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親知らず、いつ抜く?親知らずの移植
親知らずシリーズ第三弾、シリーズ最終回です。
第1回では抜いた方がいい親知らずのお話と抜歯の方法を
第2回では抜歯のリスクと対策についてお話させていただきました。
第3回は、残念ながら虫歯や歯が割れてしまって抜かないといけない場所に使われていない親知らずを移植して噛めるようにしてあげる
「自家歯牙移植」についてお話いたします!
まず移植って何?!腎臓や心臓、角膜など医科で行われるイメージがありますね。
「移植」とは健康な器官、組織を「提供者(ドナー)」から「受給者(レシピエント)」へ移し植え込む医療行為のことです。
今まで歯を失ったら
①インプラント②ブリッジ③入れ歯
から選択してきました。失った部分を補って回復させる方法を考えねばなりません。
自家歯牙移植は4つ目の選択肢となる治療方法です!
それでは具体的にどのようにするのでしょうか?
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真ん中の歯が残念ながら深い虫歯と歯が垂直に割れてしまい抜歯となってしまいます。患者さんと相談して左奥に生えている親知らずを移植する治療計画を立てました。
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事前にドナー歯、レシピエント歯のサイズを模型やCT写真で精密検査しサイズや形が適合していて移植が可能なのかを調べます。(これは別症例)
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親知らずを抜歯します。
必要に応じて移植側(レシピエントサイト)の形を整えてドナー歯に適合するようにします。この時にドナー歯を出し入れしてダメージがないようにCTデータから3Dプリンタでレプリカ歯を作り代わりに使用します。
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親知らずを移植し、縫合糸で固定しています。
この後2.3週で歯の神経の治療(根管治療)を行い適合が良ければ2ヶ月くらいで生着し機能させることが可能です。
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白い樹脂の詰め物を充填して(ダイレクトボンディング)治療終了です!
もちろんケースによってできるできない、はありますが機能していない歯を機能が必要な場所で使ってあげることは非常に有用です。
治療の成功率は報告では90%(インプラントは95%)とありますが事前の検査と準備をしっかり行い、適合症の選択をすれば非常に成功率は高いと私は感じています。
さらに自家歯牙移植は健康保険適応もあり、費用の負担が少ないこともメリットにあるでしょう。
歯を失うことになっても諦めない!
患者さんの歯が1本でも多く残せますように努めてまいります。