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ロンドンのエリートアカデミーでの指導。コーチの無茶振りに応えきれず少し落ち込んだ一日。

どうも、キックコーチ武者修行旅と題して1ヶ月間海外を飛び回っている田所剛之です。

今日は、ロンドンの中でもエリートが集うアカデミーにてトレーニング指導の機会をいただきました。

今回も前回の記事で書いたのと同じようにメールを送りまくった中で返信をくれたチームのところへ行って来ました。

日本にはない?独特のアカデミー

このアカデミーは小学生からユースまで全年代の子供がいて、ユースの子たちはほとんどがプレミアリーグのチームの下部組織に所属している子でした。あまり詳しくは分かりませんでしたが、おそらくそのような強豪チームの子たちがチーム練習がない日に集まって練習するような場所なんだと思います。

また、練習の形式もかなり変わっていて、僕が最初に指導した小学生たちは40人ほど来ていましたがそれを4グループ(6~12名の少人数グループ)に分けて4人のコーチがそれぞれ違ったテーマを指導し20分ごとに区切って次のコーチの元へ移ってぐるぐる回すといったものでした。

僕以外のコーチは1vs1や少人数でのボール回しを教えていましたが、子供たちに聞いたところこのアカデミーでもキックを細かく教わったことはこれまでなかったようです。

ロンドンに来てから何人かと話をしていろいろと質問してみましたが、やはりこちらにもキックコーチという存在はなくて大雑把にしか習っていないのが現状なようです。

積極性◎の小学生たち

そんな中でかなりレベルの高い小学生たちにキックを教えましたが、第一印象はとにかく純粋で積極性が高いということです。

僕の指導のスタイルでは子どもにたくさん質問を投げ掛けて意見を聞くのですが、子どもたちに試しに問いかけてみるとみんなめちゃくちゃ手を挙げるし、答え始めると話が止まらなくなるくらい前のめりに来てくれました。

また、トレーニングをしている間も自分がちゃんとできているのかを見てほしいと僕にアピールしまくってくるし、こんな姿勢の子たちは勝手に上手くなるよなと思いました。

日本にいてもそんな風な積極性のある子は当然存在していて、そういった子たちは確かに上達のスピードが速く成長幅も大きいのですが、このアカデミーにはそういった類の子がたくさん集まっていてすごいと思いました。

どうしたらこのような積極性を育めるのかは正直分かりませんが、サッカーに限らず成長のためにはそうした姿勢が非常に重要な要素だと思います。

実際今回20分だけのトレーニングでもほとんどの子がかなり上達して帰っていったのでとても良いトレーニングでした。

また、全く同じ内容のトレーニングを20分×3セットこなせたので、単純に僕の方の指導スキルもかなり向上しました。少しだけ英語での指導にも余裕ができて、見えるものが広がった感覚があります。

指導の上達にはやはり経験値が最も重要だと思います。

ブラジル人のエリート高校生の指導

小学生の指導の後、16歳のブラジル人の少年を個別で指導しました。

彼はイメージ的には元ブラジル代表のフッキのような感じで16歳ながら筋骨隆々、左利きのアタッカーでした。

最初からかなり強いシュートを打てていたのですが、キック全般をもっとうまくなりたいということで、細かく指導していきました。

できている部分が多いので、色々とすっ飛ばして一番気になる課題にアプローチしていったところかえって最初のキックを崩してしまいました。

これは僕がトレーニングを指導していてよくやってしまうミスなのですが、レベルの高い選手だからこれはできるだろうと思って飛ばしたり、言葉の説明だけで終わらせてしまったりすると後からそのツケが回ってくることがあります。

今回が完全にそのパターンでトレーニングの最中にかなり反省しました。

特に彼は非常に真面目で僕が伝えたことを強く意識しながら取り入れようとしてくれたので、基礎をすっ飛ばしてしまうと崩れやすいタイプでした。

正直うまくいかなくなったので一回全部忘れて蹴ってみてと伝えた後、基礎からやり直しました。

そうするとかなり力が抜けて最初よりも軽い力で良い球が蹴れるようになりました。

なんとかリセットできて良かったですが、日本でもよくやって来たミスをここでもしてしまったのは反省です。

ただ、彼のまっすぐな目と貪欲な姿勢はすごく刺激になりました。彼は絶対にこの先レベルの高いところでプレーすると思います。

この選手を見てこんな素晴らしい選手をサポートしたいと心から思いました。

コーチからの突然の無茶振り。エリート軍団へのキック理論講座。

ここまでは少し苦労はしたものの、かなり順調でやはりキックコーチとして自分は通用するんだと自信を深められるような内容でしたが、最後の最後に僕を受け入れてくれたコーチからの無茶振りを受けてしまいました。

その内容が、プレミアリーグの名だたるチームの下部組織に所属している子どもたち(高校生以上)の練習前に彼らにキックに関する理論を講義してあげてほしいとのことでした。

どうせならキックの練習しようよと提案してみたものの、人数が多いから、10分しか時間がないからというのを理由に断られ、講義をすることになりました。

一般的に見るとかなりの無茶振りだと思いますが、日本語であればサラッと期待以上のものを返せていた自信はあります。ただ、英語ではめちゃくちゃ厳しかったです。

エリートの彼らの鋭い目つきを感じつつ、時折頭が真っ白になりながらなんとか10分間の講義を乗り切りましたが、彼らのうちの1人が僕が説明に詰まってる様子を見て馬鹿にするように笑っているのが見えて、非常に悔しい気持ちになりました。

実際後から映像を見返しても馬鹿にされても仕方がないくらいにひどいものでしたが、だからこそとにかく悔しいのでそんな無茶振りにも平気で応えられるくらいに表現力を身につけて帰って来たいと思います。

とはいえそんな中でも真剣に僕の話を聞いて、講義の後には少し質問に来てくれたりありがとうと握手に来てくれたりする子がいて本当に救われました。

彼らのような素晴らしい選手が成功することを心から祈っているし是非ともそのサポートをしたいという思いが強くなりました。

総じて今日はかなりいい経験ができました。

明日は2件トレーニングの予定があるので、明日も頑張ります!!

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