編集者とライターの違い
編集者とライターはどう違うんですか? という質問をもらったので書こうと思ったんですが、ちょっと困ったなーと思っています。
定義は人それぞれですし、業界とか会社によっても、その役割は違うと思うからです。
「編集者はそうあるべきじゃないと思います!」とか「そもそもライターというのはですね……」というご意見をいただきそうなので、躊躇しながら書いています。
ただ、学生さんの中には「編集者」を目指せばいいのか「ライター」を目指せばいいのかわかんない人がいるかもしれないので、とりあえず「どちらを目指すべきか?」がわかるように、ぼくの少ない経験と知識の中からお話できることをまとめたいと思います。
プロジェクトリーダー=編集者
カタチにしていく人=ライター
ざっくり編集者とライターの違いをお伝えします。
一般的に、編集者というのは、何かを企画して、プロジェクトを立ち上げ、その要になるような仕事です。
本の編集者であれば「どういう本を作りたいか?」を考え、それに合う著者を見つけ(著者が先にいてその人に合う企画を考えるケースもある)、デザイナーさんにお願いし、本というパッケージを仕上げていきます。最近はPRなど売り方にまで携わったりもします。テレビや映画の世界でいう「プロデューサー」に近いかもしれません。
ライターはその名のとおりライティングする人。書く人です。主に編集者などから発注を受けたら、取材をして、原稿を整理していくのが主な仕事になると思います。(もちろん企画を提案するのを得意とするライターもいると思います。あくまで一般的には、ということです。)
なので、ものすごくシンプルに言うと、企画をしたり、考えたり、何かやりたいことがある人は、編集者。企画するというよりも、何か手を動かしてカタチにしていくのが好きな人はライターになるといいかもしれません。文章をまとめると「わかりやすい」「読みやすい」と言われるような人は、ライターに向いていそうです。
編集視点のライターが足りない(気がする)
ちょっと話はズレるかもしれないのですが、最近は「編集者」と「ライター」を分けて考えるのはすごく難しいなあ、と思っています。というのも、ライターであったとしても「編集視点」がないとおもしろい原稿が書けないと思うからです。
文章というのはすごく繊細です。文章の順番や、ちょっとした言葉づかいなどで印象が変わってしまいます。ライターは編集者からオーダーを受けて手を動かすことが多いのですが、そのライター自身も編集視点を持っていないとなかなかおもしろい文章になっていきません。
ぼくは「編集者なの? ライターなの?」と聞かれたら、いちおう「編集者」と名乗っていますが、実際には原稿をまとめることもあるので、その点ではライターと言えるかもしれません。なので、よくわかりません。
出版業界に限って言うと、編集者よりもライターのほうが足りていない気がします。どの編集者と話をしていても「いいライターさんいませんか?」という話になります。なので、編集視点で原稿整理のできるライターさんがいたとしたら、すごく重宝がられるのではないかと思います。
そもそも何がしたいのか?
ここまで話しましたが、ぼくはそもそも「編集者とは何か?」「ライターとは何か?」ということは、あまり重要ではないと思っています。というのも、時代はどんどん変わっていますし、メディアの状況も変わっています。そこで職業名の定義をしても、結局「言葉遊び」にしかならないことが多いからです。
今の時代は「編集者になりたい」とか「ライターになりたい」みたいに「職業名になりたい」というのもあんまり意味がない。それよりも「何をしたいのか」ということにフォーカスしたほうがいいような気がするんです。
本当に大切なのは「あなたは何がしたいのか?」です。
世の中のおもしろいことを見つけて伝えてみたいのか?
活躍している人の話を聞いてそれをまとめてみたいのか?
他人というよりも自分の思いや考えを誰かに伝えたいのか?
そして、やりたいことがあるのなら、ものすごく小さなことからでいいので始めてみればいいと思います。
おもしろいことを見つけて伝えたいのであれば、ブログを立ち上げるだけでそれは立派なメディアになります。人の話を聞いてそれをまとめてみたい、自分の思いや考えを誰かに伝えたい、というのであればnoteやTwitterに書けばいい。どれもわざわざ既存のメディアに属さなくても、インターネットの環境があればできることです。
気づけば結果的に、編集者、ライター、エッセイスト、小説家と呼ばれているかもしれません。うまくいけば、WEBメディアなどから声がかかって仕事になるかもしれません。
とにかくまずは「自分が何をしたい人なのか?」ということから考えてみるといいんじゃないかなと思います。
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