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対立概念は単に頭の中だけの関係だ #禅の言葉

白黒、善悪、有無、といった対立する概念などでは、人はどちらか一方に答えを求めようとする。それができないと、何となく落ち着かないようだ。しかし、対立しているように見えるものは、得てして状況・環境によって異なって見えるだけなのだ。根本を見極めると、その先に悟りの光明が見えてくるものだ。

有句無句は藤の樹に倚るが如し  言葉にすることと言葉にしないことの関係は、まるで樹木と巻き付く藤づるのような関係である。一方によって他方も成り立つという『もちつもたれつ』の関係である。

では、あるとき突然に樹が倒れたら、藤づるも枯れてしまうではないか。その状態を有と無のどちらで表現すればいいのか。

実は、枯れようが枯れまいが、そのときそのときの状況・環境に合わせた状態になるだけだ。説きようなどなく、笑ってしまうしかない。これは決して等閑(とうかん、いい加減・なおざり)ではない。笑い飛ばすことは、頭正尾正(初めから終わりまで正しい)の対応だと言える。

このように、言葉では説きようがないことを、「言思路無うして機関を絶す」(言葉や考えで明らかにしようとしても、どうこうできるものではない)と言う。

ただし、あえて言葉にして答えた禅師がいる。それは、「水を手で掬(きく)すればその水に月が写る」(掬水月在手)というもの。あれこれ考えずに、あるがままに見よ、というもの。

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