"NIAGARA TRIANGLE Vol.2" 40周年
昨年の話だが、『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』が40周年でリマスター&リイシューされた。
発売後にもVOXの在庫が何故か切れない中、Amazonで安く通常盤も仕入れたので、とりあえず聴いて、気づいた事をポロポロ書いていこうと思う。
ちなみに、"EACH TRIANGLE 2"とその周りのことに留めておく。
セッション時の暫定タイトルを見て「ああ、そういう事だったのか」とは思うけども、音源を聞いて「ピン!」と来るほど、詳しくもなければ感性も研ぎ澄まされてはないので…ご容赦。
EACH TRIANGLE 2
"Vol.2"が30周年の頃に、自主制作で,CD-Rではなく、プレスしたCDで関係者に配布していた、構成が結構違う盤。
ここでは大滝サイドの
オリーブの午后
白い港
Water Color
♡じかけのオレンジ
が外され、
代わりに
1969年のドラッグレース (EACH TRIANGLE 2 Version)
恋のナックルボール (1st Recording Version)
フィヨルドの少女 (EACH TRIANGLE 2 Version)
イエローサブマリン音頭 (特別変)
が収録された。
曲順変更は「A面で恋をして」が「フィヨルドの少女」と「イエローサブマリン音頭」の間に移された程度。
ちなみに、"EACH TRIANGLE 2"で外された曲は、”EACH SIDE of NIAGARA TRIANGLE Vol.2”の方にセッション音源と共に収録された。
彼女はデリケート
オリジナルだと、曲が始まる前に、羽田空港で録ったという語りの音声があるのだが、"EACH TRIANGLE"ではいきなり曲が始まる仕様になっている。
"EACH TRIANGLE"について、ほぼ佐野元春と杉真理の曲目にはノータッチ、大滝サイドだけ手が加えられているので、大滝さんの意思でカットしたのかと思っていたが、これの答え合わせが通常盤のDisc 2収録の「スピーチ・バルーン 2012」で聴けた。
佐野元春曰く、何年か後に「今度『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』をリイシューする時には、話の朗読から始まるのはどうも自分では納得いかないから、カットして始めて欲しい(意訳)」と陳情のメールをしていたらしい。
大滝詠一は覚えてなさそうな雰囲気だったが、『EACH TRIANGLE 2』では、その陳情が通った事になる。
1969年のドラッグレース (EACH TRIANGLE 2 Version)
1984年発表のアルバム『EACH TIME』の収録曲。
カッコの副題通り、ちょっとした別バージョンになっている。
4:38~47の間で、急に音量が下がる。
これについては、発売直前に釈明(?)の告知がなされた。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/EiichiOhtaki/info/539206
これのせいで『VOX』のCDを不良品扱いでレビューする人たちがAmazonにチラホラ居た。
SUGAR BABEの『SONGS』に入ってる「SUGAR」を聞いて、「レコードが音飛びしてるじゃないか」とかクレームを付けるような人は、現代にも居るという事なのだろう。
…まぁ、あくまで私のPCの不具合と思いたいが、大滝さんの少し古いCDは特に問題ないのに、死後リリースされた比較的最近のリイシュー盤だと読み取りエラー連発してて、DAWで確認するとデータ上は一定の信号が出続けてるのに、人間の耳だと無音に聴こえるwavデータが出来上がるんだよなぁ…プレスするCD工場とかで結構品質変わって来るんだろうか…(極私的な悩み)
恋のナックルボール (1st Recording Version)
『EACH TIME』で結構早いうちに録音してた曲。あんまりにもテンポが遅くて、改めて発売直前に再レコーディングしたのが、『EACH TIME』収録のオリジナル版になる。本人は"1st Recording"の時点で歌を入れた事すら覚えてなかったようで、『EACH TIME』20周年盤で初公開された音源。
副題を見て、テッキリそのまま入ってるかと思ったら、曲の終わりの方のパーカッション・パートがヤケに長い別バージョンになっている。
フィヨルドの少女 (EACH TRIANGLE 2 Version)
『EACH TIME』セッションで録音されたのにも関わらず、『EACH TIME』では収録を見送られ、シングル・カットが初出、『Complete EACH TIME』でアルバム収録が叶った曲。
ギターインスト版の「哀愁のフィヨルドの少女」というのがあるが、曲のイントロを「哀愁のフィヨルドの少女」から引用して、歌に入って行く編集バージョンと思っていいだろう。
イエローサブマリン音頭 (特別変)
ほんのちょっとミックス(というか、楽器のやり取り?)が変わっているバージョン。2番サビに入る前に、2小節ほど演奏が足してあるので、尺も少しだけ変わっている。
このバージョンは、2023年3月21日のアルバム「大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK / NIAGARA ONDO BOOK」に収録予定。
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/eiichiohtaki-nsb/
Headphone Concert
ずっとフルで公式に解禁されないかと言われてる特殊なライブ。
そのほんの一部が『VOX』に収録、そこから更に1曲だけ抜粋して通常盤にも収録されている。
その両方に入っているのが「A面で恋をして」のHeadphone Concertの音源。
レココレで「第1部と第2部(アンコール)の二回ある内、違う音源で収録されるのではないか」といった推測がされていたが、手に取って確認したところ、どちらも第1部のライブ音源であることが分かった。
来年は…
まぁどうせ『EACH TIME』40周年だろう。
『A LONG VACATION』はファンが多いのか、『VOX』の内容も充実してたようで評判良かったけど、この『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』は、詳しく"EACH TRIANGLE 2"の説明も付けられてない(生前にレココレのインタビューで色々と語ってたのを見てやっと理解出来たけど)し、『ロンバケ VOX』ではCD・レコードその他諸々が一遍に揃ったのに、『ナイトラ2 VOX』はCDとレコードは別、通常盤に入ってるラジオ音源が『VOX』に無くて、まさかリマスターとか言う時間差も無く、同時に大滝詠一で複数商法を仕掛けて来るものかと、少し寂しく思えたのだが…。
そもそも、大滝さんが生前から結構色々な話をしていたからか、制作スタッフも翻弄されているような印象で、「30周年で事業終了」とか「リマスターも30周年(NIAGARA CD BOOK?)盤のマスターを使う」とか言ってた筈なのに、「同じじゃやる意味がない」という事も言っていたからか、『ロンバケ』40周年は30周年とは違うコピーのマスターテープからリマスターしていたし…。
ただ、『EACH TIME』に関しては、公然の秘密の如く、ちょっとラジオに乗ったのに非公開に終わった曲とか、ボツ曲を活かしてテレビのテーマ曲にしたとか、色々な探求がされそうなアルバムなだけに、ちょっとくらいは『VOX』に期待をしてみたいところである。
(既に『EACH TIME』の曲目解析は書き終えている。)
まぁ、その前に別のお布施(NOVELTY SONG BOOK)があるんですが。
たぶん『Let's Ondo Again Special』みたいな編集盤になるのかな。CDは予約しときました。
ほな。