忘備録 ドイツのAleph AlphaとフランスのMistral AI
欧州連合(EU)内では、OpenAIのChatGPTに匹敵する大規模言語モデル(LLM)の開発が進められています。特に注目すべき企業として、ドイツのAleph AlphaとフランスのMistral AIがあります。
Aleph Alpha(ドイツ)
Aleph Alphaは、LLM「Luminous」を開発しています。Luminousは、テキストと画像の両方を理解・生成できるマルチモーダルAIモデルで、最大2,000億以上のパラメータを持ち、画像認識、知識管理、ドキュメント処理、テキスト生成、会話型AIアプリケーションなど、幅広い用途に対応しています。
Luminousには、以下のモデルが含まれます:
Luminous-Base:最も小型で高速なモデル。分類やラベリングなどのタスクに適しています。
Luminous-Extended:約300億パラメータを持ち、情報抽出や言語の単純化など、多用途に対応する「スイスアーミーナイフ」のようなモデルです。
Luminous-Supreme:最も大きく高性能なモデルで、特にクリエイティブなテキスト生成に適しています。
また、Luminous-Exploreというモデルは、テキストの意味的な表現を生成するために特別に開発されており、分類やクラスタリング、情報検索などのタスクにおいて最先端の性能を示しています。
Mistral AI(フランス)
Mistral AIは、2023年に設立されたAIスタートアップで、生成AIの分野で急速に注目を集めています。同社は、以下の製品・サービスを提供しています:
Le Chat:Mistral AIの各種モデルと対話するための多言語対応の会話型アシスタントで、教育的かつ楽しい方法で同社の技術を探索できます。
La Plateforme:開発者向けのAPI提供プラットフォームで、テキスト生成や埋め込み生成のエンドポイントを提供し、ユーザーはMistral AIのモデルを活用して実験や微調整、評価、プロトタイピングが可能です。
Mistral AIは、設立から短期間で6億ユーロの資金調達に成功し、評価額は60億ユーロに達しています。
また、報道機関AFPとの間で、日々2,000本以上のニュース記事をチャットボット「Le Chat」に組み込む契約を結び、事実に基づいた正確な情報提供を強化しています。
これらの企業は、欧州におけるAI技術の発展を牽引しており、特に欧州の価値観や規制に適合したAIモデルの開発に注力しています。今後、欧州発のLLMがどのように進化し、ChatGPTやDeepSeekといった他のモデルと競合していくのか、注目が集まっています。