058 死を目前にした僕は冷静である
内戦で多くの命が奪われる、小さな島で経験したのだろう僕の話。
僕はとある事件に巻き込まれ、命からがら顔馴染みのドライバーが運転するトラックに飛び乗った。
飛び乗ったと言うと語弊があるが、実際は向かってくるトラックのフロントガラスに向かって、飛び移ったという感じ。
僕の大きな足をかけるには無理のあるバンパーにつま先を乗せ、右手を限界まで伸ばして、壊れかけたサイドミラーを掴んだ。
太ももには車の小さな突起が食い込み、5分もしないうちに足からは力が抜け、自分の限界を感じたものの、前から降りかかる風の力がなんとか僕とトラックを繋げてくれていた。
何度も何度も、ドライバーに「車を止めて中に乗せてくれ」と叫ぶが、車を止める気がないようだ。彼自身、逃げるのに必死なんだろう。
「まぁいい、このまま僕は死ぬんだきっと。」
「嫌だな。このまま落ちたらトラックに踏まれちゃうや。」
諦めと恐怖が適度な分量で混じり合ったのか、冷静にそんなことを考えることができたが、結局トラックから落ちることもなく、1時間ほど山道を走り抜け、そのまま麻痺していく足の感覚と共に、僕は目を覚ました。
昨夜の夢の話。
夢なんだけど、その1時間が本当に1時間だったのではと思うほど長く、寝ぼけたままの僕は「もうこのまま歩けないんじゃないかな」って本気で考えた。
「トイレに立ち上がれば、体が動くことに安心できるかも?」と思ったが、なぜか体は動かない。不安の中で「何か難病にでもかかったのでは」とよくわからない考えが頭をよぎる。
ただ、悪夢によっぽど疲れたのか、そのあとの記憶もなく朝を迎え、今こうしてnoteを書いている。
一点、この夢の嘘は「顔馴染み」といった運転手が、10年ほど前に亡くなった祖父だったことだ。
大学進学で実家を離れる日、「成功するまで帰ってくるなよ」という祖父の言葉を思い出した。
落ちそうな僕を見てもトラックを止めなかった祖父。
まだ成功を諦めるに早いと言うことか。
「成功が何かは知らんけど、諦めてはいるよおじいちゃん。」
あれ?このオチ前もあったかも。まぁいいか。
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-もの-
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(カバー写真:クラビの暴走トラックの荷台から撮影した動画の切り抜き。死ぬか思った。)