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#ヤクザ
ヒロシマ女子高生任侠史・こくどうっ!(6)
お好み焼きはコテで食うに限る。こくどうの粋を体現した言葉である。
「もともと、戦後──原爆が落ちて更地になったころにこくどうの原型はできたんじゃ。あんなことがあった後、一番くいもんにされたのが女性での。やれいけんわ言うて、極道の真似事を始めたんがおった。それがこくどうの始めよ」
ゆりは後輩──もっとも彼女はクラスが違うだけで同級生だが──ができたのがよっぽど嬉しかったのか、こくどうの成り立
ヒロシマ女子高生任侠史・こくどうっ!(5)
上島安奈はその日のうちに友人を作れなかった。転校生というのは注目を浴びる。安奈はそれがどうも居心地悪く感じて仕方がない。
東京のことを聞かれもしたが、彼女は西東京出身で、二十三区にもまともに行ったことがなかった。
結果、何か困ったことがあったら教えてね、と言われるに留まった。
父は母と離婚した。別に問題のある夫婦ではなかったように思う。暴力を振るったことも、浮気に走ったこともない、と聞いて
ヒロシマ女子高生任侠史・こくどうっ!(4)
「なにを眠たいこと言うとんじゃこんボケがァ! 寝言じゃったら寝かしつけたるけえ寝てから言わんかい!」
渡世の親からの鋭いビンタが、宇品の頬を襲った。文句は口にも顔にも出さない。当然予見していたことだった。
赤茶の明るい髪をツインテールにまとめた宇品より小柄なこくどう──元町天神会直系紙屋組組長、紙屋みのり。天神会一の武闘派である。
「そのへんにしたれや、紙屋の姉妹(しめぇ)よ。宇品は会長の