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079 Just wanted some snacks

01 白
自宅で、あの黒い生き物を見つけると、僕たちは問答無用で殺しにかかる。

なにか特別に悪いことをしていた訳じゃない。

黒光った色と、わらわらとしたあの動きで、ただそこにいただけである。

でも、ここは僕の家、自分の領土。

僕の目の前に嫌いな姿で現れた、ただそれだけでやつらの存在は死に値する。


02 黒
僕たちは殺される。

ただそこに生まれ、お腹をすかしているだけなのに。

「確かに人のものを盗むことはダメなことだけど、それだけの理由で残虐に殺していいの?」

家族や仲間たちに次々と毒ガスが噴霧される。

「僕たちはどれ程に悪いことをしたの?」

スナックが欲しい、ただそれだけなのに。


03
今日、UNKNOWN ASIAで出会ったbyNさんの作品は、黒い生き物を「こきぶり」というキャラクターで描いていた。

そして、このネガティブな存在を、残虐な日常をとともに「カワイイ」世界に変換することで、優しく現実に向き合わせてくれた。

彼女は言った。

「戦争も同じだと思う。きっかけはそんなに大きなことじゃない。スナックが欲しかっただけ、そのくらいで人々は戦争を起こしているのだ」と。

生きたい。

もっと生きたい。

硬骨な大人たちに押し付けられた、歪んだ社会の映り方に目を閉じて、今、自分が信じる正しい生き方で。

生きたい、生きてやるんだい。


※感想として、僕の言葉に変換していますが、実際のBy Nさんのメッセージはもっと深くて力強いものでした。拙文、切にお許しください。

***


-こと-

Unknown Asia 2023
高津祐次賞「
By N

今年も大阪を代表するアートフェア「Unknown Asia」にレビュアーとして参加させてもらい、約120組の作家さんの中からBy Nさんにレビュアー賞をお渡ししました。
僕たちの生きる世界に蔓延る大きな恐怖と、目の前の小さな恐怖を「かわいい」世界に変換して風刺した作品は、僕の心に強く残るメッセージでした。

たくさんの作品に出会い、心動く展覧会。
この三連休、大阪梅田のグランフロント北館で開催されているのでぜひ。

▶︎ 紀陽銀行 presents UNKNOWN ASIA 2023


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