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Singing for a leon

 ライオンキングのシンバみたいな人。そんなことを昔言われたことがあったが、そんなに猛々しくもなく強くもなく、現実世界に立ち戻れば自然保護区で丁寧に管理され、個体数の減少等などに気を配られながら僅かばかりのコミュニティの群れの中であれこれ苦悩する。まあそんなことが関の山だろう。

 まさに中間管理職の苦悩といった感で、現実問題今の自分もそんなところだから全く成長していないなぁと虚しい気持ちになってしまう。
 物語の中のライオンはいつも気高い。
 数年前に投稿し続けていた自分もだ。
 今はどちらかといえば大西ライオンに近いのはちょっと笑える。

 恋人と別れて数年して、髪型を元の長髪に戻した。
ライオンヘアー。良く言えばソバージュの少しゆるい感じ。令和のトレンドバッチバチの若い子たちにはもれなく不評だが、自分では結構気に入っている。昔に戻った感じというか、懐かしい感じというか。
 自分にとってのアイコンみたいな感じなのかな。というのと、結果恋人と過ごしている中で、理想的なハートフル彼氏、みたいなのにどうしてもなれなかったので決別する、という意味もある。どんだけ爽やかで清潔感ある短髪にしたところで、なりきれなかった自分に対する決別。
自分は自分でいいとは言い切れないし憧れもあるが、一旦リセット。

 先日随分久しぶりに会社の上役との面談があった。エリアが物理的に離れたこともあって、正直あって深い話をするのは久々のことだ。
 内容は簡潔に言えば自己評価が低すぎることへのコメント、もっと自信を持って自己評価をつけること、そういった人間でないと人が付いてこないこと。最もすぎることだが、ぽかんとしてあまり響かなかったのが正直なところ。
 だってそうだろ、散々言葉を尽くし、時間と金を費やし、将来を決めてしまうまで入れ込んでいた恋人とあっさりと別れ、都落ち同然に東京を捨て、心の穴が開きっぱなしの状態でとにかく早く気を紛らわせるため、とにかく人生とか将来のことは何も考えないため、敢えて無理して過激な労働を自分で背負い込み、世間一般的な幸福論から目を背けるために人間関係も自分に向き合うことも捨て、ストイックな生活をしている人間が、どうして自己評価を高くすることができようか。なんて思っている。
 今の立場だってそう。ただの中間管理職ではあるが、何かと色々なことを背負い込んでいる。仕事でそこまで色々背負い込んでいるのに、プライベートで誰かとの生活を背負い込むなんて出来るものか、これ以上責任背負い込んでどうすんだと思っている。
 自信がない。そんな本音を裏に隠して、最早どうにもならない年齢を自嘲する日々。

 肝心の自分の事は、誰も支えてくれやしない。

 実は結構、今回の話になる前まではいらん杞憂をしていた。大体上役が直接会いに来て話す内容なんて、どこか別のエリアに行ってほしいとかそういった話ばかりだったからだ。そしてそれについて、僕には断る理由はない。以前の都落ちの時はむしろ東京に居ることに膿んでいたので喜ばしいことだったしより静かな環境に行けるのであれば望ましいとすら思っていた。
 反面、そうはならないだろうという腹積りもあった。担っている仕事の状況から判断してみても、自分自身の経済状況についても、今更移動させるメリットはあまりない。

 どう転んでも良いように、どちらにしても受け入れられるように、身辺整理をする猶予を充分に与えられ、少しづつ揺れる気持ちに整理をつけた。
結果として何もなかった。そしてそれにかなりホッとしている自分がいた。今の環境を好意的に感じている自分がいた。正直なところ、このままの状況を続けていてもどん詰まり状態なのは変わらないし、ライフステージが上がることもない。一年前はどうせ離れる土地だし興味も関心も持つ必要なし、ぐらいに考えていたが、ちょっとばかり愛着を持ち始めたという事だろう。その事についてはまた触れようと思う。

 長くなったがある程度色々な事に整理がつき始めて余裕が生まれ始めている。これから先はわからない。長としての役割は何年やっても慣れないし、模索だ。ただ今は、もう少しだけ関わっても良いのかなと思っている。幾つになっても変わらない自分の甘さではあるが、それも含めて今は日常を慈しむ。

そんな事を思う今日この頃である。

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薄情屋遊冶郎
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