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長腓骨筋(Peroneus Longus)
足関節外反筋として知られる、長腓骨筋。
前回の後脛骨筋とともに足部のアーチに関わる筋の1つで、長腓骨筋は特に外側縦アーチに関係が深いです。
また、足関節捻挫後に筋力低下や滑走不全を起こしやすい筋でもあります。
それでは早速いきましょう!
長腓骨筋の起始停止
(Visible bodyから引用)
起始:脛骨外側顆、腓骨頭、腓骨外側面
停止:内側楔状骨、第1中足骨底
支配神経:浅腓骨神経L5~S1
作用:足の底屈、外がえし
(基礎運動学第6版)
起始:腓骨頭、腓骨体外側面の上半
停止:内側楔状骨、第1~2中足骨底
支配神経:浅腓骨神経L4~S1
作用:足を外反し、足底側に曲げる
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:脛骨外側顆、腓骨頭、腓骨外側面近位2/3、前・後下腿筋間中隔
停止:2つの筋束は内側楔状骨、第1中足骨底外側面
3つ目の筋束は第2中足骨底へ停止することもある
支配神経:浅腓骨神経L5~S1
作用:足関節底屈、足部の回内、第一列の底屈
(オーチスのキネシオロジー第2版)
長腓骨筋は腓骨から始まり、外果の後方を通って、足底を横断して第1中足骨に付着します。
後述しますが、足底では後脛骨筋と腱が交叉して、クロスサポートと呼ばれる足部のアーチを支える構造も有しています。
筋機能
長腓骨筋が足部回内機能を有していることは疑いようがありません。
回内の総仕事量の約65%を担っているという報告もあり、
足部回内の主動作筋であると考えられています。
一方、底屈に関してはモーメントアームもアキレス腱よりもかなり小さく、
二次的な役割しか果たしていないと考えられています。
少しマニアックかもしれませんが、長腓骨筋は第1中足骨に付着するため、
第一列の底屈作用によって前足部を安定させる役割を担っています。
これは歩行時の立脚中期における前足部の安定化に重要な機能です。
長腓骨筋の短縮は、距骨下関節の回外を制限することが予測されますが、
実際には主に第一列の底屈として表れることが多いと言われています。
第一列が底屈位で荷重すると第一中足骨頭に過剰な負荷が加わるので、
第一中足骨頭に疼痛や胼胝が生じることがあります。
長腓骨筋の筋力低下では、足部の回内筋力が低下します。
その結果として後脛骨筋などの回外筋によって足部は内反や内反尖足といった変形を呈することがあります。
クロスサポートメカニズム
(Visible bodyから引用)
長腓骨筋と後脛骨筋は足底で交差し、クロスサポートを形成します。
このクロスサポートは、両筋が同時収縮することで内反と外反がつりあい、
足根骨を安定させる機能があります。
両筋とも底屈作用を有しているので、
特に底屈動作にて重要となる機構です。
踵上げが安定しない選手や母指球に体重を掛けられない選手は、
このクロスサポートが上手く機能していない可能性があります。
一般的なセラバンドなどを用いた内反トレーニングや外反トレーニングも良いですし、実際にHeel raiseをした状態で母指球と小指球に荷重位置を変えるようなトレーニングも有効です。
筋膜連結
筋膜連結としては、ラテラル・ライン(LL)とスパイラル・ライン(SPL)に含まれます。
LLでは、
腓骨筋⇒前腓骨頭靱帯⇒腸脛靭帯、大腿筋膜張筋、大殿筋⇒(中略)
と続きます。
過去に大腿筋膜張筋や大殿筋でも解説していますのでそちらも参照にしてもらいつつ。
少し細かい話になりますが、長腓骨筋と短腓骨筋は外側下腿区画で融合します。
厳密にはLLがここから始まるので、施術の際は意識してみてください。
SPLでは、
(中略)⇒大腿筋膜張筋⇒前脛骨筋⇒長腓骨筋⇒大腿二頭筋⇒(中略)
と続きます。
前脛骨筋と長腓骨筋の連結は一見つながらないように見えます。
しかし、内側楔状骨と第一中足骨の間の関節包に前脛骨筋が付着し、
その関節包の反対側で長腓骨筋との直接的な筋膜接続があります。
この筋膜連結は足底のあぶみを形成しており、アーチにも関係していると考えられています。
長腓骨筋の周辺組織
長腓骨筋の腓骨頭付着部からやや下方に総腓骨神経が侵入していきます。
また、後方ではヒラメ筋と隣接しており、滑走不全を起こしやすい部位でもあります。
前方には長趾伸筋、深層には短腓骨筋があります。
下腿外側には筋も多く密集しているため、それぞれの関係性を整理し、
性格に触診できるように練習しましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
足部に関連する筋を続けて紹介していますが、少しずつ整理できてきたでしょうか。
足部は骨も多く一見複雑に見えますが、1つずつ整理していきましょう!
それではまた来週!
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