”祝!開業1周年”を3つのハードシングスで振り返る
おかげさまで本日を持ちまして、宮古島のさらに離島来間島(くりまじま)にて、開業しましたトレーラーハウス型客室のホテル”RuGu Glamping Resort”は開業1年を迎えました!!パチパチ。
とにかく目まぐるしくもなんとか1年を経てここに施設として現存できているのは、みなさまのおかげです。
・宿泊してくれたお客様
・投資家様
・協力してくれているパートナー企業のみなさま
・スタッフのみんな
・日々、支えてくれているパートナー、家族
感謝しかありません。本当にありがとうございます。
1年を経て感じるハードシングスの”当たり年”・・
今年はまさにハードシングスの当たり年。。汗
あらかじめ起こることが分かっていれば、宿泊業を始めるには相当覚悟のいる年だったと思います。それがわからないからハードシングスなのですが。。
ハードシングスは予め予測していた方向からやってきて最終的にノーガード部分に予期せぬ角度で体当たりしてきます。なので準備しておくに越したことはないですが、準備の斜め上をいく結果を生んだ時にどうするか?が求められます。
今回はそんな形で大きく3つの予想を上回るハードシングスについて、ここに書いておきたいと思います。(これ以外にもたくさんの小事はありましたが、それはまたどこかで。)結論、レジリエンス超重要です。
余談)個人的にタレブ氏の「反脆弱性」が好きな本なのですが、ハードシングス下においては、まさに必要なスタンスだなと思いました。気になる方はぜひ読んで欲しいです。
(反脆弱性とレジリエンスではちょっと解釈はずれるかもですが、個人的にはしっくりきています。)
その1:宮古島史上2番目に大きい台風の到来
宮古島の観光の前提として繁閑の差が大きいことがあげられます。下図を見ても分かる通り、オンシーズンは6月〜11月の6ヶ月。1月と10月では倍の人数が来島していることがわかります。
マーケット的に考えるとこの半年で8割程度の売上を確保できれば安泰といったイメージでした。
宮古島は沖縄の離島。沖縄本島よりも台湾が近いレベルの島です。もちろん、毎年台風の影響があることは想定していました。
し、か、し、さすがの当たり年。8月〜10月までで台風が計5回直撃し、その1つは最大瞬間風速61mを超える宮古島史上2番目の大きさでした。。
し、か、も、RuGuが位置する来間島は風速25mを超えると宮古島本島と繋がっている橋が封鎖され交通網が断絶されます。。
ホテル営業上はお客様の安全を考慮し、台風上陸の前後1日を合わせ計3日は施設自体を閉鎖する判断をしました。
結果・・8月は5日程度、9月はなんと30日中10日が非稼動となってしまいました。。台風がきたら最悪の最悪は10日程度非稼動になるかも・・という予想の中でも最悪の着地となりました。。涙
こりゃあ完全に計画未達・・そんな思いが頭を駆け巡りましたが、そこは”備えあれば憂いなし”。あらかじめ加入しておいた保険が功を奏し、最悪の最悪の最悪であった売上ゼロは免れるレベルの補填がされました。
ですが、本来6月〜11月が繁忙期の宮古島。しかもピークの8月、9月。この台風が大きな打撃となり、ほぼ1年分の売上を網羅する夢は崩れ去ります。。
その2 :香港民主化デモによるインバウンド不調
宮古島には2019年3月末に新規開業した下地島空港があります。日本で一番新しいかつ珍しいリゾート空港。とても綺麗な建物なのでたくさんの人に訪れて欲しい場所です。
島内には宮古空港という昔からある空港もありますが、下地島空港はLCCや国際線の発着を誘致することで、宮古島のさらなる発展のために開港しました。
その目玉が同年6月から開始した香港からの直行便”香港エクスプレス”。インバウンド需要を期待する宿泊業としては嬉しい便です。RuGuでも6月には、香港ウォーカーや地元紙の取材を受け、掲載されたりと機運が盛り上がっていました。
し、か、し、2019年3月頃に始まった香港における民主化を求めるデモが6月辺りで激化。。8月くらいから徐々に香港からのお客様も減り始めていました。。一時期は宿泊者の30%程度が海外観光客でうち半分以上が香港からのお客様だったのですが、週に2〜3組まで減ってしまいました。
RuGuは開業まだ間も無くインバウンドの比率を明確に期待した設計ということでもなかったので大きな打撃にはなりませんでしたが、海外のお客様は1週間程度の滞在が多く、先行してまとまった予約が入る機会だったのでその分は大きな痛手となりました。。
その3:そして新型コロナウィルス・・
冒頭で記載した通り、宮古島の繁忙期は6月〜11月。それを乗り越えた期間はまさに閑散期です。初年度の繁忙期は予約をこなすこと、お客様に満足いただけるサービスを試行錯誤しつつ走りながら考える状態が続いていたので、やっと落ち着いて考えることができる時間が取れました。
その期間を冷静に振り返るとこんな感じです。
・施設としての運営が固まるまでの混乱期(4月〜6月)
・ついにやってきためまぐるしい繁忙期(7月〜9月)
・5回の台風を経たダメージ修復(10月〜12月)
そして、次の繁忙期に向けての仕込みを2020年年始から始めた矢先・・新型コロナウィルスの流行が始まりました。。
2020年4月現在の今まさに流行中なので、今後どういった形で推移し、収束するのかは現段階ではわかりませんし、何をしたら良いのか?の答えもない中なので、現時点での状況と施策を記載します。
まず、流行が始まった2月時点では多少のキャンセルが出たものの、海外渡航が中止になった反動もあり、3月は少し盛り返しています。
上記はRuGuの実際の宿泊数の推移です。
(わかりやすいように少しデータを荒くしています。)
本来であれば、2年目なのでここから4月、5月に向けて昨年を超える伸びを見せる仕込みをしていたのですが・・残念ながら4月以降は全く奮いません。。
現段階で全国的に外出自粛要請が出ている状況のため、観光という意味でも渡航は減りますし、宮古島では感染者ゼロのため、島外からの観光客が感染源になり得るので歓迎するムードはありません。
よって、想定していた2年目の数字は全く見えない状況です。まさにハードシングスでレジリエンスが求められる場面。
さて、どうするか?
①キャッシュの確保
何は無くともキャッシュの確保です。開業1年。創業間も無く2年の零細スタートアップにとってキャッシュの生命線を確保することは命題です。
現在コロナ関連の融資はかなり好条件で融資を受けることができます。即動くことでまずはこの安心を手に入れることを優先しています。
②現状でできる策
とはいえ、宿泊施設としてできることはしていきたい。当初はワーケーションプラン等作っていましたが、そもそも渡航が歓迎されない状況なので、観光客ではなく島民への還元を行うという方針で検討しています。
③未来への投資
アフターコロナの世界をどう捉えるか?も持つべき視点です。宿泊業でいえば買い控えによるリバウンドが起こる。かつ、直近の中国の状況を見ていると海外よりも国内が先に解禁になる。そのタイミングでいかに受け入れ態勢を確保するか?を意識しています。
その上で、従来進めていた企業・事業としての将来構想を粛々と進めること。
RuGuは”Localing”というビジョンを掲げています。このタイミングだからこそ、足元は固めつつ、しっかりとしゃがんでLeapできるよう準備を進めたいと思います。
2年目に向けて
本当に宿泊業1年目としては厳しい環境ではありましたが、ベースとしてのビジョンやビジネスモデルに支えられている部分が実はかなりあります。
(ビジネスモデルについては複雑なのでまたどこかで書こうと思います。)
加えて、悲観的な状況を想定して準備をしておくこと。今回でいえば、結果論も大きいですが・・保険、インバウンド依存度を低くする、有事のためのキャッシュを保っておく(保つ手段に敏感になる)といった、し過ぎてもしすぎることがない準備に時間を割いておくことは重要です。
(なにせハードシングスは予め予測していた方向からやってきて最終的にノーガード部分に予期せぬ角度で体当たりしてくるので。。)
現段階ではまだ先が見通せない状況ではありますが、だからこそできることがあると思うので、それを見逃すことなくできることに最善を尽くそうと思います。