三種の人器①【音楽活動に必要な人】
レーベルやライブハウスには様々なデモ音源が届く。
稀ではあるが後にプレミアムアイテムになるものもあるが、基本的に1、2度聴く程度のものがほとんど。
「酷いじゃないか、もっとちゃんとアーティストに向き合えよ」
と思うであろうがそんな以前なの。
1番強烈に覚えているのはhideのロケットダイブを歌うCDを毎日のように送りつけてくる坊主頭の鹿児島県の中学生。
たしかにデモ音源は受け付けている。
しかしながら毎日同じ曲のCD をそれも有名アーティスト様のヒット曲。
新人募集要項に【オリジナル曲】って書いてあるんだが、毎日ロケットダイブ。
「これは新手の間違い探し?それとも何かメッセージ?」と考えるが電話なんてしたら、下手したら毎日電話くるでしょ(笑)さすがに頻度は減るが彼からの音源は一年くらい届く。
ちなみにWebになってお気楽に応募できるようになったからなのか、同じ人物から同じ内容が届くのは珍しくない。
しかしながら、こっちはそれを聴くのよ。
正直なところ『聴けるレベルの音源』って、
すっごく(笑)
高校生くらいの上手なコピバンのボチボチ聴けるバランスのスタジオ録音程度。
これくらいなら許すというか我慢できるが、カラオケのエコー全開の録音とか凄いのは普通に音源と一緒に歌ってるものが届く。
最近はDTM環境が簡単になったから誰でもちょっと頑張ればオリジナル曲なんて作れる、もちろんクオリティは除く(笑)
「アンタ専門家だから厳しいんだよ」
とかではなく普通にジャイアンリサイタル級が届くの。
PRメッセージは基本「私の人生には歌しかない」と書いてあり
セットで届くアーティスト写真も強烈でなぜかロック系レーベルに居酒屋の提灯と一緒に写されたムード歌謡風のものや「人生歌しかない」はずなのに果物狩りの笑顔の写真や友人と海で集う普段着写真(水着ならスタイル自慢?とか思えるが違う)何を考えているんだ?という応募ばっか。
ここで思う。
なぜこの人たちは応募の前に誰か近しい人に応募資料を聴いてもらったり見てもらったりしないんだろう?
という疑問。
エンタメは他者が観て聴いて評価するもの。
近しい人に評価されないものは実は誰にも評価されない。
ライブ活動初期に友人知人すら観に来てくれないアーティストなんて活動すべきではないというのは辛口過ぎるかも知れないが商業的な視点で考えて欲しい。
❶観たいと思う人がいるからライブ出演をする。
❷観て(応募して)くれる人を探すためライブ出演する。
❶はライブハウスやコンサートプロモーターがオファーするであろうし、購入したい人がいるから販売するは商業の基本。
❷はライブハウスやコンサートプロモーターにとっては実はなんのメリットもない。単純に出演する場所を提供することで利益を得るしかない。
まずライブ出演する以前にこの部分を理解しているアーティストはどの程度いるのであろう?
これくらいは社会的には常識であり、実は❶と❷では存在価値が全く異なるが、アマチュアアーティストのほとんど(アベレージ20人以下の低集客アーティストはほぼこれ)は❷なのに「自分は❶側」だと思っている。
冷静に君の音楽活動を客観視してくれる人、家族でも恋人でもバイトの先輩でも良い(※但し音楽活動してる人はダメ)が、必要。
どっちかといえば肯定派ではなく否定派。
「そんなことしたら先方に迷惑でしょ」って言ってくれる人がいないと実はカラオケCD少年や果物狩り写真とたいして変わらない恥ずかしいことしてるって気がつかずやってるってこと知ったほうが良い。
厳しいことを言ってくれる人って実は大事。
ど底辺期の〜20人程度の集客期は、周りは冷たいし厳しい。
しかしながらこれが私の言うSTEP2期になるとど底辺のSTEP1アーティストにはゴマ擦られ出す(笑)だって実はSTEP1を越えられないアーティストが全体の5、60%。実はこの60%はただの素人さんなんだけどライブハウスって不思議な場所で『素人が脱素人』する場所で、ほんのちょっとの縁やタイミングで『脱素人』は出来ちゃうの。これジジイだから経験値で言えちゃうんだけど、昔は絶対数が少ないから【一子相伝】じゃないけど先輩が文化を守るため上下関係で教育が付随して厳しくはあれど『脱素人』は普通のことだったが、絶対数が増えると「もうそんな時代じゃない」って能力の高い新世代が出てくるんだけど、問題はチカラもないのに新世代と同じ動きをする素人。
結果的に文化は壊れて【自由】と【野良】を勘違いしたチワワやポメラニアンみたいな愛玩犬が街を徘徊して自称自由な野犬でゴミ箱漁るしかないのよ。
「よくわからないけど、これカッコいいの?」そんな普通の人の普通の意見があれば実は音楽人生が好転していくことだってある。
脱素人のために必要なのは実は周りにいる本物の素人さん。
そこを勘違いすると「アーティストの感覚は素人にはわからない」って不思議な誰にも評価されないアーティストになるしかない。