【受験ノート】横浜市立大学

 横浜市立大の本部キャンパスは、京浜急行本線の金沢八景駅です。医学部のある福浦キャンパスは、そこからシーサイドラインに乗車して、10分ほど走った市大医学部駅にあります。八景島シーパラダイスは、すぐ傍です。慶応SFC、日大(生物資源科学)、神奈川大(経営・理)、文京大(情報・国際・健康栄養・経営)、東海大など、湘南に大学は沢山ありますが、いずれも海から離れた、へんぴな山の中です。横浜市立大は、どちらのキャンパスも、そこら中、海だらけ。京急に乗って、横浜の街まで出なくても、すぐ近くの海の公園で、バーベキューや宴会ができてしまいます。海のすぐ傍で暮らして、キャンパスライフを満喫したい方にとっては、横浜市立大は、東京・神奈川圏では、唯一の選択肢だと言えそうです。

 横浜市立大は、今トレンドのGlobalを昔から実践していました。昔は文理学部と云うあるある系の地味な名称でしたが(今は国際総合科学部)海外インターンシップなどに、積極的に取り組んでいる学校として、進路のベテランには知られていました。キャンパスがあるのは、港・横浜のイメージとはかけ離れた、金沢文庫とかが、どっか近くにある金沢区の田舎です。が、海のすぐ傍にあって、外側に開かれています。そういう環境だからこそ、逆に海外志向が生まれると云う見方もできそうです。

 カリキュラムは、学際的です。1年次は、タテ割りではなく、横割りにして、共通教養科目を学びます。共通教養科目を通して、「問題提起」「技法の修得」「専門との連携」の3つを柱とする学びを展開し、自ら問題を発見し、勉強をする力を身につけ、2年次からの学修に備えると云う仕組みになっています。わずか1年くらいの学習で、そこまで到達できるとは、正直、とても思えませんが、医学部医学科や看護科の学生、国際総合科学部の文系・理系など、いろんなタイプの学生が、同じクラスやゼミで出会い、協同研究や実習を通して親しくなれるのは、やはり大きなメリットだろうと理解できます。

「技法の修得」のサビは、勿論、語学です。中国語・朝鮮語・ドイツ語・フランス語・スペイン語なども学べますが、その前にPractical Englishを履修し、設定されている基準をclearしなければいけません。この授業は、ネイティブの教員が受け持ち、4技能をマスターさせるために、英語のみで授業が行われます。出席が、5分の4以下ですと、未履修になります。TOEIC 600点以上のスコアをclearしなければ、国際総合科学部は3年次へ、医学部医学科は2年次への進級はできません。看護学科も、最後までclearできなければ、卒業できません。TOEIC 600点は、つまりMARCHレベルの入試の英語力です。本気になれば、誰もがclearできるlineです。が、英語が本当に苦手で努力を怠る人、バイトやサークル活動に没頭して勉強不足の人は、clearできません。実際、毎年、相当数の留年生を出しています。語学力をつけさせるためには、本気にならなければ、留年すると云ったペナルティも必要だと思います。TOEIC 800点台ですと、ハードルは一気に高くなりますが、TOEIC 600点は、やれば誰だってclearできる水準です。

「問題提起」にも、総合講義・多文化交流ゼミ・実践科目の3つの柱があります。総合講義は特定のテーマ(たとえば現代社会とジェンダーとか、国際協力事業とか、まちづくり学入門とか、自然災害とリスクマネージメントなど)について、さまざまな講師を招いて、話を聞き、現状や問題点を多面的に学ぶ授業です。

「多文化交流ゼミ」では、Comparing Education in the Worldとか、Global Communicationsとか、Japanfrom Foreigner's Viewと云ったテーマについて、英語で議論し、英語で考え表現することを学びます。

「実践科目」は、まさに実践で、福祉や農業やスポーツ、自然体験などの実習を行います。ゼミやこの実習を通して、コミュ障の今どきの若者も、無理なく自然にしゃべれるようになる筈です。

「専門との連携」は、つまり、歴史入門・社会学入門・地理学入門・心理学入門などの、専門科目の導入編を学ぶカリキュラムです。

 医学部医学科に、うちの高校から進学することは、正直、考えられませんが、看護学科に進学することは、普通にあると思います。多くの看護系で採用されている制度ですが、修学資金を貸与された場合、貸与を受けた期間に相当する年月、付属病院で業務に従事した場合は、修学資金の返還は免除になります。

 看護学科もGlobal志向です。Practical English終了後、ブラジルやフィリピンでのフイルドワークも用意されています。ただ、カリキュラムは、相当、詰め詰めで厳しくなっています。1、2年次は、月~金の5日間、1限から5限目まで、すべて授業が入ってしまうという時間割になってしまいます。これは、つまり、看護系の学生が学ぶことが、明らかに大幅に増えたからです。成人看護・母性看護・小児看護・老年看護・精神看護と、対象者で分類するだけでも、5ジャンルあります。場所で分類すると、在宅看護・地域看護・国際看謎の3ジャンルに分かれ、看護生命科学や看護社会科学と云った専門学科も学ばなければいけません。それぞれのジャンルで学ぶべき講座は、3つくらいはあります。海外インターンシップなどを体験してしまうと、4年間では卒業できなくなってしまいます。

 看護希望の方は、多いと思いますが、大学の4年間は、勉強と実習に追われ続けると、覚悟して進学して下さい(バイトともリア充とも、ほぼほぼ無縁です)。

 2018年にデータサイエンス学部が開設されました。医学部のある学校ですから、医療のビッグデータを解析し、病気のリスク発見や難病治療に役立てることが、データサイエンス活用の大きな目的だろうと推測できます。企業や医療機関との連携を通じたPBL (Project Based Learning)により、実務を体験し、データが発生する現場の知識を学びながら、同時にデータ分析を通じたコミュニケーション力や、課題発見・解決力を培う実践的な学びの機会を多数設けていると、学校案内には書かれています。

 学生に大学の好きなところは、どこですかと、アンケートを取っています。1番は、伝統・校風・雰囲気で32%。次が大学の規模で31%。この2つで6割を越えています。つまり多くの学生が、何なく納得しているんです。3番目が、友人関係で24%。4番目が、部活動で、19%。5番目が、教育内容・カリキュラムで12%。6番目が、教育・研究レベルで7.7%。7番目が、教育で7.6%。施設設備は10番目で、5.7%。まあ、このアンケー卜は、横浜市立大生の本音だと感じました。カリキュラムとか、教員とかじゃなく、やっぱり、一番、大切なのは校風・雰囲気なんです。

 部活やサークルは、だいたい他の学校と同じです。模擬国連サークル(国際社会・国際政治に関する勉強会)や国際交流のサークル、海外事情研究部などのGlobal系もあれば、ボードゲームやレゴ鉄道研究部、てつがく倶楽部のような陰キャ、ぼっち系もあります。

 あっ、言い忘れましたが、国際教義科学部は、B方式の入試を選べば、文系の三科目で受験できます。

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