忘備録>海外で注目される進化した、あるいは予想外の流通におけるビジネスモデル③
12. Autostoreの「高密度自動倉庫システム」
概要:Autostoreは、ピッキング作業を自動化し、倉庫スペースを効率的に利用するための高密度自動倉庫システムを提供しています。倉庫内の在庫は箱ごとに収納され、ロボットがそれらを自動でピッキングして梱包します。特に、限られたスペースを最大限に活用する設計で、より多くの商品を少ないスペースに保管できます。
進化のポイント:Autostoreのシステムは、スペース効率の最適化に優れており、都市部の狭い物流拠点や配送センターでその強みを発揮しています。各商品が高さや幅に関係なく箱に収納され、ロボットが上から商品をピッキングすることで、高密度な在庫管理が実現します。
予想外の展開:予想外の進化として、AutostoreがECの需要急増に応じて小型倉庫モデルを推進し、都市部や消費者に近い場所に自動化された小型倉庫を設置する動きがあります。これにより、より迅速なラストマイル配送が可能となり、店舗自体が物流拠点としても機能する「マイクロフルフィルメントセンター(MFC)」という新しい業態が生まれています。
13. GorillasやZappの「クイックコマース(Q-commerce)」
概要:クイックコマース(Q-commerce)は、GorillasやZappといったスタートアップが提供する超高速EC配送モデルです。これまでの「次の日配送」からさらに進化し、消費者が注文した商品を15分以内で配送することを目標としています。主に食料品や日用品の配送を対象としており、特に都市部で急成長しています。
進化のポイント:クイックコマースのポイントは、消費者に最も近い場所にマイクロフルフィルメントセンターを設け、そこから迅速に配送することで、注文から15分以内という短時間での配送を実現しています。このモデルは、オンラインショッピングの利便性をさらに進化させ、即時性を追求したサービスです。
予想外の展開:このビジネスモデルの予想外の進化として、消費者の「今すぐ欲しい」というニーズが急激に高まり、GorillasやZappのようなQ-commerce企業がヨーロッパやアメリカの都市部で急成長している点です。パンデミックの影響で在宅時間が増加し、すぐに必要な食料品や日用品のオンライン購入が増えたことも、このモデルを加速させる要因となりました。
14. Nextailの「需要予測と在庫最適化プラットフォーム」
概要:Nextailは、AIとビッグデータを駆使して小売業者の需要予測と在庫最適化を支援するプラットフォームを提供しています。このシステムは、過去の販売データ、顧客行動、外部の市場要因などを分析し、各店舗や倉庫ごとに適切な在庫を自動的に割り当てることができます。
進化のポイント:Nextailの革新は、リアルタイムデータを使った予測モデルにより、過剰在庫や欠品を最小限に抑えつつ、最適な在庫配置を行う点です。これにより、特定のエリアや店舗での需要に応じた柔軟な在庫管理が可能になり、物流コストの削減にもつながっています。
予想外の展開:Nextailは小売業者の在庫最適化にとどまらず、今後はサプライチェーン全体にわたる予測精度を高め、サステナブルな物流モデルを構築する方向に進化しています。在庫過多や廃棄を防ぐことが企業の社会的責任(CSR)としても重要視されており、Nextailの技術が環境負荷を軽減する流通モデルの一環となっていることは、予想外の進展といえます。
15. ブロックチェーンを活用した「サプライチェーンの透明性」
概要:ブロックチェーン技術を用いた物流管理は、サプライチェーンの透明性と信頼性を高める革新的なアプローチです。特に、食品、医薬品、さらには高額商品のサプライチェーンにおいて、すべての移動履歴や取引がブロックチェーン上で管理され、改ざんされないデータとして保存されます。
進化のポイント:ブロックチェーンを活用することで、製品の製造から消費者に届くまでのすべての段階が記録され、透明性が確保されるというメリットがあります。消費者は製品の安全性や品質を信頼できるようになり、企業側も偽造や不正行為を防止できます。
予想外の展開:ブロックチェーンの導入は食品業界や医薬品業界だけでなく、アパレルやラグジュアリー商品のサプライチェーンにも拡大していることが予想外です。特に偽造品が問題となっている業界では、ブロックチェーンによるトラッキングが正規品の証明として機能し、ブランド価値を守るための新たなツールとなっています。また、サプライチェーンのサステナビリティや労働条件の改善にもこの技術が応用され始めています。
16. Circular Economy(循環型経済)に対応した物流モデル
概要:循環型経済に対応した物流モデルは、商品のリサイクル、リユース、修理を容易にし、廃棄物を最小限に抑える流通モデルです。企業は製品のライフサイクル全体を管理し、消費者が使用済みの商品を返却するためのリバースロジスティクスを組み込みます。
進化のポイント:このモデルの進化は、リバースロジスティクスの効率化と、AIによる商品の再利用プロセスの最適化にあります。使用済み商品を回収し、新品同様に再生するプロセスが自動化され、消費者は環境に配慮した購買行動を選択しやすくなっています。また、リサイクル商品のトレーサビリティも技術的に向上しています。
予想外の展開:従来は製品のリサイクルやリユースは付加価値的な要素と見られていましたが、企業がこのモデルを積極的に採用することで、ビジネスの主要な収益源としてリバースロジスティクスが機能するようになったことは予想外でした。ファッション業界や電子機器業界では、このような循環型経済に対応したビジネスモデルが急成長しており、特に若年層の消費者から強く支持されています。