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#40 【教員のための生成AI活用ガイド④】生成AIで広がる学びの可能性 ー教育現場での活用方法と注意点ー

1 はじめに

 現代社会において、生成AIは教育現場に革新をもたらす可能性を秘めています。文部科学省は生成AIの活用について、以下のようにまとめています。

文部科学省(2023)「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」、p5

 日本の教育政策や文部科学省の指針を踏まえ、生成AIをどのように効果的に活用し、どのような点に注意すべきかを考察します。

★生成AIを活用する際のチェックリスト

 学習指導などで生成AIを活用する際には、以下のチェックリストを参考にしてください。また、生成AIツールには年齢制限があり、18歳以上が利用対象です。したがって、18歳未満の児童生徒が利用する際には、保護者の同意が必要です。前回紹介したMicrosoft Copilotも同様です。

文部科学省(2023)「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」、p15

2 生成AIを活用した方が良い面

2.1 デジタル技術の理解と適応力の向上

  • 現代の子供たちはデジタルネイティブとして育っており、生成AIを学習に取り入れることで、自然と最新の技術に触れる機会が増えます。これにより、将来のデジタル社会に適応するための基礎的なスキルが身につきます。

  • GIGAスクール構想の一環として、ICTを活用した教育が推奨されています。生成AIを使用することで、これまでの教育手法に新しい風を吹き込み、児童の興味を引きやすくなります。

2.2 個別化された学習支援

  • 生成AIは各児童の学習進度や理解度に合わせて個別化された学習内容を提供することが可能です。これにより、学習が遅れている児童にも適切なサポートを提供しやすくなります。

  • 学習指導要領でも、多様な学習スタイルに対応する重要性が述べられています。生成AIはこの点において非常に有効です。

2.3 創造力と発想力の刺激

  • 文部科学省は創造力の育成を強調しています。生成AIを活用することで、児童が自由な発想を持ち、クリエイティブなアイデアを生み出す手助けをすることができます。例えば、AIを使って物語を生成することで、文章力や構成力を養うことができます。

3 生成AIを活用しない方が良い面

3.1 基礎的な学力の育成

  • 生成AIに頼りすぎると、児童が自ら考える力や基礎的な学力を身につける機会が減少する可能性があります。基礎的な算数や国語の力は、手作業や直接的な学習体験を通じて深めることが重要です。

  • 文部科学省の学習指導要領でも、基礎的な学力の定着が強調されています。児童が自ら考え、試行錯誤する過程を大切にしましょう。

3.2 コミュニケーション能力の育成

  • 生成AIの利用が増えることで、他者との対話や協力を通じた学びの機会が減少する恐れがあります。日本の教育では、協調性やコミュニケーション能力の育成が重要視されています。

  • 話し合い活動(グループワークやディスカッション)等の時間を確保し、児童同士の交流を促進することが大切です。

3.3 情報リテラシーの育成

  • 生成AIは誤情報を生成することもあるため、提供された情報を鵜呑みにせず、批判的に検討する能力を育てることが求められます。情報の信憑性を確認する力を養うためには、児童が自ら情報を調べ、評価する経験を積むことが必要です。

  • 児童に対して、インターネットやAIが提供する情報をどのように評価し、選別するかを教えることが重要です。

4 おわりに

 生成AIは、教育現場において大きな可能性を秘めていますが、使用方法には注意が必要です。以下の点に留意しながら、生成AIを効果的に活用していくことをお勧めします。

  1. バランスを保つ

    • 生成AIを利用する一方で、児童が自ら考える力や基本的な学力を養うための時間を確保しましょう。

  2. 教育目的に応じた利用

    • 教育の目的に応じて生成AIを適切に活用します。創造力を育む活動では生成AIを活用し、基礎的な学習では従来の方法を用いるなどの工夫が考えられます。

  3. 批判的思考の育成

    • 生成AIを使用する際には、情報の信頼性を確認する習慣を身につけさせるように指導しましょう。

  4. 教師の役割の再確認

    • 教師としての役割は、生成AIが提供する情報を監督し、児童の学習を適切に導くことです。生成AIの活用を通じて、児童が自主的に学び、成長できる環境を整備しましょう。

 これらの提案を参考にしながら、生成AIを効果的に活用し、児童の学びをより豊かにするための取り組みを進めていただければ幸いです。 

 今後も、授業改善や働き方改革に向けて、効果的な活用方法を模索していきたいと考えています。
 子どもたちの深い学びの実現、教員の働き方改革の推進に向けて、ともに頑張りましょう。


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