社長が絶対に社員に言ってはいけない一言(その1)
社長が言ってはいけない一言はいくつかあるので、一つずつ書いていこうと思います。実際に聞いたことがあるものです。
今日はその一回目。
「今忙しいから後にして」
これ、実際よく聞きます。
社員が社長に対して話があって言いに来ているときに、自分が(社長が)何かやっていて手が離せないような状況で出てくる一言です。
これ絶対ダメです。
本当に手が離せないこともあるでしょう。そのときは、「今手が離せないから、○時○分頃もう一回来てくれる?」とか言うべきです。
社員の言うことを聞く、ということ以上に重要な仕事って何ですか?手が離せないって本当ですか?と思います。手を離してでも、仕事を中断してでも最優先で聞くべきと思うからです。
社長の仕事で一番大事なことは何なのか?社員と話をすること、と言っても言いすぎではないです。
社員からすると、「おまえなんか、後回しでいいんだ」と言われているのと同じことです。少なくとも大事にされているとは思えない。
こんなことを繰り返していれば、「どうせまた忙しいとか言われるに決まっている」となって、そのうち、言いたいことも言えなく(言わなく)なってしまうでしょう。
社員との意思疎通はすべての土台になります。社員との信頼関係を築きたいのなら、まず話をすることです。いい会社にしたいなら話をすることです。
「対話は、部下の信頼を得るうえで効果的なツールなのです。」
自らそれを拒絶してどうするんでしょう?
社長さんと社員の会話というのは、圧倒的に少ないです。まるで時間をとっていない。一日、何分話してますか?挨拶程度のところがほとんど。
何も話すこともないし、何かあれば言ってくるだろう、何もないから言ってこないのであって、それはそれでいいじゃないか!そう考える社長さんもいるかと思います。
それ、間違いですよ。社員は言いたいことの8~9割は話しません(これは私の感覚なので、データがあるわけではないです)。小さなことでも聞き出して始めて話してくれます。こちらが積極的に聞き出さない限り、社員の本音なんて絶対わかりません。
よく「傾聴」とか言いますが、実際の会社で行われていることは、傾聴とはほど遠いですね。
なぜ、社員は思ったことをほとんど話さないのか。これはいろいろ原因がありますが(長くなるので今回は省略)、最悪なのは「言ってもムダ」と思われているケース。これ本当に最悪です。
いろいろ提案したりしても、社長が聞く耳を持たないと、そのうち、これは言ってもムダだな、嫌われるだけ損だと思いはじめるわけです。
長くなってきたので、最後に社長さんの大いなる勘違いを一つだけ言っておきます。話を聞くことと、同意することは別です。話を聞くこと=同意すること、と思って聞かない人はかなり多い印象があります。
オレはオレのやりたいようにやるんだ、社員の指図は受けない、などと思っていると、聞こうとしなくなるわけです。聞いたら負けだ、ぐらいに思っているんじゃないでしょうか?
話を最後まで聞いた上で、反論する方が効果的であるとする心理学上の見解があることは知っておいた方がいいと思いますね。オレのやりたいようにやりたければ、社員の話は最後まで聞いた方がいいんですよ。逆説的ですが、私は正しい見解であると思っています。
このあたりを詳しく知りたい方は「新版 人づきあいの技術」(サイエンス社)という本を読んでみて下さい。社会心理学の本です。少し専門的ではありますが、役に立ちます。このサイエンス社のシリーズ(セレクション社会心理学)はかなり読んでますね。