
スウェーデン、人口危機の教訓
先日、ジェンダーギャップ指数が発表されて、相変わらずヨーロッパの国々が上位を占めていました。
スェーデンは第5位と好成績です。
更に、子育てに関しても手厚い支援があるので、世界的に増加から減少に転じつつある人口増加で多くの先進国が少子高齢化に悩む中でも、スェーデンは歯止めがかかっているのです。
でも実は1930年代には少子化に悩み国の存続が危ぶまれていた国だったとは知りませんでした。
現在、非常に深刻な少子化に悩む日本は中々出口を見いだせないような状況です。
いったいスェーデンとどこが違うのでしょうか?
その一つが
家庭への支援は日本の倍
と政府の支援がとても行き届いている点です。
今日は人口と世界 下り坂にあらがうスェーデンを
*世界有数の高福祉国家
*子育て、社会全体で支える
*国の姿勢が出生率左右
とみていきながら
少子化への意識は高まったが、一貫したビジョンで対策したとはいえない
という日本の目先の対策を見直すきっかけを考えていきたいと思います。

*世界有数の高福祉国家
ウェーデンは長く中立国としての立場を守ってきましたが、ウクライナ侵攻を受けて国のあり方を大きく変えました。
でも実は過去にも国のあり方を大きく変えた経験があります。
それは世界有数の高福祉国家へとカジを切ったことでした。
その理由は出生数の急減で「国民がいなくなる」とまで言われた1930年代の深刻な人口危機が引き金になったのです。
今は、子育てのため計3年強の育児休暇を取得することもできます。男性でも「手続きも柔軟で非常に簡単だった」と手軽さをアピールします。
スウェーデンでは子が8歳になるまで両親が合計480日の有給育児休暇を取得することが出来るのです。
実はその育休は父親に90日が割り当てられています(クオーター制)
そして、取得しないと給付金をもらえなくなるという、
育休を消化しないと損をする仕組みを作って男性に子育てのサポート環境を整えました。
*子育て、社会全体で支える
今は充実している子育て環境ですが、スウェーデンの出生率は大恐慌のころ当時の世界最低水準の1.7程度まで落ち込んだのです。
その当時の子育てに関する世論は二分していました。
女性は社会活活動より
女性の自由を制限してでも人口増につなげるべきだ
一方では
人口減は人々の生活水準を高めるので歓迎だ
という主張でした。
しかしそんな主張を一喝して、国の針路を変えたのがノーベル賞経済学者グンナー・ミュルダールでした。
彼は人口減少は
個人の責任ではなく社会構造の問題
と指摘して、政府が介入して改革を進めなければならないと主張したのです。
1934年に彼が妻と共著した「人口問題の危機」を機に
政府は人口問題の委員会を立ち上げて、ミュルダールも参加しました。
38年までに17の報告書をつくり、女性や子育て世帯の支援法が相次ぎ成立していったのです。
これがスウェーデンモデルと呼ばれる社会保障制度の基礎となりました。。
国民は今、税負担は重いが「十分な恩恵を得られる」
と制度に満足しています。
*国の姿勢が出生率左右
同じ1930年代同じ問題に直面したヨーロッパ各国では明暗が分かれました。
1922~43年イタリアのファシスト体制は、人口増による国力拡大・出産奨励していました。
戦争に負けて、ファシズムの撤廃を進めるなかで、反動で人口増加政策が取りにくい雰囲気が国中を覆ってしまいました。
そして2020年の出生数は40万4892人と最少してしまいました。
そこで政府は21歳まで月に最大175ユーロ(約2万4千円)を支給する子ども手当の導入を決めたが、出遅れは否めません。
一方で少子化対策の成功したのはフランスです。
19世紀後半の普仏戦争敗北は「人口で負けたからだ」との危機感が染みついていました。
そこで仕事と家庭の両立を軸に社会制度見直したのです。
対するドイツ には「子供の面倒は母親がみるもの」という保守的な家族感を一部の人は持っています。
日本も子育ては母親の仕事で、PTAなど学校行事は母親が日中仕事を休んで参加することが普通に行われます。
専業主婦が子育てしていた高度成長期から50年近くその風習は変わっていないのです。
日本の少子化は出生率1.57で多くがショックを受けて
少子化への意識は高まったが、一貫したビジョンで対策したとはいえない
のが現状です。
まずは男性が家事を「手伝う」のではなく「分担する」という主体的な取り組むに意識を変えて、子育ては公平に2人で行うこうという意識改革をしない限り「絵にかいた餅」のままになりそうです。
子供が多いフィリピンは明るく笑い声が町中に響き渡ります。
子どもは1日400回笑って過ごすのに対し、大人は15回ほどしか笑わないといいます。
明るい国を作りたいなら、まずは子供が安心して育てれる仕組みを官民ともに取り組むべきですね。
フィリピンの情報サイトを運営しています。
幅広く情報発信しています。ご覧くださいませ