「中国で働く日本人の役割が変わった」香港/深圳の日本人たちに講演 (あるいは、なぜ中国ビジネスマンはおっさん同士でもセルフィを撮るのか)
11/24 香港和僑会,11/26深圳日本商工会と、海外で働く日本人相手の講演が続いたので、中国で働く日本人について色々考えていた。
深圳の駐在さんの仕事は
1.日本で設計した製品を人件費の安い中国で製造する
2.そういう日本人(深圳だけで平時は5000人いたし、コロナ渦の今でも3000人程度はいる)相手に様々なサービスをする
の2つだ。伸びる中国市場を攻めに行こう!という元気のいい日本企業は多いのだけど、そういう会社はだいたい上海にあって深圳にはあんまりいない。外交や研究などの日本人も多いけど、そちらは北京が中心だ。
普段の僕の講演はだいたいエンジニア相手か、事業開発の人相手なのでだいぶ毛色が違う。また、僕自身は中国でパートナーと事業開発をして、日本の技術者に売れる製品を探すという仕事なので、やってる仕事も違う。
ツイッターで普段アップしてる写真を見ればわかるけど、僕が普段会ってるのは中国のスタートアップばっかりだし、日本語で講演するときのあいてはエンジニアばっかりだ。(今年はVR学会の基調講演をやらせていただいた)なので、めったに見ない人たちと、普段あんまり考えなかったことを考えて話をする、貴重な機会になった。
見れば雰囲気の違いは一発でわかる。細かいところでも、
-メイカーたちはセルフィとwechat交換をたくさんやる。商工会では7-80枚ぐらい名刺交換をした。
-日本人組の方は、机にビールしか置いてなくて、言わないとノンアルコールが出てこない。深圳メイカー組は、集まってからちょっとだけビールを注文して乾杯したけど、そこ以外では飲む人あんまりいない
などが違う。
中国で働く日本人の役割は、監督からパートナーへ
僕も外国で働く日本人だけど、「日本人たち」というよりは「僕と中国のメイカーたち」という感じで働いている。上のパーティー写真でも、自分主催の方は、日本人はほぼ僕だけで残り30人は中国人だ。なので、自分の働き方についてはいつも考えるけど、「外国で働く日本人」みたいなことは考えたことがなかった..が、面白いテーマなのでちょっと考えてみた。
このようなコラムを書いてフィードバックをもらうなどして、最終的にはこういう講演になった。資料もSpeakerDeckに上げてある。
中国大陸で見てる人は、Bilibiliでどうぞ↓
「顧客」はどこにいるのか?日本の個人も中国の射出成形に直接発注
安心・安全というのは、「すぐ連絡が取れる」「見積もりや変動要素がすぐ出る」「オンラインでやりとりできる」という意味になりつつある。
まず申し上げたいのはプロトラブズは本当に神サービスだという事です。
国内の多くの射出成型業者が軒並み「個人お断り」を掲げ、我々個人を犬畜生のように追い払っていますが、プロトラブズは僕のようなど素人の個人にもやさしく向き合ってくれます。
ここで紹介したオカモトラボさんのブログは、今仕事が増えてる会社と減ってる会社の差を具体的に伝えてくれる良いブログで、中国で働く日本人はみんな読んだほうが良いと思う。
個人が直接Alibaba経由で中国の射出成形屋に発注する時代になってきている。
このブログにある発注側だけでなく、ロシアや東欧(チェコやハンガリーの射出成形は有名)の射出成形業者は、Alibabaに登録して「中国の会社よりもクオリティが高い、発送も地元から」と掲げて世界の顧客を取ろうとしている。欧州の工場が、仕事を取るためにAlibabaを使う時代になってきている。
オープンイノベーションはどの分野でも様々な形で起きて、止まることはない。
オープンイノベーションの秘訣
オープンイノベーションのためには、まず自分たちがオープンじゃないとならない。
-必要な情報はオンラインで見れるようにする。
-誰の許可も得ずに付き合う相手を選べる
などは絶対的な条件だ。そうやって、無限の人たちとコンタクトできるようにしたうえで、自分たちのメリットを出さなければ、オープンイノベーションは難しい。M5Stackと日本のユーザたちが作ったコミュニティは、それが素晴らしい形で実現されているので、講演のテーマに選んだ。
違った文化とのコラボレーションが人生を豊かにしてくれる
講演のときに、「この4つの文書を紙で渡すから、後で読んでみてくださいよ」と紹介した。
1.深圳で働く日本企業が難しくなっている状況と、2.拡大していく仕事の素晴らしさ、3.深圳のポジションが明らかに変わっていること、そして4.共同作業の素晴らしさ が、それぞれ出ている文章たちだ。
深圳でオープンイノベーションをやるために
深圳日本商工会のほうは録画NGだったので録画はないけど、「深圳でオープンイノベーションをやりたいけどうまくいかない」という問い合わせが、JETROにも現地法人にも多いようだし、領事館(ひいては経産省)でも課題の一つになっているそうだ。
オープンイノベーションのためには、まず自分たちの組織が、ひいては自分自身がオープンになる必要がある。炎上を恐れず各自がSNSを仕事でバンバンやったほうがいいし、スーツやめたほうがいいし若手と女性をなるべく責任者にして前に押し出したほうが良い。僕は上記のパーティー2つに、どっちもこの格好で出ていた。
形そのものはどうでもいいんだけど、気持ちや行動はしばしば形に現れる。
そういえば日本商工会イベント、名刺は70枚ぐらい交換したけど、セルフィ一回も頼まれなかったな..
実はオッサンでもしょっちゅうセルフィー撮るのは、セルフィー撮る→wechat交換する→交換したwechatで撮ったばかりの写真を相手に送る→お互い相手の名前と顔がセットになった状態でコミュニケーションできて、後でも思い出せる
というイノベーションなのである。
会社Tシャツ着てれば更に効果大。中国ではしばしばwechatの名前に会社名を入れている。 Jimmy[漢字名]@M5Stack みたいに。
そして、誰かと会ったり、面白いものを見るたびにSNSに上げていくことで、そこから「なるほど普段こういう人たちといるんだな」「あの取引先知ってるのか」みたいな輪が広がっていく。職場を気にして自分の名前(もちろん固定されたハンドルネームでもかまわない)でSNSできないようだと、そもそもオープンイノベーションと相性がよくない。個人と会社が違うことぐらい、どの中国人も知っている。
メタバース云々の前に人間がデジタルトランスフォーメーションするべきである。こういう細かいけど大事なことは、手を動かしてやってみないとわからない。やってみないと、やらないと入り口にも入れない。
共同作業、オープンイノベーションとリスクと失敗
「ハードウェアハッカー」でバニーは、「僕が間違いなくたくさんしたと報告できるのは失敗だけだ。」と語る。僕もしょーもない失敗ばかり、毎日やっている。毎日ハジばかりかいている。
でも、新しいことをする、新しい人と付き合うとはそういうことだ。
講演でも引用したけど、こういうふうに考えて動く日本人が一人でも増えてくれることを願っています。
中国のトップ企業は世界のイノベーションリーダーとして認知されつつあり,華強北は恐ろしい速度で小ぎれいになりつつある。秋葉原によく似た小汚い部品屋は,ハイエンドの電子ガジェットやコーヒーショップに急速に入れ替わりつつある。今の空気の中で台頭してきた疑問は,「この中国の急成長がいつ終わるのか」そして「終わったとき,彼らが失われる10年をどうやって生き延びるか」ということだ。
読者のみなさんにこの本からぜひ読み取ってほしいのは,玄関から出て行って世界を探索するのが重要だということだ。僕は叔父が若い頃に僕たち家族を日本に招待し,当時の通俗文化の偏見を超えた世界を紹介してくれたことに感謝している。この長年にわたり,どこの出身だろうと,人は同じ基本的なニーズと感情を持っていることを理解した。欠けているのは,お互いの意図や感情を正しく解釈し,それぞれにユニークな人間の欠陥を受け入れ,サポートしてくれる文化的な背景や感受性だ。
不幸なことに,それを普遍的に学ぶための本やマニュアルはない。なぜなら,人間関係の失敗の半分は,自分固有の問題だからだ。それでも僕は,多くの文化とコラボレーションするリスクをとることが,自分の人生を豊かにし,可能性を広げてくれると確信している。
僕はこの本で自分の経験をシェアすることで,みなさんももっと共同作業のリスクを取る意欲を高めてほしいと思っている。しばしば,いちばん変な人たちが,いったんよく知りあえば,最も素敵でユニークな人だったりするのだから。
Happy Hacking!
Bunnie
文章を書くことは、考えをまとめて伸ばしていくために大事だし、広めるためにも大事なので、ぼくはいくつかの媒体に文章を書いています。
ただ、ある程度「わかった!」という状態にならないと文章が書けないので、そのまえのものをnoteで写真中心にアップしています。