法律でお金は戻ってこない
商売をやっていると、たまにお金を払ってくれない人が現れます。何度催促してもなしのつぶて。そのうち、音信不通。長く商売をやっていると1度や2度、そういう経験をしたことのある方は多いと思います。私もあります。
当事者としては、本当に頭にきます。そのときに、「よし、訴えてやろう」と考えて、弁護士さんに相談されたりする方もいらっしゃるでしょう。
ところが、弁護士さんでも、どうにもならないことがあります。
「ないところからは取れない」という事実があるから。
訴訟を起こしたとしましょう。勝訴したとしましょう。債務名義を取得したとしましょう、差押えするぞ、と意気込んでも、相手に資産がなければそこで終了です。お金や資産を持たない相手に法律は無力です。
ここは重要な点です。相手に資力がなければ、法的に何をしても無駄に終わるんです。
しかしです、債権回収に必要なものは、気合いです!何がなんでも回収するぞという意気込み。これが重要です。法律が無意味だということではないです。法的手段が功を奏することももちろんあります。
法律では回収できなくても、強い意志で回収に成功した例を何回も見てきました。毎日、通い詰める。毎日電話する。そんなことをしていると、相手は根負けしてくるんですね。これ、法律の効果ではありません。
債務を踏み倒すような人は、うるさい人から払う”習性”があります。これも法律とは何の関係もない事実です。
債権回収は、諦めたらそこで終わり。そういうものだと思います。
踏み倒されないようにするには、いくつかポイントがあります。
1.契約書をきちんと交わすこと→これは最重要ポイントです。最初がいい加減だとトラブルは起きやすくなります。
2.いきなり大きな金額で掛けを作らないこと→最初は現金取引とか、前金とかそういう形でスタートした方がいい場合もあります。
3.遅れたらすぐ催促→時間が経つと払おうという気持ちがなくなってくるからです。
4.無理な受注をしないこと→相手がよくわからない人だったり、取引し始めの場合は、慎重にやるべきです。お金欲しさに負けないよう注意して下さい。
債務を払わないで、平気な顔をしている人は、いずれ天罰が下ると私は固く信じています(笑)。少なくともそんな会社は絶対に発展しません。当然ですね。
ただ、そういうところと取引をしてしまったことも冷静に反省するべきです。どうしてこうなったのか、よく振り返って考えることも大事。
ここまでは踏み倒された側のお話でしたが、今度は逆の立場で考えてみましょう。
もし、払わないといけないのに払えなくなったら、正直に事情を話すことです。絶対に逃げてはいけません。もし逃げたらあなたの事業も、あなたの人生もそこで確実に終わります。正直に話して謝罪すれば、仮に倒産しても再起できる可能性があります。現にそういう話はたくさんあります。が、逃げたら再起はできないと考えてください(再起したという人もいるかもしれませんが)。
逃げ切って、別の事業を始めてもうまくいくことはないです。そのような”成功体験”は必ずあなたの足を引っ張ります。事業とはそういうものだと思います。世間を敵に回して成功することは、事業というものの成り立ちを考えたとき、100%あり得ないのです。