新プロダクトの立ち上げとPdMへの挑戦
こんにちは。UzabaseでUI Designerをしている茂木(もてき)です。
今日は「新プロダクトの立ち上げとPdMへの挑戦」というテーマで初noteを書いてみたいと思います💪
1年ちょっとで色んな事がありました。ワクワクすることもあれば、胃が痛くなるようなヒリヒリも。その中でも今日はデザイナーとしてのリアルな葛藤・苦悩にフォーカスして書いてみたいと思います(初noteがこれで良かったのか...笑)。
「新しいプロダクトつくる話あるけど、興味ある?」
2019年末だったと思います。社内で新プロダクト立ち上げの話が持ち上がりました。当時の僕は転職して半年弱、SPEEDAというプロダクト担当で、入社理由もSPEEDAのUIをより良くしたかったから。
ただ事業会社で新プロダクトの立ち上げに携われる機会はそう無いはず。これはチャンスだと思って、手を挙げることにしました。
そうして集まったのはデザイナーの僕1名の他に、社内でも屈強な(つまり特に技術力のある)エンジニア数名と、事業責任者にあたるBizメンバー1名。後にメンバー増減はあるのですが、こうして新規プロダクト開発が始まりました。
作るのは営業の方を対象にしたセールスイネーブルメントのプロダクト。平たく言うと、営業(商談)前に何をどれくらい調べ、どんなトークを組み立てるか。属人化しやすい情報収集や仮説構築という業務の効率化と、可視化による教育要素を持ったプロダクトです。
(↑後にリリースされたプロダクトサイト。もちろんスタート当時はコンセプトも画面イメージも全くの白紙でした)
1.実はインタビューも分析も初挑戦なんですけど問題
スタート早々、社内のペルソナにあたる方々にインタビューすることになったのですが、デザイナーである僕がどう進めるのか、PJメンバーの視線が集まっているのを感じました(勝手に感じていただけかもしれませんが笑)。
前職でやり方は教わったことがあったし、体験したこともある、記事を読んだりして雰囲気も大体知っているつもりでした。が、自分主導で回すのはこれが初挑戦。
最後は誰かが何かしらの結論を導き出してくれるかもしれないという状況とは違い、自分が何かしら答えを出さないと最悪、次に繋がらない状況。その心理的ハードルが高かった。
果たして上手くインタビューできるかも、本当に有益なインサイトが導き出せるかも分からない。「え、どうしよ...?」と内心焦っていましたが...とにかく前に進めるしかない。
結果的に20名強の方にインタビューし、皆でグルーピングや重要な声に着目したりして、なんとかユーザー解像度を一定高めることはできたかなと思います。
ハラハラとは裏腹に、この時ハンターハンターで言うところの精孔(しょうこう)が開ききったような感覚で、全身全霊で仕事に取り組んでいる、どうなるか分からない状況に身を委ねている感覚が爽快でもありました。
「実は詳しくないし、やり方も分からないので...(誰かにお願いしたいです)」と尻込みせず、ハッタリでもなんでも良い、とにかくやってみる。そういうの大事だなと改めて感じた瞬間でもありました。
2.デザインスプリント封印事件
インタビューした結果を元に、機能案を考えます。
ある1機能について、PJメンバー全員集まってアイディア出しからプロトタイピング(クレイジーエイトで紙にラフ絵描く)までを超高速でやってしまおうと考え、ミーティングを組みました。
当日、ミーティングの趣旨を説明し、いざやってみようとなった所で、プロダクトオーナーである佐久間さん(現Uzabase共同代表Co-CEO)からこんな一言が投げかけられました。
「んー、(茂木くんが)1人で深く考える必要があるのでは?」
(なんならその機能ほんとうに必要?)
......え?と、言葉を失ったというか、天と地ほどある温度差にかなり面食らいました。
前日、この機能については「とうとう僕たちは最重要課題かつ宝の山を発見したぞ」「これは皆で考えてみよう」と複数人で盛り上がった所だった(その場に佐久間さんはいなかった)ので、やってみた結果の案が微妙であればまだしも、進め方そのものにNGが出るとは思っていなかったからです。
結果的にミーティングは即終了。THE デザインシンキングをやってみたかったのに...しょんぼりモードで会議室を後にしました。
ただ2カ月後、僕自身が次のような気付きを得ます。
デザインシンキングを取り入れる場合は模範的なプロセスをごり押しするのではなく、状況に応じて手法を取捨選択し、スピーディに対応していく必要があること。
(中略)
浅い思考のまま多数決で決めるのではなく、自分1人で深く思考する、形にする、提示する、議論を引っ張っていくよう心がけるのが大事。
巷でよく聞く手法をとりあえずやってみれば良いと盲信していた所や、自分が考えきれてないから誰かの案に頼る/誰かに解決策を委ねようとしていたのかもしれない。あの時はその点を指摘されたのかもしれないなと気付きました。
3.ロゴどうする問題
新しいプロダクトということは、ロゴが必要になります。
スタートして5ヶ月、プロダクトの正式名「FORCAS Sales」が決定し、同時にリリース日も決まり、プレスを出すことが決まりました。そのプレスにロゴも載せると。
...ロゴが必要になることはPJ発足当初から分かっていましたが、目の前のUIに集中すべきだし...ロゴ作りってあまり得意でもないし...半ば見て見ぬ振りをしてきたのですが、いよいよ逃げられなくなってきました。
このFORCAS Salesというプロダクトは、ユースケースや想定ユーザーこそ違えど既存のFORCASブランドの中に位置するものだったので...
このような形で方向性を検討し
そして最終的に、以下の形でぶじ作り終えることができました。
最終調整では社内の他デザイナーにも協力してもらったのですが、「グレースケールの濃淡を1%ずつ変えて見てみよう」と言われた時は「この人ヤバい...」(見極める力で言ってもスケジュールで言っても)と思いました笑
が、おかげで納得いくロゴが作れたし、異能は才能だなと感じることができました。終盤スケジュールがタイトになったのは自分起因な所もあったので、もっと早くに頼ったり声をかけておくべきだったと感じました。
4.仕事に追われ、パンク事件
プレスリリースを出し、サービスローンチ。ローンチ直後の大型受注ーー。
一見、幸先の良いスタートでしたが、2020年9月頃でしょうか。実は限界が来ていました。
UI Design Teamのリーダーだった僕は、自身が担当するプロダクト含め3プロダクトほどを見る立場で、中には自身が手を動かすPJが更に別にありました。スリランカにいるデザイナーと協働していたPJでは、慣れない英語でミーティングの度に緊張していました。加えて採用業務や、コンピテンシーマップのブラッシュアップ...
仕事を追っているのではなく、追われる状態ーー。パフォーマンスが落ちている自覚はありました。そんな僕に気づいたのか
「もっちー、最近どう?(大丈夫?)」
と、CDOの平野さんが声をかけてくれました。これを機に素直に「キツイです」と相談し、幾つかの業務を巻き取ってもらうことになりました。
これで少し楽になれる...という安堵とともにやってきたのは、「やってしまった...」という感覚でした。自分の責務を果たしきれなかった、「しくじった」と。
なんとも言えない気持ちでしたが…もう一度自分の役割の根幹であるUIデザインに立ち返り、とにかく描くこと、新プロダクトを前に進めることに集中しました。今もそうですが、この経験から自分の中で「分散と集中」がテーマになり、いかに仕事を追う状態を作るかが大事だと意識するようになりました。
5.PdMへの挑戦
失意と安堵の中、もう一度プロダクトに向き合い、UIを少しでも良くしようともがく日々。そうして2ヶ月くらい経った頃でしょうか、Slackのあるチャンネルに招待されました。
「Product Managerをやっている/やっていく、◯◯さん、××さん、茂木くんとのコミュニケーション用のチャンネルを作りました」
瞬時に理解しました。またチャンスがやってきたと...。
Uzabaseには「自由と責任」という文化があります。大きな自由にはそれに見合う責任が伴う。果たした責任の大きさに比例して自由を手にすることができる。言い換えると、自分が責任を果たしている事に自信がない人は、自信が持てるまで自由を享受しなければ良い。
説明責任を果たせなかった自分は一回役割を降りた、そして目の前のデザインに再度集中し、一つずつ価値を積み上げたから、またチャンスがやってきた。これが「自由と責任」かと、自分の原体験として理解できた出来ごとでした。
...浮かれたのも束の間、難題がやってきます。
「来週の合宿に向けて、みんなから議題を募りたいです」
(中略)
「ではそうしましょう。全PMから来期開発プラン提案してもらう感じで」
次のミーティングで「各PdMから来期開発プランを提案する」というものでした。
今まで当事者意識を持ってプロダクトづくりに臨んできたつもりですが、いざ自分の言葉で語ろうとすると言葉が出てこない。どうプロダクトを成長させたら良いか、未来を描けていない自分に気付きました。
インタビューをした時以来、また精孔(しょうこう)が開ききったような感覚になります。寝ても覚めてもプロダクトの価値や方向性を考える日々ーー。そうして自分の考えを資料にまとめました。
(↑当時の自分なりのまとめ資料であり、実際の決定事項とは異なる部分があります。この要領で顧客の明文化やコンテンツ案、ロードマップ案をまとめました)
茂木さんの作ってくれた事前資料がすごくアイデアが理解しやすく、整理されていて、伝わりやすかった。
デザイナーがプロダクトマネージャというか、プロダクトをリードする役割をやるとこうなるのか!! という感じでめっちゃ発見でした。
(中略)
おかげで FORCAS Sales というプロダクトへの理解と、これから向かおうとしている先への理解が短時間でかなり深まったし、それをベースにした(あるいはそれに反論する)議論もはかどった。
結果的にPJメンバーからこのような反応も貰えた一方、やはりまだまだ解像度が低い部分も浮き彫りとなった出来ごとでした。
今年に入ってからはPdMとしてプロダクト開発における4つのリズム(Daily / Weekly / Monthly / Quarterlyで何をすべきか)のデザインに取り組んだりしているのですが、上手く回り始めたところ、噛み合ってないところ様々で、まだまだ道半ばではあります。
また上記リズムの中で、どのタイミングでどれだけ・どんなデザインを作っていくのかーー。これは今まさに取り組んでいるテーマでもあるので、もう少し考えがまとまったらまたnoteに書けたらと思います。
次のステージへ
プロダクトとしては徐々にユーザーもつきはじめ、ステージが少し変わったような気がします。
つい先日、デザイナーとして改めて自身がどうなりたいのか明文化する機会があったので、貼っておきます。
1年後の理想の姿ということで。
こんな感じで定期的に発信していこうと思うので、ぜひ応援よろしくお願いします!
FORCAS Salesや僕らデザイナー組織「DESIGN BASE」に興味を持ってくださった方、ぜひお気軽にご連絡いただければ嬉しいです。