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誰でもが他者に対して簡単に施しができる (898)

「施し」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「施し」とは、恵み与えることです。そのように理解すると、何か財力がある人だけが困っている人に分け与えることができると考えてしまいがちです。

しかし、たとえ財力が無くても施しはできるのです。典型的な霊としては、財を与えるのではなく、教え諭すこともまた「施し」なのです。

代表的な施しの例を示してみましょう。

  1. やさしく見つめて相手に接する。その根底には思いやりの気持ちがあります。やさしいまなざしで見つめられた人は、嬉しくなってしまいます。
    もちろん、やさしさの代わりに笑顔で見つめてもいいのです。

  2. やさしい言葉や、「ありがとう」という言い方で接することも、相手を嬉しくさせます。

  3. 困っている人を見たら、手伝う(代わりにやってあげる)ことも効果的です。

  4. 相手が悲しんでいたり喜んでいたりする時、同じように悲しんであげたり喜んであげたりします。混んでいる電車の中で、老人や妊婦などの人に席を譲ってあげるようにします。雨の日に傘を持っていない人を、傘に入れてあげることも同様です。

いずれの場合も、財力をもって接しているのではありません。眼によるまなざしや顔つきであったり、言葉であったり、自分の身体であったり、よりそう心がけで接しているのです。そしてその根底には「思いやり」「慈(いつく)しみ」の気持ちがあることに気づくでしょう。

「施し」「布施」という言葉からは、財や物を分け与えるということを直観的に想い浮かべます。しかし、財や物を分け与えるのではなく、心を相手に与えるということもまた「施し」なのです。これを「無財施」と呼んでいます。

もちろん、財に余力が出てきたら、財を分け与える(すなわち寄付をする)ようにすればいいのです。世の中には、財が無いために、自分の持ち物を売って得たお金を寄付する人もいると聞きます。極度の無理は、自分を痛めつけてしまいます。大切なことは、今、自分でできることは何なのかを考え、その上でできることを相手にしてあげることなのです。

その根底に流れるのが、「思いやり」「慈(いつく)しみ」の気持ちです。その気持ちを大切にしていけば、きっと周りの人からもまた「思いやり」「慈(いつく)しみ」の言動が返ってくることでしょう。自分も幸せ感を得ることができるようになります。

純粋で清らかな思いやりの気持ちを持って接すれば、相手にその気持ちが伝わり、相手もまた純粋で清らかな気持ちで接し返してくれることでしょう。

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