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渡米9日目 無事入学!?世界を変えるクリエイティブフォースに!

目が覚めると深夜2時半。おそらく時差ぼけの続きなのだろうが、最近はすっかり夜中に起きて仕事をすることに体が馴染んでしまった。元々は一日八時間の睡眠を必要とするタイプなのだが、こっちにきてから平均4〜6時間と言った状態が続いている。日中それほど眠気を感じるわけでもなく、夕食を食べると20時頃にストンと眠りに落ちてしまう。朝は仕事が捗るし、こんな生活リズムも悪くない。ひょっとするとこちらにきてから、出費を抑えるために、以前は毎晩睡眠前に飲んでいたビールを全く飲んでいないので、それが体にいいのかもしれない。やりたいことはたくさんある。だが、一日に使える時間は限られている。二十四時間は誰に対しても平等だ。ずっとショートスリーパーに憧れていた僕は48歳にしてそれを手に入れたのかもしれない。

休職中の会社への連絡手続きや子ども達の現地校への入稿に向けたオンラインの手続きなどを進めていると、9時半頃になってようやく家族が目を覚ました。みんな時差ぼけもなくなり、身体が現地に馴染んできたようだ。移動したホテルの11階のベッドは新調されたばかりと会って寝心地もいい。まだアパートには入居できていない。だが、軽く見積もっていた時差ボケに対するセットアップをこの1週間で進められたのは、我が家にとって一歩前進だったと思う。

朝の一作業を終えてシャワーを浴びたい気持ちだったが、気づけば時計は10時前。まだ、オンラインバンキングにログインできず、フルブライトからの初回の支給金を受けて取れていない状況を改善すべく、10時すぎに開店直後のBank of Americaに向かった。今は、ボストン市内中心部に住んでいるため、あらゆる場所にアクセスが良いが、ブルックラインに引っ越すとこうは行かない。明日の引越しを前にどうしても銀行手続き関係は解消おきたい事項のひとつだ。

先週、口座開設時に対応してくれたマネージャーのパトリックに事情を説明すると、すぐに対応を手配してくれた。何度サインインを試みても、2段階認証のメールが届くの遅い。エマーソン大学のメールアドレスを登録しているが、ひょっとするとセキュリティ上の問題で悪さをしているのかもしれない。対応してくれたとても親切なレイチェルに相談すると「Good Call」といい、すぐにアドレスを変更してくれた。するとすぐさま認証用のメールが届き、2段階認証でログインできなかった問題を解消することができた。ようやくフルブライトが振り込んでくれた奨学金にアクセスすることができ、ドルで支払われたその金額を確認したとき、これでようやくいちいち家賃や生活費などを今日の日本円のレートで換算する習慣を脱して、アメリカの通貨で生活ができると安堵の感覚がみなぎってきた。銀行で引き続き、大家さんへの家賃の支払い手続きを進めていると妻から電話がかかってきた。

「すぐにメールをみて」

どうしたの?と聞くと、なんと明日入居予定のマンションに住んでいるご家族が、引越し業者の都合で今日荷出しができなくなってしまったので、明日の入居日を延期してもらえないかとの相談だった。やれやれ、一難去ってまた一難。日本では考えられないようなことが、本当に色々とあるものだ。しかも多分これで終わりではないだろう。ドキュメンタリーや映画の制作現場はは問題解決そのものだとよく言うが、そのためのトレーニングを日々積んでいるようなものかもしれない。

結局、荷物は明日の14時から16時に引越し業者が取りに来ることになったらしく、色々と解消しなければならい問題はあるものの、僕たちは明日、予定通りに入居することにした。

今日はこれからエマーソン大学でのオリエンテーションが控えている。だが、舞い込んだ新たなハプニングに対応しているうちに、余裕を持って出発しようとしていた時間をロスしてしまった。急足で大学へと向かい、学生証をピックアップした時にはすでに留学生向けの15時からのオリエンテーションの時間にゆうに遅れてしまっていた。初日から遅刻してしまうとは、なんとしたことだ。うんざりしながら会場にたどり着くと、ボンベイから来たツシャーが隣に座るように促してくれた。留学生向けのオリエンテーションは、初めて留学をする大学生向けのような内容で、特に遅れてもたいした内容じゃなかったよ、と参加した同じく映画学部の他の仲間が話してくれた。

16時過ぎにオリエンテーションを途中で切り上げて、同じ映画学部の仲間と共にエマーソン大学が所有するパラマウントシアターへと向かった。どうやら、これから3年近い歳月を共にする仲間や教授との初対面が控えているらしい。劇場のあるビルのエレベーターを上がるとこれまでオンラインで何度か履修登録について相談してきたProgram Directorのデイビッド教授が笑顔で待っていた。

「ここにいる仲間はあなたたちがこの先一生を共にする戦友のような存在です」

開口一番、彼はそういった。かつてNYUで一緒に学び、苦楽をともしたクラスメイトとはやはり今も戦友のようは存在で、最も信頼できる仲間達だ。きっとここにいる仲間とも今後そういう関係になっていくのだろう。留学生は圧倒的に中国人が多いことに少し驚いたが、ひとりひとりの自己紹介に耳を傾けながら、初対面で過ごすこの日をとても愛おしく感じていた。

僕自身がカメラマンディレクターであり、シンガーソングライターでもあることを伝えると、何人かのクラスメイトがとても興味を持ってくれて、名前を教えてくれといい、スポティファイなどのサブスクで聴ける曲を紹介すると少し興奮した様子で握手を求めてきた。僕も彼らと今後一緒に映画を撮るのが楽しみでならず、同じ気持ちであつい握手を交わした。

「Be the Creative Force to change the world」
(世界を変えるクリエイティブフォースになりなさい)

その後、パラマウントシアターのホールで大学院生向けのオリエンテーションが行われた。学校長を含めて、様々な祝辞が送られたが、とても心に響く言葉があり、その一つがこの一言。1880年に創設されたエマーソン大学は、映画やドキュメンタリー、ジャーアナリズム、アート、アニメーション、広告、コミュニケーションなど、クリエイティブな力が求められる分野で世界的に活躍する先人達を生み出してきた150年近い伝統を誇る大学だ。その信念がこの一言に込められていると知り、それは全く僕自身がやりたいことと合致していた。

「映画、音楽、ドキュメンタリー、ジャーナリズム、そして人生という名の旅・・・僕の中にあるクリエイティブフォー(創造する力)を結集して世界を変えていきたい」
これが今、僕の中に心からの思いだ。そこには一点の曇りもない。ひとりひとり、世界各地から全く異なるバックグラウンドの元に結集した仲間達。彼らとこれからどんな作品を生み出すのか。そのコラボレーションが楽しみでならない。

DAY9 20230831木3252-3359-3414

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