インサイドキックの蹴り方。
・前々回はデ・ブライネを題材にキック全般について、前回はグリーンウッドを題材にインステップでのシュートについて考えました。
キック特集第三弾となる今回はインサイドキックについて考えていきたいと思います。
インサイドキックは試合中に最も頻繁に使われるキックでありながら、インステップキックやカーブ系のキックに比べてフォームについて語られることが少ないと思います。そのせいもあってか、インサイドキックについては誤解されている部分が多いので、この記事を通して新たな視点を提供できればと思います。
まずは、よく見られるインサイドキックを2パターンに分け、それぞれについて考えてみましょう。
インサイドキックの分類
・膝屈伸パターン
名前は適当に付けましたが、これは前々回のデ・ブライネのキックについて書いた記事で理想的なインサイドキックの蹴り方であると述べたものを指しています。そこでは下のクロースの動画をお手本として挙げました。
この蹴り方のポイントは、膝を屈曲させながらボールに対して脚を真っ直ぐ後ろに引き、脚をストンと落とすようにして蹴っていることです。ボールに対して脚を真っ直ぐ引いているというのは膝の向きがボールに向いていると言い換えることもできます。そこから蹴り足を振り下ろしていきながら股関節を滑らかに外旋しています(股関節を開いている)。
こうして蹴ることで、腹直筋や大腿四頭筋といった大きな筋肉を利用できるのに加え、蹴り足が高く上がるため位置エネルギーから運動エネルギーへの変換によって振り下ろすだけで効率良くスピードを得ることができます。
・外旋固定パターン
これがよく見られる誤った蹴り方です。
先ほどの蹴り方との外見上の大きな違いは膝の動きです。膝は常に外を向いていて膝の屈伸を利用せずに蹴っています。
ボールに対して面を作って当てるという意識が強いからこのような蹴り方になるのだと思いますが、蹴り足の振り幅は小さくなってしまい位置エネルギーを蓄えることができず、先ほどの蹴り方よりも力を入れて蹴らなければいけないことになります。
ここまでは以前の記事で触れた内容の補足と大まかな振り返りです。
このように筋肉の使い方という点だけでも前者の蹴り方をした方が良いような気がするとは思いますが、さらに運動制御の効率性という観点からも考えてみましょう。
良いインサイドキックとは
前回インステップキックでのシュートについて考えた際には、とにかく速いボールを蹴るためにはどうすれば良いかを考えていきました。
インサイドキックではどうでしょうか。
インサイドキックは基本的には短距離〜中距離のパスで使われます。パスサッカーと言えばバルサのtiki takaですが、彼らのパスを見ていると地面をスーーーと気持ちよく転がっていく感じがします。もちろん彼らは浮いたボールを難なく処理する能力も持ち合わせてはいますが、このような質の良いパスがこの美しいパスサッカーを支えているのは間違いありません。
ここでは良いインサイドパスの条件を浮かないこと、跳ねないこととして話を進めます。
ボールを浮かさないためには何が必要かと言うとボールに対して地面に平行な力を加えることです。加える力が斜め上に向かってしまうとボールは浮こうとしますし、逆に斜め下に叩きつけるようになってもボールはきれいに転がってくれません。(わざと叩きつけて浮かせるエジルは異次元です。)
では、先ほど分類した2パターンそれぞれでボールに対して真っ直ぐ力を加える方法を考えてみたいと思います。
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