潟競馬場というコースは外回りのみ道中に坂が設置されています。その坂は3角に差し掛かる手前から始まり、ちょうど1000mを通過する部分で坂の頂点を迎えます。そこから3角を曲がっていく間下っていくという形状になっています。どうしても下り坂というと、そこでペースが上がる印象を持ってしまいますが、先に述べた通り新潟は直線が非常に長くなっています。ここでペースを上げてしまうと逃げ馬はさすがに持たないわけです。だからこそこの下り坂でペースを抑えるという騎手心理が働くのでしょう。また、この青で囲んだところでペースが緩んだ時、後続馬がペースを上げるのも正直難しいです。ここでペースを上げてしまうと、後続馬にとってはとてつもなく長い距離で上がりの脚を使わなければなりません。したがってこの青の部分でペースを緩めることは、逃げ馬にとっては「最適解」であると言えるのです。
G3 新潟記念:逃げ馬考察
【逃げ馬考察】
続いて私の予想の根幹を担う逃げ馬の特定を行っていきたいと思います。
まずはいつもの通り、直近5走で逃げたことがある馬を調べていくことにいたしましょう。馬名の横にある数字は直近5走で逃げた回数を表します。
■逃げ馬候補■
アリスヴェリテ➌・レッドラディエンス➊
今回はなんとたった2頭しか該当しませんでした。そして逃げた回数にも差があるところから、逃げる意思に関してはアリスヴェリテの方が強そうであることも分かります。本来はここで逃げ馬を決定しても良いのかなと思うのですが、さすがにあっさり決まり過ぎてはどこかに「隙」を残してしまっているような気がします。テン速さ比較も見た上で逃げ馬を特定していくことにいたしましょう。
こちらがテン速さ比較となります。直近3走の前3Fタイムを調べ、そのタイムを2000mに換算した上で、最後に馬場に関しても考慮に入れた行き脚の速さということになります。MINというのは直近3走で最も速いテン、MAXはその逆ということになります。新潟記念過去レースにおける前3F平均は35.84秒となっています。それをテン平均で上回るのはアリスヴェリテのみ。テン平均2位のシンリョクカとは0.5秒近くの差があります。2位のシンリョクカは今までキャリア8戦。その中でハナに立ったことは一度もありません。前走福島牝馬Sでは3角手前で転倒し、キ甲に3か所ヒビが入るという怪我を負いました。脚ではないので行き脚に影響はそこまでないとは思いますが、怪我の影響は多少はあるでしょうし、3走前の日経新春杯では、前34.1秒という速いペースで進んで10着と惨敗しています。その後の中山牝馬Sでは前37.8秒で3着。好走するパターンを考えてもハナというのは考えにくいかなと思います。バラジに関しても考えておきましょう。この馬はキャリア21戦ですが、途中でハナに立ったことが1回あるだけで、基本的には好位からの競馬が中心となっています。直近では今年の金鯱賞で前35.8秒で進んでいるというデータがありますが、この時は11着。やはり基本はペースを落としたいタイプと考えられるでしょう。ここまではアリスヴェリテがハナを切ることを妨害できるような馬たちではないように感じます。唯一気になっているのが直近で逃げた経験を持つレッドラディエンスではなく、青字で表記したジューンアヲニヨシでしょうか。前々走烏丸S2400mで前34.6秒というタイムを刻みつつ逃げ切っています。長距離適性もありそうですし、今回その烏丸Sの時と同じ鞍上池添騎手が乗るということで、少し不気味さを感じています。烏丸Sは名前からも分かる通り京都競馬場で行われるレースです。こちらも新潟と同じ道中で坂が設けられているコースですからなおさら不気味ですよね。まぁ、そうはいってもテン平均には差がありますから、あくまでも枠順が決まった時、ジューンアヲニヨシが内側に入った時に警戒をすることにいたしましょう。今回はアリスヴェリテが比較的「楽に」ハナを切ると予想します。
【ペース考察】
ではアリスヴェリテがハナを切ると考えて、実際のペースはどうなるのでしょうか。もう一度前後半ペースを見てみましょう。
アリスヴェリテは逃げる意思はあるものの、「いつも速いテンを刻む」というわけでもありません。3走前四国新聞杯は重馬場ではありましたが37.7秒で走っています。ただ、それ以外は基本的に34秒台後半のラップで逃げています。これをどう考えていくかでしょう。今回の斤量は53㌔。前走は50㌔という恵まれた斤量でしたので一気に3㌔ほど重くなるということになります。斤量53㌔を背負ったことは過去にもありますが、どのようなテンの速さで前半走っているのでしょうか。
2走前:2勝クラス→前34.5秒「1着」
3走前:1勝クラス→前34.7秒「1着」
7走前:1勝クラス→前36.3秒「2着」
いずれも条件戦ということなので参考になるかは考えなければなりませんが、今回アリスヴェリテが背負う53㌔という斤量は行き脚を鈍らせるような重さでもないように感じます。本当は55㌔くらい背負うかなと思っていたのですが、世界最高峰と言われる日本のハンデキャッパーは53㌔という絶妙な斤量を課してきました。2走前の京都競馬場2勝クラスにおいても34秒台半ばで走って117.8秒と好時計を出していることを考えても、今回もそこまでテンの速さは鈍らないのではないかと考えます。少なくとも34.7~34.9秒、いわゆる35秒は切るようなペースで走ってくるのではないかと予想します。そうなると結構隊列は縦長になってくるのかもしれません。これは隊列予想がいつも以上に大切になってきました。
G3 新潟記念:能力比較
【能力比較考察】
では続いて出走馬の能力比較を行いたいと思います。新潟記念は荒れる重賞と言われますが、それでも新潟外回り自体は能力差がはっきりでる競馬場だと私は考えています。ではなぜ荒れると言われるのか、それは前半ペースが予想以上に緩むことがあるからです。さて、その前後半ペースについては今まで述べてきたと思いますので、ここでは純粋に馬の力関係を考えてみたいと思います。まずは持ちタイムの比較から行っていきましょう。
持ちタイムはファユエン、アリスヴェリテ、エーデルブルーメの3頭が当確ラインになってきました。ただ、この数字だけを盲目的に信じてしまってはいけません。時期や場所によっては時計が出やすかったものもあるわけなので、個々をしっかり分析していきます。まずファユエンですが、この時計は前走中京競馬場で行われた小倉記念で記録したものになります。夏の中京というのは時計が出やすくなる場合があります。鳴尾記念が中京で開催されていた時期も異様な時計の速さでした。そしてその小倉記念でファユエンは8着という結果で、勝ち馬とは1.2秒も離されての着順だったということを忘れてはなりません。高速馬場の結果ある程度時計自体は出ていましたが、レースとしては対応し切れていないと判断すべきではないでしょうか。難しいのはこの時ファユエンよりも上位にいた馬たちが新潟記念では出走していないというところでしょうか。アリスヴェリテに関しては前走マーメイドSで記録したタイムとなります。こちらも斤量が50㌔とかなり恵まれたものだったことが大きな要因になったと思います。今回もこのタイムを出せるとは思えません。それならば同じくマーメイドSで54㌔を背負って2着となったエーデルブルーメの方が評価はできるのではないかと思います。50㌔で117.2秒、かたや54㌔で117.6㌔です。その差は0.4秒となっています。
一方斤量を結構背負った上で好タイムを出している馬が次点グループでしょうか。レッドラディエンスは前走七夕賞にて57㌔を背負っていてこのタイムを出しています。キングズパレスについても同じく七夕賞で57㌔を背負って好タイムを出していますし、キングズパレスのこの118.0秒というのは58㌔を背負った府中Sでのタイムとなっています。2頭ともある程度馬格のある馬とはなっていますし、そこまで過去最高タイム時の斤量との差がないことを考えれば有力なのではないかと考えられます。そういう意味ではラーグルフは55㌔を背負った甲斐路Sで記録したタイムですので2頭ほどは評価できないのかなという感じがします。
したがって持ちタイム能力比較は…
当確ライン「エーデルブルーメ・レッドラディエンス・キングズパレス」
次点ライン「ファユエン・ラーグルフ」
このように考えることができるでしょうか。
では続いて「上がりタイム」で能力の比較を行っていきたいと思います。
こちらは上がりタイムの能力比較となります。
こちらでもファユエンが非常に良い数値ということになりました。ただ、先ほどの持ちタイムとは少し意味合いが異なります。ファユエンが記録した33.2秒という上がりはこれまた夏の中京競馬場で出したものになります。昨年7月の関ケ原Sでのタイムですね。この時はしっかり1着に入っているというのが一番の違いということになります。ただこの時の前3ハロンは38.0秒とかなり緩いペースでファユエン自身進められたことがこの上がりを作り出しています。そして前1000mが63.1秒と強烈なスローだったこともあり隊列がそこまで縦長にならず、残り4ハロンのロンスパ勝負という形になりました。これが好走した要素だと考えると今回そのパターンに当てはまればという感じでしょうか。ちょっと当確ライン確定までは言えないと思います。レッドラディエンスについても同じようなことが言えます。この上がりを記録した時の前3Fが非常に緩いものでした。やはりこの上がりのタイムに関しては、前3Fタイムとセットで考えた方が良さそうです。今回も前3Fのタイムと合算したものを見てみることにいたします。
結構順番が大きく変わることが分かりました。
改めてここから個々に分析していくことにいたしましょう。アリスヴェリテの記録はデビュー2戦目の野路菊Sで記録したものです。正直この時の同レースは少頭数ではあったのですが結構時計的にもメンバー的にもレベルが高いものでした。ただね…さすがに少頭数の2歳限定OPですからね…。そのまま鵜呑みにはできません。エーデルブルーメが記録したのは1勝クラスではありますが今回と同条件の松浜特別でのことでした。53㌔という斤量はある程度誤差の範囲内。前3ハロンも36.5秒とある程度流れた中での上がりとなっています。スローではありますが最後3ハロンを目一杯使っての上がりとなっていますので一定の評価はできそうです。上がりの脚、そして前3ハロンとのバランスで考えるとエーデルブルーメが最も良い数値と結論付けて構わないのではないかと思います。
当確ライン「エーデルブルーメ」
次点ライン「アリスヴェリテ・ファユエン・ラーグルフ・バラジ・キングズパレス」
さて、ではこれまでの情報を一気にまとめて総合評価を見ていきたいと思います。
能力比較総合評価はこのようになりました。
★能力比較考察該当馬★
当確ライン
エーデルブルーメ➃・キングズパレス➂
次点ライン
アリスヴェリテ➄・ファユエン⑫
ラーグルフ⑧・レッドラディエンス➁
総合評価は上記のようになりましたが、何といっても今回の新潟記念はハンデ戦ということになります。今までもハンデについて言及はしてきましたが、実際に背負う斤量と過去の最高タイムとの相関性を考えなければ答えには近づけません。キーンランドCでも行いましたが今回も斤量と持ちタイムとの相関表を作成してみました。
このようになりました。
過去最高の時計を出した時の斤量と新潟換算のタイム、そしてその時の斤量と今回ではどれくらいの差があるのかを表にまとめたものになります。相変わらずファユエンに関しては優秀だと出ますが、それは持ちタイムのところで述べた通りです。ベストタイムが稍重だったアスクワイルドモア、2000m経験の中でベストタイムが新馬戦になってしまったゴールドプリンセスとジューンアヲニヨシはそこからの成長分も加味して補正を行っております。またジューンアヲニヨシはデビュー戦が重馬場でしたのでその補正もかけました。今回は実は有力馬が「前走七夕賞組」「前走マーメイドS組」に分かれています。この部分だけはハンデキャッパーがどんな基準で決めたのかほんのわずかな要素ではありますがヒントは得られそうです。
■マーメイドS組■
アリスヴェリテ50㌔「117.2秒」→今回53㌔
エーデルブルーメ54㌔「117.6秒」→今回54㌔
※2頭の前走着差0.4秒=3㌔増=1㌔0.13秒
ちなみにファユエン53㌔「117.6秒」→今回53㌔
■七夕賞組■
レッドラディエンス57㌔「117.9秒」→今回58.5㌔
キングズパレス57㌔「118.2秒」→今回57㌔
※2頭の前走着差0.3秒=1.5㌔増=1㌔0.1秒
こんな感覚でしょうか。少なくともこの2レースについてのハンデキャッパーが斤量を決めた要素の一つにはありそうです。おおよそで考えると基本は1㌔増で0.1秒、牝馬であれば牡馬よりも斤量の負担率が高くなると考えられるので1㌔増で0.13秒程度で計算した上で換算しているのかもしれません。ちなみにハンデキャッパーがこの時計の要素だけでハンデを決定しているとは到底思えません。あくまでも考え方の一つであり、レースの距離によっても変わってくる可能性があります。今後もここは研究を重ねていきたいと思っていますので、今回はあまりにも短絡的な考えに思われるかもしれませんが許してやってください。
さて、話を戻すと、今回のハンデを踏まえた持ちタイムでは上位5頭「ファユエン・エーデルブルーメ・アリスヴェリテ・キングズパレス・レッドラディエンス」あたりがやはり優秀であるという風に判断できるかと思います。これは能力比較総合評価で残った馬たちともほぼ一致します。
G3 新潟記念:ラップおよび隊列考察
【ラップ&隊列考察】
今回は久しぶりにこちらの考察を復活させたいと思います。少頭数だからこそできることではありますね。まずはラップの視覚化から見ていくことにいたしましょう。
こちらがラップを視覚化したものです。
ラップ全体からも後傾ラップになる傾向が強いということが分かりますが、今回はもしかしたらこのレースには珍しい前傾ラップになるのかもしれない年だということがここまでの考察で分かりました。しかしそうなったとしてもゴール手前3ハロン目のあたりからスパートが掛かるのは同じです。むしろ手前4ハロンあたりからペースが上がり、そこからの上がり3ハロンでラップとしてのピークが来て、最後は減速型のラップとなります。では実際に前傾ラップになった時、着内に入った馬はどのような位置取りで競馬をしていたのでしょうか。
やはり後ろからの馬が多いようですね…。しかし今回アリスヴェリテが「単騎」で逃げたとすると…。様子は変わって来そうです。今回はいつも最終見解にて行う隊列予想を中間考察でも実施してみたいと思います。もちろんまだ枠順は出ておりません。粗い隊列予想になることをお許しください。
まずはアリスヴェリテが34.8秒で前に出て、番手以降が0.8秒差で追走した時の隊列予想です。馬名が青字になっている馬が過去このテンの速さを経験したことのある馬たちということになりますが、こう見るとやはり好位からの競馬が優勢という風に出ました。そしてこのペースで隊列が進んでいき、直線に入った時には隊列の長さは短くなっていると考えられます。直線に向いた時、各馬がどのような上がりのタイムを持っていて、青が濃くなればなるほどこの上がり最速を出した時よりも速いペースで前半が進んだことを意味します。色だけ見ればエーデルブルーメあたりが優勢になりそうですが、レッドラディエンスあたりが好位で競馬できれあ、十分そのまま突き出ることも可能かとは思います。では、さらにアリスヴェリテが強烈な逃げを行った場合はどうなるのでしょうか。
番手との距離が1.0秒も離れた場合でも、好走ゾーンは変わりません。やはり逃げ馬との距離が離れれば離れるほど好位が優勢になるよいうことなのでしょう。そしてこのペースで進んだ場合はある程度直線向いた時、➊よりは逃げ馬と番手以降の距離が開いている可能性が高いです。そういう観点で下の上がりタイム表を見ていただくと、このペースで進むと先ほど好走の可能性があるといったエーデルブルーメに加えてバラジ、ラーグルフ、キングズパレスあたりも十分に前に進出が可能な脚が残るでしょう。そして何よりもアリスヴェリテが残るかもしれないということです。ハンデキャッパー恐るべし…。
G3 新潟記念:バークレー指数上位馬
【バークレー指数上位馬】
上がり優秀馬
1位 キングズパレス(2.0)
2位 セレシオン(1.6)
3位 ジューンアヲニヨシ(1.5)
上がり優秀馬トップはキングズパレスでした。
キャリア19戦のうち上がり3位以内に入らなかったレースがたったの2回という安定した上がりを見せる馬です。バラつきがあるとは言え、ある程度好位から競馬もできるし、状況に合わせて後ろから脚を溜めて競馬をすることもできます。そういう意味では器用なタイプと言えるでしょうか。中山でも好走が多いので操縦性の高い馬なのでしょう。2走前の新潟大賞典でも勝ち馬ヤマニンサルバムとタイム差なしの競馬をしていますし、新潟との相性も悪くないかと思います。キレがめちゃくちゃあるタイプでもないように思うのですが、今回はなんといっても馬体は素晴らしいです。心身ともに充実期を迎えていると言えるでしょう。また長距離適性があるというのもプラス材料です。今まではどうしても勝ち切れないところがあって、惜しい競馬が続いていましたが、今回は陣営の本気度も特に高いのではないかと思います。念願の重賞制覇に向けて準備は万端と言えます。
2位はセレシオンが入りました。
この馬もキングズパレスと同様に馬柱がキレイなタイプですね。こちらはキャリア11戦で9回上がり3位以内、上がり最速も7回あります。こちらは長く脚を使うタイプと言えるでしょうか。直線が長ければ上がり3ハロン目一杯使って着内に、直線が短ければコーナーから上がりの脚を使って着内に入ることができます。それこそまくりのような競馬もできるタイプです。前走はスタートで出負けしてしまいましたが、本来はある程度二の脚を使ってでも中段あたりに位置できる行き脚を持っています。私は馬柱を見る際、必ずデビュー戦で騎乗した騎手を見るようにしています。この馬はデビューから川田騎手、そして福永騎手なども騎乗した経験のある馬。まだ若駒だった頃にどういう騎手があてがわれているのか、友道厩舎であることももちろん関係するかとは思いますが、それだけ期待を背負ってきた馬であることが分かります。ただ、今回に限って言えば正直馬体があまり良くありません。状態的にはどうしても一枚劣るのかなというのが現状の印象です。
3位にはジューンアヲニヨシが入っています。
過去レースを考えれば、34秒台半ばを刻んで2400mのレースを勝ち切ったこともあるステイヤー色のある馬となっています。それだけのスタミナは有しているということになるので、枠順次第では驚くような位置で競馬をすることもあると考えていました。ただ、やはり鞍上が池添騎手ということで、最近は大きな博打を打つ騎乗をしてこないというか、ひと昔にあった曲者感は残念ながらなくなってしまっていると感じます。おそらく王道のような競馬を今回もしてくるのではないでしょうか。ステイヤー色のある馬ですから、道中緩んで上がり勝負というのは得意です。ただ、今回そういう展開にはおそらくならないと思いますので厳しいかなと思います。
コース適性優秀馬
1位 キングズパレス(2.3)
2位 レッドラディエンス(1.8)
3位 セレシオン(1.3)
コース適性トップもキングズパレスとなっています。
ここでは簡単に。デビュー戦こそ新潟1800mで9着と凡走しましたが、この時の新馬戦は正直レベルが高いです。イクイノックス、サークルオブライフ、ウィルソンテソーロにサトノヘリオスとその後重賞で好走する馬たちが揃った新馬戦でした。その後は安定した成績を出していき始めますが、特に左回りに関しては安定していますし経験値も積んでいます。だから右回りはダメということではなく、とにかく器用なタイプの馬なので左回りでも全く問題なく走るということでしょうか。
2位にはレッドラディエンスが入っています。
七夕賞では見事な脚を使って初重賞勝利を飾りました。終いの脚は安定して使えることもあってか、左回りという直線が長いコースでの好走が目立ちます。それは今まで一度も着内を外したことがないということからも分かります。好位でも中段でも競馬ができ、広い競馬場は大の得意。鞍上戸崎圭騎手も継続騎乗でコンビにも安定感があります。ただこちらも一つだけ気になることがあります。やはり馬体です…。前走七夕賞はほれぼれするような肉感の馬体だったのですが、今回はかなり絞っていてというか絞りすぎてしまっているような感じも見受けられます。もともと長い距離を走れる馬ではありますので、今回かなり絞ったことでメイチに仕上げようとしているとみるのか、それとも少し調子自体は下振れしていると考えるべきなのか…正直難しい馬体をしていることは確かです。
3位のセレシオンはすでに紹介したのでここでは割愛します。
距離適性優秀馬
1位 エーデルブルーメ(2.7)
2位 アリスヴェリテ(1.9)
3位 レッドラディエンス(1.4)
距離適性は圧倒的な差でエーデルブルーメがトップとなっています。
前走マーメイドSではアリスヴェリテに逃げ切られてしまいましたが、京都の下り坂を利用して長く脚を使い、2着に入ることができました。その時に比べると今回は少し緩めに馬体を仕上げてきているかなという風には思うのですが、持ちタイムも上がりタイムも優秀ですし、何よりも一番数値が出にくい距離適性指数で2.7という結果を出したことには驚きです。それだけ2000mという距離のレースでは結果を出してきたということなのでしょう。斤量差を考えても今回アリスヴェリテに逆転することは可能だと思いますし、川田騎手の継続騎乗というのも好印象です。
2位にはアリスヴェリテが入りました。
いやぁ、本当に今回は馬柱がキレイな馬が多いこと多いこと…。直近7戦では全て連対と、安定感を増してきた馬となります。そしてその7戦はいずれも2000mという距離となっています。1800だと少し忙しいかなと思うところもあったので、2000が本当に適性距離ということなのでしょう。この馬が今回逃げてくる可能性は非常に高くなっており、再び鞍上が柴田裕騎手に戻るということで、どんなペースを刻むのか楽しみです。個人的には思いっきり前に行くような攻めの騎乗をしてもらいたいなと思っています。馬格的にも成長期にあるように思います。465~470㌔くらいで出走してきたら面白いかもしれません。
3位のレッドラディエンスはここでは割愛します。
総合指数上位馬(途中経過)
1位 キングズパレス(14.224)
2位 レッドラディエンス(12.911)
3位 エーデルブルーメ(12.823)
4位 ライトバック(12.583)
5位 アリスヴェリテ(11.755)
参考資料(昨年総合指数)
1位 サリエラ(11.838)7着…
2位 バラジ(11.264)5着
3位 プラダリア(11.199)4着
4位 グランオフィシエ(10.504)11着…
5位 ノッキングポイント(8.897)🥇
参考までに昨年の総合指数を載せましたが、指数そのままという感じにはならないのが新潟記念の難しさです。ただ、今年の指数は昨年から結構改良を加えたものになります。精度もだいぶ上がってきていると実感しているので昨年よりは参考になるのかもしれません。
ここではライトバックについて本当は分析をしようと思ったのですが、最終見解に持ち越しさせてください。ちょっと判断が難しすぎて…もう少し考えさせてもらいたいです。
G3 新潟記念:中間考察該当馬
★中間考察該当馬★
【軸候補】
エーデルブルーメ➃・キングズパレス➂
【相手候補】
アリスヴェリテ➄・ファユエン⑫
ライトバック➀・ラーグルフ⑧
レッドラディエンス➁
今回の中間考察該当馬はこの7頭で行きたいと思います。
ここから少しずつ絞っていきたいと思います。
今回の考察は以上です。
今週は週半ばはほとんど仙台に出張となっているため、小倉2歳SはXにてポストしようかと思っています。日曜日分の最終見解はおそらくいつもよりも1日遅い土曜日に公開することになります。考える競馬の楽しさをみんなに知っていただきたくて中間考察を書き続けています。短期的な収支のためならば他の方を参考になさってください。本当にすごい人たちが他にたくさんいますので。ただ、考える競馬を楽しんでくださって、いつも応援してくれる方々のために、私は今後も記事を書き続けます。どうぞよろしくお願いいたします。