研究者⇒経営者 転身理由は…事業承継だけじゃない
こんにちは。Honda Cars 岐阜 代表の西谷 隆志(にしたに たかし)です。
自己紹介については、小分けで記事にしていければと考えていますが、
まずは一番よく聞かれる「理系研究者がディーラー経営者に転身した理由」について。
一般的に考えて、研究者からディーラー経営者へのキャリアパスはありません。私の場合はざっくり言ってしまうと、よく耳にする親族経営会社の「事業承継」です。
とはいえ、結婚する直前に、義父がディーラーを経営していることを耳にし、「へ~、そうなんですね」という程度で全くのヒトゴトでした。
当然、血のつながりも、地域へのゆかりも、経験も実績もない業種・職種への転身は「事業承継だから」というだけでは決めれません。色々なタイミングがそろった一つの結論でした。よく聞かれるので経緯を少しだけ。
前社長から入社お誘いは1回きり
結婚するときも事前に打診はなく、全く畑違いのところからの転身ということで、「熱心に、強引に説得されたのでは?」と聞かれることもあります。
実際は、前社長からの入社のお誘いは後にも先にも1回きり、33歳の時でした。電機メーカーの尼崎工場での勤務を経て大船の研究所に戻ってきたころ。帰省した時に「岐阜でやってみる気はないか」、と聞かれたのを覚えています。
ただ、この時は「研究者としてやりたいことがあるので」と(少しカッコつけて)お伝えし、丁重にお断りしました。
研究をいつまで続けられるのか?
そこから数年間、通信関係の研究を続けながら、年齢を重ねるにつれて研究以外の仕事も増え、マネジメントや経営の研修を受ける機会が少し増えてきました。
そんな中で、36歳の時、入社時にひとつ目標にしていたことが達成できたこともあり、将来を真剣に考えていました。
電機メーカーでは、ものづくりからソリューションビジネスに大きくシフトする中で、関わる技術分野を拡げる必要がありました。マネジメントに進むとすれば、純粋な研究もできてあと数年。どの道を進むにしても、全く新しいことを一からはじめるタイミングでした。
事業承継は自分にしかない選択肢
この時、はじめて「岐阜へ」という選択肢が頭に浮かびました。正直、同業他社への転職もわずかに頭をよぎっていたので、「自分にしかない選択肢」というのは大きかったです。
技術研究開発でも、導入してみて実証実験から見えた課題を解決するのが一般的ですが、実験をするために用意された特殊な環境下で、効果の大きいボリュームゾーン(都市部)への導入を念頭としたものが多いと思います。
その点では、「岐阜」という場所は魅力的でした。都市部での事例も参考にしながら、人口のそれほど多くない地方土地に適した解決策を地に足をつけて考えられるとも思いました。
こう思い始めてからは自分の中で気持ちの整理をつけるのは簡単でした。研究だけでなくても新しいことをはじめるときは、全く違うことをイチから取り組む必要がある、自身に業種や職種の経験がないのは少し不安だけど、会社には業界にも仕事にも地域にも経験豊富な人が集まっていれば大丈夫なはず、と。
やりたいことは変わっていない
結局のところ転身した理由は、自分のやりたいこと、やりたかったことを考え直した結果、研究者を続けるという選択肢とも並べて考えて、「岐阜でHondaディーラーを経営する」ことが最も魅力的だった、ということです。
「お客様の顔が見える」「地域に貢献できる」「経営にも携われる」
その上、経営者という立場であれば、世界に発信できる事例が岐阜で作れるのではと思っています。
今、何の疑いもなく経営者という仕事にやりがいをもって取り組めているのは、事業承継を選択肢の1つとしてとらえた上で、自ら望んで飛び込んだという事実が大きいです。
後になって考えると、逆に熱心に強引にお誘いを受けていればあまのじゃくな私は今の職に就いていないんだろうなと。
事業承継は人それぞれ状況が異なるとは思いますが、私の場合はこのようないきさつでした。
唯一の不安は「岐阜に骨をうずめる覚悟」
実は、転身を決めるにあたって一番不安だったのは、「岐阜がどのようなところなのか?」が、他県の人間からは全く見えず、「岐阜に骨をうずめていいのか?」ということでした。
今は、この時の不安は一切なくなり、むしろ出身地の大阪よりも岐阜の方が好きになっています。岐阜を何とかして盛り上げていきたいと心の底から思って行動しています。
ホンダカーズ岐阜は今年70周年を迎え、100年企業を一つの目標に取り組みを進めています。100年という数字ではなく、自動車販売店としてこれから30年をどうしていくかを真剣に考えています。
その中でも、重要になるのが「地域貢献」です。「ボランティア活動をしよう」というだけではなく、本当に岐阜が発展し、活性化するために「事業として何に取り組むか」を考えています。
現在は、地元企業様とのお付き合いだけでなく、自治体や大学との地域連携を模索していますので、興味を持っていただいた方はぜひお声がけいただければと。
とりとめのない話になりましたが、
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2022年9月 J-Startup Hourにて、WHILL社 池田氏との対談記事にも自己紹介や取り組みについて記載していますのでご覧ください。