振込手数料の負担

振込手数料をどっちが負担するのか、という問題があります。

これは法律上の話と、商売上の話の二つに大きく分かれます。+

3万円の請求書を受け取って、振込手数料が110円かかるとした場合、3万を振り込んで別途自分が110円負担する方法と、30000-110=29,890を相手の口座に振り込み、実質的に110円は先方が負担する(させる)方法があります。

一般的には先方負担(相手に負担させる)が圧倒的に多い印象。まぁ、勝手に値引きしているとも言えます。こちら側がお客さんなんだから、相手が(それくらいは)負担しても当然だろう、という考え方があるような気がします。

これ、法律的にはどうなるかというと、

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。(以下略)

民法485条

買った方はお金の支払いに関しては債務者です。お金を払わないといけないですから。ということは、支払う場合は、支払う人が負担するのが原則です。なので勝手に引いたりしてはいけないわけです。契約書に売った方が負担する、と決めてある場合は、差し引いて払えばいい。

法律的には多分こういう結論になるんだと思いますが、みんなこの条文を無視してますよね。ただ、数百円で訴えを起こしてもしょうがないので、引かれた方は、泣き寝入りというのが現状でしょう。値引きなどとして処理しています。

この問題、法律的にはこれでいいわけですが、大事なのはここからです。

売った側(サービスを提供した側)からすると、「勝手に差し引きやがって!」となります。おもしろくない。

ギリギリまで安くしてやったのに、700円とか引きやがって!となるわけです。

請求書などを見ると、わざわざ赤インクで「振込手数料はご負担下さい」とか書いてあったり(スタンプのこともある)、「○○円未満の場合はご負担ください」と書いてあるときもあります。要するに、引かれて愉快になる話ではないことの証。

では、勝手に引かれた方はどうするか?黙っているわけではないんです!

こっそり値上げしていたりします!ここはいつも振込手数料引いてくるから、1000円ぐらい余計に請求しておけ、となります。そういう話をしている社長さんは珍しくないのです。”目には目を、歯に歯を”です。

ということは素直に払っていれば数百円で終わっていたのに、1,000円とか3,000円とか、わからないように上乗せされてしまい、結果損をしているわけですね。

そもそも、商売倫理上、どうなんだとも思います。いかにも「買ってやっているんだ!文句あるか!」と言わんばかりのこの態度。

商売というのは、嫌われたらおしまいです。人に好かれることは非常に大事なことなんです。

たった数百円で、嫌われるわけ。人格にも疑いがかかる。「こんなことするんだ、あの人は!」と思われるんです。

私は、たった数百円で嫌われたり、信用を失ったりするのは、割に合わないと思うので、絶対に引いたりしません。そもそも人の嫌がることはしてはいけないというのが人間の基本でしょ?

もし、どうしても引きたいのなら、「今苦しいので、引かせて下さい」と言えばいい。それに対して文句言う人はいないと思います。そうか、わかった、じゃあ引いて下さいと言う経営者が多いんじゃないでしょうか?みんな苦しい時代を忘れていませんから。

いいなと思ったら応援しよう!