渡米半年 緊急入院 心が悲鳴をあげている!?
渡米187日目 2024年2月25日(日)
長男が最近、一週間近く入院した。今月に入ってずっと体調が悪く、Boston Children’s HospitalのERでMRIを受けたところ、3度目の検査でようやく脊髄炎と判明した。まだ採取した髄液と血液の検査が続いていて、詳しい原因はわかっていない。2月17日(土)の深夜から緊急入院し、22日(木)に退院するまでの間に、免疫力を高めるグロブリンの投与を受けたが、2度目の接種の後には激しい嘔吐と頭痛に襲われた。退院した当日には全く元気がなかったが、翌日にはお寿司が食べたいと口にするようになり、ようやく笑顔も戻ってきた。
「痛い、痛い!なんで僕ばっかり、こんな目に遭わなければいけないの?」
その矢先、やはりここ一週間ほど発熱があり体調を崩していた次男がインフルエンザにかかっていることがわかった。こちらのかかりつけ医はこういった時にほとんどなんの役にも立たないため、アージェントケアを受診し、処方されたタミフルを与えたところ、真夜中に腹痛を訴えた。おそらく、タミフルの副作用なのだろう。その際、不意に次男が発した言葉に耐え忍んできた家族の思いが集積されているように感じて、申し訳なさを感じずにはいられなかった。
まさに我が家は今、満身創痍だ。この半年、慣れない土地で我慢して頑張ってきた中で、みんなの心と体が悲鳴を上げている。きっと色々と省みるべきタイミングなのかもしれない。長男が体調を崩して以来、この3週間はさすがに大学院の授業もいくつか欠席せざるを得なくなった。以前留学していたニューヨークと比べてボストンは映画を撮る以外にはやるべきことが何もない街で、エマーソン大学で学ぶ時間はとても充実しているが、果たして家族にとってはどうだろうか。
半年経っても子供達の英語力にあまり変化がなく、特に長男は全く学校に馴染めていない。そして生活費も半端なく高い。子ども達は学費のかからない現地の公立校に通っているが、ボストン中心部にある大学から一時間近く離れた郊外のアパートでも家賃だけで3100ドル(約47万円)はかかる。歴史的な円安も重なり、物価も日本の2、3倍の感覚はある。僕たちはこちらにきてほとんどお金を使わないようにしているし、外食なんてもってのほか。まだ名物のロブスターすら一度も食べに行っていない。子供達の学校は今週冬やすみで、アラスカでオーロラを見たり、カリブ海でのバカンスを満喫している家族もいる中で、我が家にはとてもそんな余裕はない。アメリカの物価が高いのではなく、賃金も含めてやはり日本が安すぎるのだろう。そんな当たり前の事実を身をもって感じる。遠く祖国を離れてみて、日本はなんでも手頃で生活のしやすい国だったことを痛感している。
それでもこの一年目は、フルブライトから学費が全額支給され、生活費も一部支給されている。だが留学2年目以降は、奨学金の総支給額も激減する。この歴史的な円安と物価高の中でいったいどこまで残りの貯金が持つのか、不安が尽きない。今、当初思い描いていたよりも厳しい現実に直面している。
今、本当に苦労していると実感する。視力が失われていく中で、生きているのが辛いと感じる瞬間もある。「若いうちの苦労は買ってでもせよ」という。僕はそれほどもう若くはないが、やはりこの体験は今後、僕自身に人生の価値観を変える大きな財産になるだろう。だが、家族にとってはどうだろうか。そこに巻き込まれた以上の何かが得られるだろうか。今、僕はそう言い切れる自信が持てなくなってきている。
昨年、8月23日に家族で渡米して以来、一昨日で半年が経った。年が明けて新たな短編映画の撮影を迎え、大学院の春学期が始まり、再び怒涛の日々がやってきた。この春学期は履修した3つのクラスに加えて、2つのクラスを聴講しているため息つく間も無く忙しく、気づけば2月も終わりに差し掛かっている。このNoteを綴る時間も惜しんで、今ここにある日々を精一杯生きているが、時には少し立ち止まって気持ちを整理する時間も必要かもしれない。写真まで載せる時間はないかもしれないが、日々少しずつでも言葉を残していこうと思う。
20240225日0213-0315-0333