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広背筋(Latissimus Dorsi)

腰から腕まで続く大きな筋肉である広背筋。

肩の痛みから腰痛まで様々な身体の不調との関りも大きい広背筋についてしっかり整理していきましょう!

広背筋の起始停止

起始:下部胸椎・腰椎・仙椎棘突起、腸骨稜、下部肋骨、
   肩甲骨下角、胸腰筋膜
停止:上腕骨小結節稜
支配神経:胸背神経C6~8
作用:肩関節の内転・伸展・内旋
(基礎運動学第6版)
起始:第6~8以下の胸椎・腰椎・仙椎棘突起、腸骨稜、3~4の下位肋骨、
   肩甲骨下角、腰背腱膜浅葉
停止:上腕骨小結節稜(大円筋腱の下から180°ねじれて付着)
支配神経:胸背神経C(6)7~8
作用:上腕を内転し、後下方に引く、多少内旋させる
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:上部は僧帽筋に覆われて下位6胸椎の棘突起、胸腰筋膜、
  腰仙椎の棘上靱帯、脊柱起立筋の外側で腸骨稜後部の外唇、9~12肋骨
停止:結節間溝の底部、肩甲骨を覆うように肩甲骨下の外側に付着
支配神経:胸背神経C6~8
作用:肩関節の内転・伸展・内旋・下制
(オーチスのキネシオロジー第2版)

起始の広さを見るだけで、肩だけでなく背骨や骨盤、肩甲帯まで関係していることがわかります。

改めてどの部位でも触診できるかどうか確認してみてくださいね。

筋機能

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(Visible bodyから引用)

筋電図による研究では、広背筋と大円筋は肩の伸展・内転・内旋に作用していることが報告されています。

しかしこの2つの筋の違いは、大円筋が上記3つの運動に対して抵抗があるときのみ筋電図の活動が認められているのに対し、広背筋は抵抗の有無にかかわらず活動することです。


また、肩関節の下制に働くことも証明されています。

支配神経がC6から始まることから、脊髄損傷患者においては移乗などでのプッシュアップ動作の主動作筋としても知られています。

肋骨にも付着を持ち、努力性呼気、努力性吸気のどちらにも関与している可能性も示唆されています。


広背筋の短縮は臨床的に非常によく見られ、肩の屈曲、外転、外旋を制限します。

少し細かいところでは、肩甲上腕関節の不安定性や骨頭の運動不良の原因であることもあります。


野球の投球動作やバレーボールやバドミントンといったオーバーヘッドスポーツでは上肢挙上位からの急激な伸展内旋という動きが非常に重要となり、ハイパフォーマンスに欠かせない筋肉の1つと言えますね。

その分硬くなりやすく、投球障害を持つ選手で広背筋の硬さが痛みを助長させてしまっていることも少なくありません。

両肘をくっつけて挙上させていく、広背筋テストなんかでも簡便な評価ができますので1度は見ておくと良いでしょう。(両肘を離さずに鼻の高さを越えられたら合格です)

筋膜連結

筋膜連結では、スーパー・フェイシャル・アーム・ライン(SFAL)とファンクショナル・ライン(FL)に含まれます。

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大胸筋、広背筋⇒内側筋間中間⇒手根屈筋群、手根管

このラインは大胸筋の記事で詳細をご確認ください。

このラインでのエラーは主に肩や上肢の痛みに関係してきます。


ファンクショナルラインでは、かなり主要な筋となります。

画像2

広背筋⇒仙骨筋膜⇒大殿筋⇒外側広筋⇒膝蓋骨下腱

このラインは過去に大殿筋で解説しています。

このラインのエラーは腰痛や背中の痛みなどに関係することが多いですね。

同じ広背筋でも、筋膜のラインによって症状が出る部位が異なることもあるので、ぜひ色々な視点からみれるようにしていきましょう。


広背筋は、SFALでは同側に、FLでは対側に影響を与えます。

これが少しややこしいところなのですが、筋膜ラインに沿ってストレッチや徒手的に伸張をかけると、どこが硬くなっているのかわかります。

広背筋が硬くなっていれば、同側と対側のどちらにも影響を与えていると考えて評価を進めていくことが重要となります。

経絡

直接的に筋の上を走行する経絡は、膀胱経になります。

画像3

筋膜のアームラインとのつながりを考えると肺経や小腸経などとも間接的にかかわっています。

この辺りは、ぜひそれぞれが筋膜と経絡、その他のつながりを意識しながら臨床をみていくことで新たな発見がありますので、muscleマガジンをそのきっかけにしてもらえたらと思います。

広背筋の周辺組織

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(Visible bodyから引用)

広背筋自体がかなり大きな筋なので、もちろんその周辺にある組織も非常に多いです。

腋窩周囲で見ると血管、神経、リンパ、筋。

骨盤帯周囲で見ると腹斜筋、腹横筋、多裂筋、大殿筋、脊髄神経などが非常に複雑に存在しています。

理想は、やはりそれら1つ1つを丁寧に触り分けて、必要な部分を評価治療できることですね。

広背筋は表層にも深層にもたくさんの組織があり、さらには臨床的に問題にもなりやすい筋の1つなのでぜひ色々と思考しながらみてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

かなり過去の投稿とのつながりも増えてきているので、ぜひ今一度見直してみてください。

そしてさらに理解を深めていただけたらと思います。

それではまた来週!

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