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東洋思想からくる人格とは

人格者が共通に持っている特性は、公平無私にあると思います。自分を捨てて皆に公平に接するのは、なかなか難しいことです。しかし、それが出来上がると人格者として(あるいは聖人として)尊敬されることになります。仏教の釈尊然り、キリスト教のイエス・キリスト然りです。

では、どのようにすれば人格者になれるのでしょうか。それは、人間力向上に尽きます。人間力については後半に述べることにして、向上について考えてみましょう。

向上しようと思う心は、まずは人に対する思いやりからスタートします。さらに、自分の人格が完成していない、あるいは現状に満足していないことから発生してきます。慢心していると、そのような心は生まれてきません。組織人がトップに近くなると、慢心しがちになりますが、そのような気持ちは捨てるべきなのです。そのために有益な言葉に「慎独(ひとりを慎む)」があります。さらに必要なのが、自分自身が向上しようという継続心であることは言うまでもありません。

では、人間力とは何か、どのような特徴を持っているかをみていきましょう。

①深沈厚重(しんちんこうじゅう)=落ち着きのある深みを有すること。
  冷静沈着、不動心のある、存在そのものに優位性を持つこと。
  一言で言うと、思いやりを持った人格と言うことになります。
  この特性があれば他の特性も後からついてくるのではないでしょうか。

次に重要なのが、ものごとを実践していく二つの特徴です。
②磊落豪雄(らいらくごうゆう)=細事にこだわらず勇気を持っていること。
③聰明才弁(そうめいさいべん)=優秀で、分かりやすい説明ができること。

積極果断をも意味する②は、それだけでは周りの人はハラハラします。①が前提になるのです。

優秀さを示す③は、最後に出てきます。なぜ最後に来るかというと、自分が特定分野に秀でていなくても、その分野に秀でている人がいれば、その人に協力して貰うことができればいいからです。ただ単に優秀なだけでは、他の人を見下す可能性があり、①の思いやりに欠けるようになってしまいます。なお、優秀さは狭い範囲だけにとどまるのではなく、守備範囲が広いのが良いことは言うまでもありません。

ただ単に仕事だけができる優秀者では人格者とは言えません。どうあるべきかというビジョンや理念が必要です。ビジョンや理念を創出するためには、①、②、③の特徴を有する人になるべきなのです。ビジョンや理念を示したうえで、他者から信頼を得るべきなのです。

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