体得するための行
ものごとの本質を理解するためには、頭で理解するだけでなく、行ずることによって体得することが肝要です。
そのための行は、中国禅の初祖である達磨大師によると、四つの段階があると言います。この考え方は、一般の生活にも応用できそうです。
・「報冤 (ほうおん)行」 冤は、「恨みつらみ」の意。本に返る行。
色々な恨みつらみが起こると、煩悩や妄想になってくる。
日常の色々な心の乱れを無くすことが第一である。
煩悩や妄想にとらわれずに振り捨てて恨みつらみの無い根本に返る。
・「随縁(ずいえん)行」 本に返ったら、自分の分限に合わせる行。
仏教の根本真理に、無常と無我がある。そのことを体得していないと、
苦楽が生じてくる。しかし、苦や楽は、縁と因果に依るものなのだ。
苦楽を感じるのは自我なのだが、元々自我は無い(無我)。
ただ単純に自らの周りにある縁に従うことだけを行じればよい。
・「無所求(むしょぐ)行」 欲を求めることをやめる行。
世の人は、迷うと何か別のものを求めようとする。それが欲望だ。
求める(因)というのは苦(果)につながる。それならば求めなければ良い。
苦はあるのだと思い、その苦に執着しないようにすれば楽になる。
苦となる煩悩や欲望を振り切って、無心に徹するようにすれば良い。
・「称法(しょうぼう)行」 真理(法)のままに行じる。
分別のない世界を「一切空」と言い、その世界では染着も此彼も無い。
世の中は真理を元に動いているので、真理に称(かな)うままに行ずる。
布施・持戒・忍辱(にんにく)・精進・禅定・智慧の修行をすれば良い。
まとめると、煩悩・妄想を振り捨てて恨みつらみの根本に返り、自分の周りの縁に従い、欲望を無くして無心となり、法のままに行じていけばいいのです。
実行するのは意外に難しいかもしれません。でも、少しずつ一歩を進んでいけばいいのです。
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