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工場夜景の撮影と現像テクニック


こんにちは。
工場夜景は長年取り続けている被写体のひとつです。
僕が住む北九州市は、かつて四大工業地帯のひとつにも名を連ねた『鉄の町』。今は鉄冷えの影響で若干寂しくはなってはいますが、それでも街並みのすぐ隣に工場がある風景は北九州市の特徴でもあります。
今回はそんな工場夜景にスポットを当て、撮影時のコツや現像時に気を付けていることなどをまとめてみたいと思います。


📷工場と聞いて頭に浮かぶもの

突然ですが、皆さんは工場に対してどのようなイメージをお持ちですか?
「汚い」
「臭い」
「環境に悪影響を及ぼす」

…何十年も前なら、このような答えがたくさん返ってきたかもしれません。
事実、昭和40年代頃までは工場からの汚水や粉塵などによる公害が日本全国の至る所で溢れかえっていました。
北九州市の洞海湾も、一時は「船のスクリューが溶ける」「大腸菌ですら生きられない」程に汚染された、文字どおりの「死の海」でした。
しかし現在は水質も改善され、湾の岸壁ではに釣りを楽しむ人たちで賑わっています。煙突からの煙のようなものも、実は水蒸気で煤塵などは含まれていません。

では、他にはどんなイメージがあるでしょうか。
「無骨」
「重苦しい雰囲気」
「メカメカしくて格好いい」

昼間に工場を見れば、このような感じになるでしょうか。
夜になるとどうでしょう。
トップ写真にも載せているように、実に煌びやかな光景を見ることができるんです!
工場は昼夜を問わず稼働しているところが多いので、夜に訪れても真っ暗だ…なんて事はあまりありません。

10年程前から工場夜景を撮る流れは起きていましたが、ここ数年で急に増えたような印象を持ちます。もともと工場は撮られることを目的とはしていません。複雑に絡み合う配管も、効率だけを考えて設計された、一切無駄のないものです。そして工場の夜景には昼間の無骨さ・いかつさのイメージとは真逆の、ある種の美しさを感じることから「ギャップ萌え」にも似た何かを感じるのかもしれませんね(笑)


📷工場夜景の撮影に必要なもの

次に、工場夜景を撮るにあたって必要なものを整理してみましょう。
カメラやレンズの他に、次のものがあると便利です。

①三脚
 工場に限らず夜景を撮るには、長時間シャッターを開けることが多いです。手振れを抑えてきれいな写真を撮影するためにも、三脚の使用を強く勧めます。
三脚にカメラを取り付けて撮影するときは、レンズやボディの手ぶれ補正はOFFにしておきましょう。

②リモコンレリーズ
 シャッターボタンを押すことで発生するブレを、レリーズを使うことで防ぎます。社外品であれば1000円程度で売っているため、こちらも準備しておきましょう。

また、レンズに関しては工場に近づいて撮れないこともあるので、望遠レンズを1本持って行くといいと思います。さらに、工場夜景の撮影スポットはバスや電車では訪れにくい場所にあることがほとんどです。移動手段は車がベストでしょう。


📷工場夜景を撮るときの設定

撮影場所が決まったら、まずは撮影してみましょう。
ここでは基本的な撮影の設定を紹介します。

①撮影モードはマニュアル(M)で
 AUTOをはじめ、シャッター速度優先や絞り優先など、カメラには色々な撮影モードがあります。マニュアルと聞くと難しそうなイメージがありますが、慣れてしまえば簡単です。今のカメラにはライブビューがありますので、どのような写真が撮れるかは事前にある程度知ることができます。積極的にマニュアルで撮影してみましょう。

②絞りを決める
 風景写真の基本は「ある程度絞る」(F値を大きめにする)ことです。絞ることで手前から奥までピントの合った写真が撮れます。また、絞り込むことで「光条」がしっかり写ります(詳しくは後述)が、逆に絞りすぎると、回折といってディティールが失われてしまう現象が起きます。
でも安心してください。回折なんて僅かなものです。拡大して見なけりゃ分かりません。遠慮せずF13とかF16と、思い切ってガンガン絞り込みましょう。

③シャッター速度を決める
 まずは30秒に設定してみましょう。長時間露光にすることで、煙突からの水蒸気を幻想的に流したりすることができます。

④ISOを決める
 最後に明るさをISO値で決めます。実際に工場夜景の目の前に立つと分かりますが、明暗差が大きいのが工場夜景の特徴です。ISOをAUTOにすると、イメージに合わない写真が撮れてしまいがち。必ずモニターにヒストグラムを表示させ、低いほうから徐々に高くして白飛びがあまり多くなく、かつ黒つぶれも少ない値に調整します。

⑤ピント合わせはAFでも意外と大丈夫
 工場には無数の光が点灯していますので、基本オートフォーカスが効きます。ピピっと合わせてパシャっと一枚撮影してみましょう。

①~⑤の手順を踏めば、とりあえずは撮影できると思います。
ただ、撮影環境にも依りますが、④のISO設定を100などの最低感度にしても明るくなり過ぎる場合があります。その時は③のSS速度を短くしたり、②の絞りをもう少し大きくしたりと、ヒストグラムを見ながら適宜微調整をしてください。

さて、撮れた写真を見返してみましょう。
「なんか暗くない?トップ画像の写真はもっと明るいよ?」
そう思ったそこの貴方。大丈夫です。僕もだいたい現場ではこんな感じで撮影しています。

元のデータはこんな感じです(RAWデータをそのままJPEGで書き出し)

煌びやかな写真に仕上げるためには帰宅してからパソコンで現像することが不可欠です。
「え、そんなの詐欺じゃん!」
なんて怒らないでくださいね。そこはほら…アレですよ。


📷工場夜景の現像について

撮影したデータはパソコンに取り込んで、現像ソフトを用いて仕上げます。
ここではLightroomを使った調整の方法を簡単に紹介します。

①明るさ・ハイライト・シャドウを調整する
 まずは写真全体の露出を調整しましょう。
 若干暗めなデータになっている場合が多いので、全体の明るさを上げたあと、ハイライトを下げ白飛びを抑え、暗い部分はシャドウを持ち上げて整えます。

②色温度を調整する
 基本的にお好みで構いませんが、上げすぎ・下げすぎには注意。
 撮影環境で左右されますが、個人的には3400~3800の間にする事が多いです。

③緑被りを軽減する
 工場夜景は照明の蛍光灯の影響で、緑被りすることがあります。
 気になる場合はHSLでグリーンの彩度を下げて調整してみましょう。

④シャープで回折を軽減する
 絞り込んで撮影した影響で回折が出ている場合、シャープネスをかける事で軽減される場合があります。

⑤テクスチャ・明瞭度・かすみの除去で微調整する
 必要に応じて、これらの機能を使って最終的に整えます。ただ、強めにかけすぎると破綻しかねないので隠し味程度に留めておきましょう。

調整後の写真がこちら。あまり煌びやかにしすぎると、工場夜景が持つ本来の良さが半減しかねません。レタッチはほどほどに…


📷光条とは

 絞り込んだ時に点光源を撮影すると、点を中心に複数の光の筋が現れます。これを光条(こうじょう)といいますが、夜景撮影においてアクセントとなる重要なポイント(だと個人的に思います)です。
F値を大きくとれば光条も強調されます。また、光条の形は同じではなくレンズによって違います。この辺りは機会を見て別記事で紹介できたらと思います。

このように放射状に伸びる光の筋を光条といいます。



📷最後に

ここで紹介した設定や現像手順は、あくまでも「Takayuki流」です
また、今回は基本的な内容について簡単に説明しています。まずは記事の設定を真似してみて、それから色々工夫を加えながらオリジナルの工場夜景を作り上げていきましょう。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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