![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59451702/rectangle_large_type_2_a0c7529dde7efee9931be4eb9375dd20.png?width=1200)
演技レッスン【「代替者」は使えるのか?】
こんにちは。
演技講師、アクティングコーチのスギウチです。
この記事では演技力アップに役立つような内容を不定期に書いています。
今日のテーマは【「代替者」は使えるのか?】という内容です。
イヴァナ・チャバックのテクニックの中に「代替者」というテクニックがあります。そのテクニックについて書いてみようと思います。
簡単なぼくの自己紹介ですが
ボクは元々20代前半から俳優として活動していて、今から約7年前に俳優から演技講師、アクティングコーチに転向しました。現在も講師として活動中です。今までたくさんのプロの俳優、女優さんのコーチングやオーディション、撮影本番の準備のお手伝いをしてきました。
俳優時代は全く演技のセンスがなく、事務所の先輩から満面の笑顔で「タカシは本当に芝居が下手だなぁー」と爽やかに言われるほどでした。その為、たくさんの演技レッスンやワークショップに通って色々なメソッドを学んできて今に至ります。
では本題に入っていきましょう。
「代替者」は使えるのか?
先日、講師仲間とZoomで飲み会がてら色々とお話をさせていただきました。
近況報告から、雑談、演技の話など、楽しい時間でした。
その中で、「代替者」について色々な意見が出たので少し掘り下げてみようと思います。
まず「代替者」とは、イヴァナ・チャバックのテクニックの中のひとつで、相手役を自分の実人生で関わりのある人物に置き換えて演じる演技法です。
このテクニック、前は頻繁に使っていたのですが現在はあまり積極的には使っていません。うまくハマると演じる俳優の潜在意識が動き出し、シーンに大きなエネルギーが生まれるのですが、代替者以外の部分も細かく置き換えても「どーしても、シーンの設定、キャラクターから外れていきがち」になってしまいます。
演じた本人も潜在意識が動き出すことで、ある種の充実感や高揚感があったりするんですが「これ、現場でそのまま使えないな…」という結論になってしまいました。
台本上、演じるキャラクターに求められている「役割」が必ずあるのですが(例えば、メインキャラクターなら受けの芝居、サブキャラならメインにどうアプローチしていくか、など)、このバランスを崩す可能性も高くなってしまうと感じました。
実際、過去にレッスンで撮影の準備として「代替者」を用意して現場に行ったところ、監督に「キャラクターが強すぎる」と指摘を受けたクラスメンバーが何人かいました。
「代替者」が全く使えないとは思いませんが、「シーンの目的」以外にも「シーンの役割」や「キャラクターの役割」などをキチンと把握した上で使っていかないと、作品のバランスを崩してしまうことにも繋がるので注意が必要だと思います。
実践的な「代替者」の使い方
作品のバランスや、自分が演じるキャラクターの「役割」を把握した上で、実践的な「代替者」の使い方をご紹介します。
例えば、自分が演じるシーンで相手役の恋人がアナタに対して、強い「母性」を感じることが必要なシーンがあったとします。その場合、相手役を置き換えるときに「シーンの目的」から代替者を導き出すのではなく、アナタが強い「母性」を感じる相手を代替者にした方が、シーンの中で監督が求めるものに沿った演技ができる可能性が高くなるのではないかと思います。
大事なのは、シーンでの必要な要素から逆算して演じられるか、どうかです。
良い俳優さんは、作品の中で自分の役割をキチンと把握していて、その役割を全うすることで作品に貢献します。
ひとりひとりが自分の人生の主役ですが、作品の中ではそれぞれのポジションがあります。全員が四番バッターでは「個」は強くても「チーム」としては機能しにくいのと一緒で、塁に出る人、繋ぐ人、ランナーを返す人など自分の役割をキチンと把握した上で現場に臨みましょう。
さいごに
今日は「代替者」について書いてみました。賛否両論いろいろな意見があると思いますが、大事なのはテクニックにこだわるのではなく、結果にこだわることだと思います。
観ている人たちは、どんなテクニックを使っているかに興味はなくて、作品が「面白いか、面白くないか」にしか興味はないです。
自己満足で終わるのではなく、観客を喜ばせるような演技力を身につくていきましょう!!
では
スギウチ タカシ