レナウンと小泉グループ

レナウンはかつて存在した有名アパレルメーカーなのですが、最終的に破産しました。迷走して、最終的に中国の会社が親会社になり、霧散してしまったような感じがしますね。経営者がダメだったなという印象が残っています。

しかし、レナウンが持っていたブランドはアパレルメーカーなら欲しくなるようなものばかり。「ダーバン」にしろ、「アクアスキュータム」にしろ、ブランドとしては申し分ない。カジュアル系では「シンプルライフ」というものもありました。社名そのものもブランドだったと思います。

これを引き受けたのが、オッジ・インターナショナル。やっと出てきました小泉グループ。この会社、元はどういう会社だったのかはわかりませんが、平成になってから小泉グループの傘下に入っています。正確に言うと小泉株式会社の傘下。本店は大阪。

今回、このオッジ・インターナショナルが、社名変更して、レナウン株式会社になるというお話。詳しくはこちら

この記事によると、破産した会社は株式会社レナウン。今回の社名変更は、レナウン株式会社とのこと。いわゆる”後株”です。縁起悪いとか、そういう感覚なのか、単に区別しようということなのかはわかりません。

どっちにしても、小泉グループとしてはいい買物をしたなと思います。

ここで思い出すのは、「ゴールデンベア」。パターンが同じなんですよね。

小杉産業という会社がありまして、この会社、ジャック・ニクラウス(懐かしい)と提携(?)していて、商品としては、「ゴールデンベア」を展開していました。

小杉産業はその後、破産。受け皿として小泉グループが出てきました。株式会社コスギを設立して、「ゴールデンベア」を手中に収めたという経緯があります。詳しくはこちらの年表を見て下さい。

今コスギの社長をしているのは、小杉産業に勤めていた小杉さん。多分、小杉一族でしょう。この方が入社した頃はもう手遅れだったのではないかと想像します。今は立派に経営されていますね。

さて、小泉グループについてちょっとだけ説明しようと思います。私は関係者ではないので、第三者的な視点で書きます。

小泉グループは、まず大きく小泉株式会社と、小泉産業株式会社の二つに分かれます。小泉株式会社は祖業といってもいいでしょう。繊維関係全般です。小泉産業株式会社の方は繊維以外です。

小泉グループは、いわゆる近江商人の出。今でも近江商人の古い舘が建ち並ぶ五個荘からスタート。生粋の近江商人と言えます。

そう考えると繊維がメインというのは頷けます。同じく近江商人で今も繊維系の外与株式会社を思い出しますね。どっちも300年の歴史。すごい。

先ほど出てきた小杉産業ですが、この会社も元は近江商人です。北海道で事業をしていたらしい。近江商人は北海道で商売をしていたことは有名な話。地名としては松前とか有名ですね。同じ近江商人ということで救済に動いたのかもしれません。まあ、個人的推測ですが、同郷のよしみというより、やはりゴールデンベアが魅力的だったのだろうと思います。詳しいことは知りません。

小泉株式会社の方は繊維系というかアパレルなので、いろんなブランドを持っています。ワールドとかと比較するのは、ちょっと可哀想かもしれませんが、先ほど紹介した旧レナウンのブランド、ゴールデンベア、ジャンセン、あたりがメインでしょうか?私の印象では旧レナウンブランドとゴールデンベアが稼ぎ頭でしょう(多分)。

ここを見ると、変遷がよくわかります。小さいメーカーあたりをどんどん傘下に収めると同時に、独立採算が可能な段階になると分社化、独立させている感じもうかがえます。経営方針を感じますね。

で、最近は「破綻会社が持つ有名ブランドを(安く)手に入れる」という戦略がうまくいってます。たまたま、そうなっただけなのかもしれません。意図的かどうかはわからないです。業界的に「小泉さんなら買ってくれるかも」という感じになっているのかもしれません。そういう意味では小泉グループは財務体質が強固なのだろうと推測します。余裕があることは間違いないでしょう。

さて、小泉グループは大きく二つあると書きましたが、もう一つは、小泉産業株式会社の方です。こちらは戦時中に軍事産業に国の依頼を受けて参入したことを契機に作られた会社で、その会社が存続しているわけです。兄弟会社的な感じのように見えます。小泉は小泉、産業は産業、という感じでしょうか?

一般的には、どちらかというと小泉産業系の商品の方が知られているかもしれないです。照明の小泉照明、コイズミ学習机で有名なコイズミファニテック、美容関係が有名な小泉成器がその主要な構成会社です。メインは小泉照明でして、小泉産業全体の約4分の3の売上を占めています。

このように見てきますと、小泉グループは全体ではかなりの規模になっていまして、小泉産業だけでも公表数値で売上は403億(連結)、小泉株式会社は500億くらいです。大企業ですよね。

上場会社ではないので、数値の細かいところはわかりませんが、それなりに利益を出しているんじゃないでしょうか?繊維系の小泉株式会社については、万が一のことがあれば、取引のある伊藤忠が助けるでしょう。何の根拠もないですが、そんな気がします。

これで終わりにしてもいいですが、第三者から見るとこう見えます、ということを書いて終わりにします。提案というか心配な部分というか。

まず、繊維系ですが、生産はメインが中国。これは心配要素ですよね。いわゆるカントリーリスクがあることは間違いありません。加えてコスト的なメリットがほぼなくなりつつある。何らかの手を打っておく必要があるかも。

それと、グループ全体に言えることですが、ある程度の選択(と集中)が必要かもしれません。あれこれやっている割には、利益を出している会社というか部門は少ないはずです。資本効率を考えてもそうですし、単純に経営戦略としても同じ結論。ある程度絞っていくことも大事と思いますね。

分社化戦略も少し気になるところです。人数や規模を考えるとある程度まとめた方が社員の力が結集できるのではないかという感じもします。横の繋がりが戦力になるかも、ということです。実際、会社間の壁はあるのか、ないのかわかりません。グループとして(意外と)まとまっているのかもしれませんし。必ずしも分社化が悪いというわけではないです。

ちょっと長くなりましたが、日本の長寿企業の一つでもあり、近江商人から始まった大企業でもあるということで末永く発展していって欲しいと思います。



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