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「出向課長奮闘記 -個性を活かしたHERO誕生の物語-」(3) 心を開く時間:1on1で築く、新しい信頼関係
メンバーの人となりを知るための1on1
出向先での課長。メンバーを「個性を活かしたHERO」にしたいと考え、メンバーの人となりを自分の目と感覚で理解するために、あえて前任者から情報を聞かずに、自分で直接ヒアリングする道を選びました。全員を集めた初顔合わせの会の終わりに、明るく「メンバー全員と1 on 1やるので予定入れてくださいね!」と伝えました。
<前回の記事はこちら>
メンバーにはテーマを持ってくるようお願いしましたが、多くが戸惑いを見せました。最初の一人目から
「え、用意してないです・・・すみません」との返答。
内心では焦り、言いたいことはありますが、ぐっとこらえて
「そうだよね。急に何を話したらいいかわからないよね」
と共感を示しました。
メンバーからは「テーマなんて、どうやって決めたらいいのか。出向してきたたけちゃんと何を話せばいいのかさえわからない!しかも1時間も!」という不安の表情を察しながら、私はある言葉を思い出したのです。
「相手の存在感を認める方法はいたって簡単です。相手の話をただじっと聞いてあげればそれでいいのです。」
「そうだ、テーマなんて決めずにじっくりメンバーの話に耳を傾けること。それで十分だ。きっと彼らが隠された想いが聞ける」と心に決めました。素直に、また興味深く聞くことで、メンバーの本当の姿を見出せると信じて、話を聞くことにしました。
1on1のルール設定
1 on 1をスタートするにあたり、ルールをきちんと説明しました。コーチングをやってきた私にとってはメンバーは初回セッションのクライントと一緒。ただ話をするだけでなく、誰にも話せない内容でも安心して話せる環境を作るためには、このルールが必須です。言いたいことも言えないこんな世の中は、POISON。
<1 on 1のルール>
1 on 1はコーチングとしてあくまでも、メンバー自身のための特別な時間として使うこと。
メンバーの成長のために、この時間を有意義に活用すること。
時には感情に焦点をあてた質問をしますが、思っていることを素直に口に出すこと
どんな意見が出ても、絶対に否定することなく私は受け止めますので出てきた言葉を率直出すこと
話した内容は上司や他のメンバーに対して、守秘義務があること
これらのルールをしっかりと説明し、メンバーにはこの1on1が「自分自身を語る安全な空間」であることを理解してもらいました。
緊張と開放の1on1
実際にセッションが始まると、最初15分はメンバーから緊張が伝わってきました。
「こんな話してもいいかわからないですが・・・」
「怒らないで聞いて欲しいんですが・・・」
「え、私話していること大丈夫ですか?」
上司に対して、自分の本音を話すことに慣れていないのは当然のことかもしれません。私も逆の立場だったら、「何の魂胆があるんだ?」と思ったこと間違いなし。
メンバーの生い立ちや学歴、それに趣味や部活動の話からスタートしました。私は相手の言葉に共感を示しながら大きめのリアクションして聞く。徐々にメンバーの本当の姿が見え始めました。
「その頃の話嬉しそうに話してましたね」
「今何か出せなかった言葉ありそうでしたね」
「先ほどよりもテンション上がって声質が上がりました」
笑顔と頷きを交えて、じっくりとメンバーの言葉に耳を傾けていきます。メンバーの話に集中しあっという間に1時間が経ちます。
「こんなに自分のことを詳しく話す機会は、本当に久しぶりです。ありがとうございます!」
1 on 1を終えたメンバーの表情は、安堵の色に満ちていました。言葉を発することで、彼ら自身の中に秘められた可能性を、少しずつ引き出すきっかけを作ることができたのかもしれません。
1 on 1を終えたメンバーから次のメンバーへ、チャットで何が行われたのか伝わったのでしょう。2人目、3人目と同じ展開に戸惑いながらカンペを用意して話すメンバーも出てきましたが、私としてもメンバーの特性を少しずつ理解することができました。
信頼関係の芽生え
個性を活かしたHEROとして活躍してもらうためには、一人ひとりに自身の能力を理解して、最大限発揮してもらうことが欠かせません。そのにはまず、私とメンバーの間に、強固な信頼関係を構築することが必要でした。
そのためのきっかけとして、一人一人と1 on 1で話を聞く時間は大切な入り口となりました。
<学び>
・1 on 1を通じて、メンバーの声に耳を傾ける。
・セッションの冒頭にルールを合意し、安心して話せる環境を作る。
・自分の話はせず、メンバーの話に興味を持って聞く時間を過ごす。
最初の1 on 1を経て、お互いを理解し合う第一歩を踏み出せました。
しかし、それでもまだ距離感は拭えません。
まだまだやることはたくさんある、、、。
次は何をしようか、考えながら帰りの京浜東北線に乗る私でした。
\ 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!/