最低賃金上昇

今年も最低賃金が上昇することはわかっていましたが、問題はその額。

全国平均で1054円とのこと。引き上げ目安が50円。

昨年は40円くらい上がったので、同じくらいかなと思いましたが、そうではありませんでした。1500円に向かってまっしぐらです。

1054円でフルタイム働くと(=週40時間めいっぱい働くと)いくらになるか、計算してみます。

1か月ざっと172時間になりますので、1054×172=181,288円となります。安いと見るか、高いと見るか。

これくらいの額になりますと、中小企業の場合は、最低賃金を切ってしまう会社も出てくるはずです。特に事務系の職種の場合は危ないですね。

最低賃金を下回る給与を払っていて、これが労働基準監督署にバレますと、さかのぼって払わされます。最低賃金法違反になるから。

最近では時給=最低賃金にしている会社も多くあります。特にパートさんなんかの時給ですね。

そんなわけで、年に1回の昇給時期が4月ではなく、10月になっている会社もたくさん存在します。算定基礎届の時期も変えたらいいかもしれないですねえ。

時給の社員の場合は最低賃金を下回っているかどうかはわかりやすいのですが、月給の場合はわかりにくい。特に精勤手当など最低賃金の計算上、外して計算しないといけない手当もあるので要注意です。

例えば、月給18万、精勤手当が1万、家族手当が1万で合計20万の場合、先ほどの181,288円を上回るから、大丈夫かというと、ダメです。

精勤手当や家族手当は計算に入れてはいけません。なので、18万で考えることになります。180,000<181,288なので、アウトです。

なぜ精勤とか家族手当を外すのかというと、これは恩恵的なもので、実際の労働の直接的な対価ではないということだろうと思います。休まず働いたから、少しプラスしてやろうというのが精勤手当という解釈です。ボーナスみたいな解釈ですね。
家族手当も一生懸命働いたから払うものではなく、単に家族がいるから、ということで恩恵的に支給していると考えているのだと思います。

つまり正味、働いた分に対応する給与だけを対象に考えるのが最低賃金だということです。

精勤手当あるいは皆勤手当をつけている企業はいまだにかなり多いです。正直あまり意味ないと思いますね。有給使ってもこれ、カットできません。同じように支給しないといけない。
サボりの防止にもなりません。サボりたい人からすると、「減らされてもいいですから、休みます」ということになり、「払いが少なくなっているんだから会社は得しているでしょ!」という言い方もされかねない。

そもそも精勤手当というのは、背景に「サボったら給与減額するぞ」という考え方があり、社員を信用していない給与制度とも言えるわけです。真面目に出勤する社員からするとまったく意味はありません。疑われているようで、気持ちのいいものではないです。真面目でない社員からすると上記のような言い方をされてしまうので、結局、何の意味もない。

そんなわけで精勤とか皆勤を付けている会社さんは、よく検討された方がいいですね。最低賃金対策としては単純に基本給に加えてしまえばいいと思います。単純に基本給に加えれば、社員にとって不利益になるわけではないはず。もちろん給与制度によっては不利益になる場合もあるかもしれないので(休んだ場合の控除などの仕組みによってはありうるかも)、そこは賃金規程などをよく見て考えてください。社労士さんに相談した方がいいと思いますね。

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