イベント録画: プロトタイプシティ成立の条件 #プロトタイプシティ 出版記念トーク 山形浩生
プロトタイプシティ 出版記念イベント、最終回の第5回。山形浩生さん登壇の回です。
山形 浩生 (ヤマガタ ヒロオ) (著/文) @hiyori13
1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。著書に『断言 読むべき本・ダメな本―新教養主義書評集成・経済社会編』(Pヴァイン、2020年)など。訳書にトマ・ピケティ『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)ほか多数。
だいたい失敗する人工都市、シリコンバレーフォロワーの中で、深圳は数少ない成功例
ブラジリア、チャンディーガールなどなど、何もないところに行政が作ろうとした人工都市はコケるものと相場が決まっている。シリコンバレーは成り立ちとしては人工都市なので、「わが国のシリコンバレー」プロジェクトも多く出てきてもちろんほぼ失敗している中、深圳は数少ない成功例。
「改革開放初期の、何もない深圳」をおぼえている身としては、今の発展は感慨深いが、理由がすべてわかるわけではない。
「都市は人類最高の発明である」は名著。ほか、ボストンとシリコンバレーを比較した「現代の二都物語」という本があるほか、都市の成功要因について触れた本はたくさんある。
何かしらの集積があること、その集積の間で相互作用があって新しいものが生み出されるダイナミズムがあることなど、いくつか成功する都市には共通項があるが、「これが唯一の要因だ!」という決定打はない。
よく言われる「クリエティブ資本論」は、流行ったものを後付けで列挙しすぎ。
自動車産業投資が行われたタイとか飛び地が良い感じでアジールになっているベルリンとか、文化の面では面白そうな場所はいっぱいある。
深圳に文化は育つのか?
ダーフェン油絵村みたいな、政府も意図しない、産業として誕生したビレッジが、商売をマイナーチェンジしながら今も残っているのは面白い。
中国は北京の芸術村みたいなのでもうまくやっている。一定のノウハウはありそう。北京の国策芸術支援地区の巧妙さ↓
ボトムアップと引き上げのバランス
深圳の所得が上がるにつれ、かつての猥雑さが減っているのは間違いない。中心部があまりにハイソになると失われるものはあるだろう。
今のところ中国では、有象無象のスタートアップをカネ持つ会社が引っ張る仕組みができているけど、街としてはどうか。
でかい会社だけになると衰退する。今のところ深圳は、まだ中心部に変なガジェット作る零細企業が残っているし、むしろ大企業が労働力を求めて移転しているのが面白いところ。
次のプロトタイプシティは?
外から隔絶されていて、独自にならざるを得ないところは面白そう。
キューバ?(小さすぎる)
イランは面白そう。
あと、中東の何とかスタン系。
ニコ技深圳コミュニティでも、アジスアベバ・グルガオンなどに観察会を行い、報告イベントなどを開いている
山形さん回のイベント前説
今回も前説を行いました。都市計画やオープンソースについての山形さんの著作をまとめてあります。