『パラサイト 半地下の家族』を観たから感想文を書くね。(28/365)
★★★★☆:4.0点
半地下にクラス貧困層の家族が、大富豪の家にパラサイトしてウハウハする話。
最初は息子が家庭教師になったところから始まり、娘が絵の先生として、父が運転手として、母が家政婦として…と次から次へと富豪の家族たちに接近する。いつしか、彼らは便所コオロギが飛び交う半地下の家から、開放的な庭付きの大豪邸を住処とする。そんな話。
物語の序盤はイマイチ彼らに共感できずにいた。元々その家にいた運転手や家政婦を、悪知恵でどんどん追い出していく、そのずる賢さ。貧困層の家族なのに、それを感じない気品の高さを漂わせるみたいな、そういうところに違和感があって、少し話に乗り込めなかった。ちょっと都合良く話が進みすぎじゃない?って思った。
だけど、物語が進むにつれ、大富豪の家を自分たちの家として使い出す辺りから、彼らを憎めなくなっていく。みんな幸せになれてよかったね、という気持ちになる。
と、思いきや、そこから事態は一転し、話はどんどん黒い方向へと転がっていく。
そして物語の終盤は、血なまぐさい展開になる。富める者への妬みのセリフなんかはなかったけれど、物語を追っていくうちに、彼らの寂しさが所々に感じられて胸が苦しくなっていく。富豪の家で働き、ある程度の収入を得られて生活できるようになっても、それでも満たされない感じ。
だけど、パラサイトされた側の富豪の家族は、何も知らず、何も気づかず、全てが満たされた幸せな暮らしを送っていく。金持ちは優しい、だけど、不自由を感じず幸せな生活をしていたら、それは心穏やかな優しい人になる。今日生きるのが精一杯な人たちは、心を磨り減らし、どんな汚いことをしても生きる術を身につけなくてはいけないのだ。
その「富める者と貧しい者」の対比が物語後半で浮き彫りになっていく。
だから物語の最後、パーティーをしている中で父がとった突然の行動は、苦しいほど理解できた。今までずっと我慢して溜め込んできた、持たざる者の苦しみ。この物語で、彼にとって誰が敵だったのか。
こういう勝ち組と底辺、陰と陽を映し出す作品が、自分は好きだなって思った。
そしてこの映画は父役の俳優がとてもいい味を出していた。赤ら顔で負のオーラを漂わせた中年って感じ。娘役の人も特別な美女という女優ではなかったからこそ、雰囲気が出ていた。日本の『万引き家族』の松岡茉優はキラキラしすぎて、役に合っていなかった感があったよね。
映画を見終えてから、映画のジャケット(っていうのかね?)を見て、とてもゾッとした。富豪の家族写真の中に、彼らが写っている。
何の知識も無く観たけれど、これは逆に何の知識も無く観る映画だと思うし、もう一度観て1回目には気づかなかったところを見つけながら観ていきたい。そんな映画だった。
あと、どうでもいいけど、富豪家族の娘の唇が皮が剥けていて「リアルだなぁ…」って思ったのだけど、あれはメイク?それともガチ?
そして日本のカニカマボコを犬の餌にしていたのは、日本に対してのメッセージなの?
それと、北朝鮮の攻撃から守るためとか、「偉大なる同志金正恩…」とか言ってたけど、あれは韓国的に大丈夫なの?
…という、話の本筋以外にも見所がたくさんあるので、何度観ても楽しめる映画だと思う。