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ケースメソッド教授法2回め 「学びの共同体」を築く

前回はこちら。今日は2回め。前回は「ケースメソッド教授法とは何だ」だとしたら、今回は「実際にやってみる・第1回」だ。

ゴールは「学びの共同体」

ケースメソッドで学ぶとは、経営やビジネスでの様々なケースを材料に、それぞれの分析や選択肢を出し、別の人間(たち)との意見交換を通じて、「最初に気づけなかったこと、別な人の視点に気づく」ということだ。
それが全参加者に共有し、全員が「一人で考えるよりも色々考えられた」という状況になることがゴールで、そういう場所を「学びの共同体」と表現している。
それが勝ち負けが重要なディベートとの違いで、うまく考えをぶつけて引き出す/深めることや、抜けている点を出していくことが大事になる。

創造的な議論がちゃんとできる人は、ビジネスマンの間でもあまり多くないので、こういうトレーニングはいいことだろう。活発にするスキルも、それぞれへのリスペクトを保ちつつ行き過ぎを沈静化させることも大事なスキルだ。

ケース教材は「ビジネススクールの授業について」

今回は「授業のやり方を学ぶ」ためのものなので、ケース教材も「ビジネススクールの先生と学生たち」みたいなものだ。詳しくはネタバレなので紹介しない。また、今回からはベテランのゼミ生が先生役として授業を進めていく。彼らも、ケースメソッド教授法を試すのは初めてなので、学生としてもどうサポートするかはアタマを使ういいきっかけだ。

今回はオンラインでやりながらone noteで板書していったのだけど、ペンでずっと書いていくと、議論の整理とかも「うまく整理した感」が出てて、よかった。
僕は、「自分が喋らないこと」が苦手なので、こういうファシリテーションは毎回見るたびに勉強になる。

いちおう、愚直に事前のケース課題を読んで、素直に感じたことを書いたのだけど、あまり他の人とカブらない解釈をしていたようだった。とはいえ、「それはそれで一理ある」みたいなものだったので、視点を広げる意味で授業への貢献はできたようで嬉しいし、新規事業/事業開発というのは「アリっちゃアリだけど、その手があったか!」みたいなのを見つける役割なので、仕事の内容が反映されてもいる。
自分と違う意見が多い分、学びも多い。オイシイ役割だと思う。

メタな話:そもそも議論のための議論っているの?

一方で、こういう「議論のための議論」みたいなのに対して、遠目から見た疑問みたいなものは、僕の中にある。
オープンソースソフトウェアの開発では「100の議論より一つのプロトタイプ」みたいな言葉があり(かつ、「さっさとリリースしてユーザの声を聞け」という言葉がセット)なので、粗っぽくても具体的な全体像が見えてると議論が盛り上がる印象だ。この授業のように議論が先で落とし込むアプローチは、あんまり僕は得意じゃない。
僕の場合は仕事の相手はバックグラウンドの違う外国人ばかりなので、「ターゲットについて議論しよう」みたいな話よりも、「こういうマーケティングキャンペーンをやろう、こういう状態になったら成功」みたいな具体的な話をぶつけたほうが、ワークする議論になりやすい。やることは売上の拡大とか製品のアピールとか、まあ決まってるからだし、ターゲットからすり合わせるような大きいコンセンサスを外人としゃべるのは難しくて、それなら合う取引先を探すために自分が動いたほうが早い。

一方で、バックグラウンドの違う人がプランニングの場所にいないと、キャズムを超えるのは難しい。今やっている「分解のススメ」の書籍化プロジェクトで、ギャル電にチームに入ってもらったのは、まさにそこが狙いだ。

その意味で、ケースメソッドは基本ロジックについて語る部分が多い授業だが、同じ方法論はフィーリングについて語る場合でも有用だし、むしろそういうケースのほうが今後はより大事になっていくのではないだろうか。

僕はしゃべる方は得意だが、聞く方や引き出す方は課題が多い。コミュニティワークは経験が多いが、チームの一員としてうまくワークする上司や部下みたいなroleもあまりやったことがない。そもそも、議論することそのものが目的という場所は、大学の外側には少ないし、大学の中でも多くない。(僕の授業はだいぶ違う)
そのいみで、「使ったことない筋肉を使う」みたいな快感がある。

今日も面白かった。明日が最終回だけど、楽しみだ。

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自分の中で整理がついてまとめたものは、何かしら記事やレポートにするけど、「まとまるまえのものや小ネタをすぐ見たい」という要望を聞いて、フォトレポートを始めることにしました。

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