渡米13-14ヵ月 2年目の秋は一味違う

(更新中)2024年9月-10月

【ファミリー・ストーリー】2024年9月
Labor Day(労働者の日)後の 9/3 より子ども達の秋学期がスタート。マサチューセッツ州では小中学校が一体となっているため、中 2 の長男は第8学年、小4の次男は第4学年での新学期がスタートした。

高学年になると大学の授業のように、教科ごとに教室を移動し、担任の先生もいないため、長男は特に昨年度は授業についていくのに厳しい思いをした。幸い、今年度からは毎朝ホームルームの時間が設けられることになり、また特に語学的な難易度が高い Social Studies(社会)の授業などは、ELの時間に特別な補講などを受けられることになった。

また週末、子ども達に英語を教えていると時折リスニング力などが飛躍的に伸びているのを感じる。

「この状態で一年前にこっちに来たら楽だったのに」と長男がふと冗談を漏らすのを聞いて、本人の中にもようやくこちらでの学校生活に対して心の余裕が生まれつつあるのを感じている。

【フィルムスクール&フルブライトストーリー】2024年9月
9/4 から僕も大学院での秋学期が始まった。今学期は、学生として「Crafting Comedy (コメディ脚本) 」「Motion Graphics (モーション・グラフィックス) 」「Production Design(プロダクション・デザイン/映画美術) 」の3クラスを受講。

それと同時に、 「Foundation Practice(映画制作基礎)」「Cinematography(映画撮影術)」のコースを補助教員としてもサポートしているためとても忙しい。

加えて、今月は 9/12-15 にメイン州で開催されたドキュメンタリー映画祭Camden International Film Festival、9/19-22 にミシガン州デトロイトのフルブライト・エンリッチメント・セミナーにも参加した。セミナーには世界 60 を超える国と地域から 120 人近いフルブライターが集い、4日間、自動車産業の衰退後 Rust Belt(ラスト・ベルト / 赤錆地帯)とも呼ばれ、モータウンミュージック発祥の地でもあるデトロイトで、芸術や音楽がいかにコミュニティを再生し得るかについて議論した。

日本人の参加者は私一人だったが、中にはコソボやベラルーシ、クルドなどから様々な苦難の歴史を乗り越えてやってきた学生や研究者もいて、それぞれの研究分野や学問の領域を超えて語り合い、友情を深める機会を得ることができた。

実は渡米後、これまで日本人以外のフルブライターとの交流が全くなかった
ため、今回世界各地のフルブライターと繋がる機会を得たことは貴重な体験となった。

その後、大学院の課題のリカバーに追われているが、日常を離れて新たな出会いに触れる中で普段の景色が違って見えるような新鮮な感覚を覚えている。

最近では空港を移動するのにも手助けが必要なぐらいにまで視力を失ってしまったが、 こうした出会いや学びの機会を今後、新たな作品や番組作りに生かしていきたい。


【ファミリー・ストーリー】2024年10月
ボストンの秋は東京よりも一月ほど早く紅葉がピークを迎え、イルミネーションが美しいハロウィンのシーズンがやってきた。

長男の帰国後の高校受験を見据え、それに必須となる英検の試験を10/5(土)にニュージャージーで受験した。その結果が今週判明し、長男は英検準2級、次男は3級の一次試験を突破することができた。

特に長男は来年帰国した際には中3となり、日本の勉強には大きく立ち遅れているため、帰国子女枠で受験するのが望ましく、その際には英検2級以上を取得していることが必須となる。実は今年1月に実力試しに英検3級を受験した際には不合格だったため、今回の準2級突破は本人にとっても少し自信につながった様子。合格を知って休憩時間に大学院から本人に電話をするととても嬉しそうな声が聞こえてきた。

英検2級は高校卒業程度の英語力が要求されるためこの先さらに勉強が必要だが、入院やいじめなど渡米後辛い経験を重ねてきた長男にとって自己肯定感を回復する機会になればと願ってやまない。

また、去年の今頃は車もなかったため、遠出もままならなかったが、今年はニューイングランド地方では恒例のアップルピッキング(リンゴ狩り)に行ったり、手頃なチケットを入手してレッドソックス(MLB)や昨年全米で優勝を果たした地元バスケチーム・セルティックス(MBA)の試合を観戦することができた。帰国までの時間があとどれぐらいあるのか、まだ未確定だが、ここにいる間に、なるべくここでしかできないことを経験させて、いい思い出も沢山作ってあげられたらと思う。

【フィルムスクール・ストーリー】2024年10月
2年半の大学院プログラムも今月で折り返し地点に差し掛かる中、10/9にEmerson Todayに僕に関するある特集記事が掲載された。

A New Vision: Emerson Grad Student’s Filmmaking Evolves With Rare Eye Condition

春学期特別講義を聞いてくれたジャーナリズム学部の学生記者が、僕が網膜の難病と闘いながらもそこで得た新たな視点を活かして、ジャーナリスト・フィルムメーカーとして新たな表現の可能性を追求するためにエマーソン大学で学んでいることなどを伝える記事を書いてくれた。僕本人のみならず、エマーソンの教授やNHKの先輩にもアプローチし、彼女がとても熱心に取材してくれた記事は少なからぬ反響を呼んでいて、記事を読んだ人からメールをもらったり、来月にはまた別の特別講義を引き受けることになったりとポジティブな連鎖が続いている。

また、普段、映画制作の基礎クラスで教えている大学生の中に大林宣彦監督の大ファンの学生がいて、取材当時のことを話すととても興味を深く耳を傾けてくれた。

今学期はフルタイムの大学院生としての時間に加えて、補助教員としての仕事もありとても忙しいが、こうした学生とのやりとりに次世代の育成に携わるやりがいや、人に教える機会を通じて自分自身も成長する機会を得られているをありがたく感じる。

日々挑戦を続ける中でうまくいかないことも多々あるが、それは新しい挑戦を続けているからこそ遭遇するのであって、挑戦しなければ失敗もしないし、痛い思いもしない代わりに、成長も変化も進化もしない。動き続けることで、次につながるような思いがけない出会いに恵まれることがある。それは予測不可能だし、全てがわかってしまったらきっと人生面白くもなんともないだろう。どこかで必ず誰かが見ている。僕にできることは、今できることに全力で取り組むことだ。

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