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月光条例を読みました

コンバンハ−!!
mixの解説にしか使うつもりがなかったnote ですが、せっかくやってるので感想日記としても使ってみようかなと思い、タイトルの通り
月光条例を読みました。
感想ブログなんて大学時代のmixi日記以来です。
明日になると悶絶するような内容になるかもしれませんが
どうしても書き記したくなりました。


月光条例 (藤田和日郎)」
ある月の青い夜。月光と演劇部の前に、おとぎばなしの住人・鉢かづき姫が、いきなり本の中から現れた。彼女は、不思議な月光でねじれてしまった「おとぎばなし」の世界をもとに戻すべく、「月光条例」を執行する人間を求めてやって来た使者だった。偶然、条例の〈極印〉を授かり執行者になってしまった月光は…!?
                       引用:(SHOGAKUKAN COMIC)


はじめに、藤田作品自体は小学校4年の頃、兄が「からくりサーカス」を買ってて、そこから読んでは止まっての繰り返しの「なんとなく藤田作品が好き」程度のモノだったと思います。
そんな「からくりサーカス」も高校時代に終わって、大学の頃に「月光条例」が新連載されて。そこで新連載ということで買い始めたのですが、当時は自分に全然刺さらなくて、ハマらないまま4巻で売ってしまいました。

時は経ち社会人になって
「そういえば藤田和日郎作品ってちゃんと読んでないな」
と思い「うしおととら」を漫喫で読み始めました。
もちろんメチャメチャ面白くて当時なりに食らったと思います。
そこから何年かして「からくりサーカス」がアニメ化するときに
「からくりサーカスって飛び飛びでしか読んでないな」と思って読み始めました。
このとき「うしおととら」以上に食らって、しろがねの過去やコロンビーヌの最後なんかは泣いていたと思います。

ここでやっと今日の話になるんですが、僕は現在休職ニートになってまして時間はあります「こういう機会でもないと漫喫で長編とか読まないな」と思い、藤田和日郎長編作品の3作目「月光条例」を読み始めた次第です。


前置きが長くなりましたが単刀直入に感想を言いますと、

史上最大級に喰らいました・・・

どれくらい喰らったかというと、30代独身男性が漫画喫茶で何度も嗚咽をあげながら涙を流すほどです(ほんとオープン席じゃなくてよかった・・・)
以下から自分語りと感想(ネタバレ含む)がはじまります。


まず、誰にも話したことないバリバリの黒歴史ですが僕の中高時代の趣味の一つに漫画のストーリーを考えるっていうのがあったんですね。
もちろん漫画なんて描けなかったからキャラの立ち絵だけルーズリーフに書いて、そこからストーリーを妄想するやつです。
そのなかで鉢かづき姫や桃太郎も自分で現代版にアレンジしたりしてました…
今考えると思春期に影響受けたものをバリバリ感じるのですが
(封神演義とか天上天下とか刃牙とか男塾とか)
特に鉢かづきはキャラも話も子供の頃から大好きだったのを覚えています。
多分というか間違いなく目覚めたきっかけは、小学生の頃読んだ
まんが古典文学館 お伽草子」が原因だと思います。
(いま思えばそこから目元が隠れたキャラが性癖になったのかなと…)
そういう意味でも「月光条例」のお伽話モチーフの話は感情移入が強く入りました次に各巻についての感想を簡単にネタバレ付きで書いていきます。

1巻

鉢かづき姫がそういや子供の頃好きだったな、と思い出しました。
このときはお伽話をモチーフにするのもそこまで新鮮味がなくて全巻制覇できるのか?と思いました。

2巻

一寸法師の劣等感。これ自分は共感してしまって、端からみると姫欲しさにやってしまった行動ですけど、本人は小ささからの劣等感で自分が間違っていると自覚しながらやってしまっているんですよね。
お伽話って基本的に登場人物の心情が描かれないから、そこを表現した藤田和日郎先生の表現力に喰らいました。

3巻4巻

シンデレラの話ですね。当時はここで手放しましたが、時が過ぎて改めて読むと感情に刺さり過ぎましたね。
魔法使いや王子によってシンデレラは労せずして富と権力を手に入れるんですよね。もちろんシンデレラのいた境遇は劣悪でしたが、それはあの時代ではよくあることで、王子と婚姻の際に貧しい女性を見かけた際に、偶然与えられるだけの幸せを手に入れた自分の環境に苦悩するんですね。
そこで自分の代役をしていたエンゲキブと境遇を共有したことで、人に与えられるだけの幸せじゃなく、幸せを人に与えることを行い、自分の好きなこともやっていくというハッピーエンドが本当に気持ちよかったです。
今思えば当時の自分はシンデレラの「与えられるだけの幸せ」に対する苦悩がよく理解できていなかったんだろうなぁと思います。

5巻

ここからは当時読んでない内容だったので新鮮でした。新キャラのトショイイン登場です。
おむすびころりんのネズミたちが必死に助けを求めている姿に対して、イデヤは猫というキャラもあってか雑に扱ってしまします。ですが月光はぶっきらぼうなりにちゃんと耳を傾けていて、ここが2人の物語に対する考え方の対比となっているのが面白かったです。
このときのイデヤの印象ほんとに良くなかったですね…

6巻

赤ずきんの話ですね。1回目の嗚咽が出るほど涙腺ぶっ壊れた内容です。
序盤読んでて嫌な予感はしてたんですよ…(内容的にも「うしおととら」に近い雰囲気でしたし)
赤ずきんにとって特別だった読み手が不幸な事件に巻き込まれた話で、彼女の純粋さと優しさから反転して黒い内容となってて、特に藤田作品に必ずでてくるキャラクターが憎悪を向けた際の崩した描き方が特に刺さり、それに対比したハッピーエンドの描き方が特に感情を揺さぶられました。
島本和彦先生の「吼えろペン」で作中に富士鷹ジュビロが

「魂のこもったキャラクターはじつはイビツであるべき!
じつは崩れてなきゃいかんのだ!」

                   引用:「吼えろペン 8巻」島本和彦著

は本当だなと心から思えました。

7巻8巻

浦島太郎&フランダースの犬回ですね。ここの話もなかなか熱い展開です。
悲劇として語られがちなフランダースの犬(実際悲劇ですが)で、月光はネロに対して他人の評価で自分の人生を測るなと言うんですね。
これはネロだけじゃなく浦島太郎に対しても言ってて、浦島太郎もネロ同様貧しい漁生活の中で母を養うことで、「自分は苦労し続けたから、少しくらい竜宮城の甘い夢をみてもいいじゃないか」と月光にぶつけるんですね。それに対しても月光は自分のモノサシを持つべきだと諭します。
言ってしまえば浦島太郎は亀を助けた”だけ”です。それに対して竜宮城での甘い生活は過剰に与えられ過ぎだと浦島太郎は考えるべきでした。
この話の中での「他人の評価に惑わさず自分のモノサシで評価する」大人になったから刺さる言葉だと思います。
あと最後のプール飛び込んだ後のトショイイン漫画史に残る可愛さ。

9巻10巻

桃太郎回ですね。ここはとにかく熱い展開です。
エンゲキブもやられ、ツクヨミたちもやられ、イデヤも瀕死の中に月光達の目の前に現れたのは執行したシンデレラと赤ずきんの2人。
いやね、まだ10巻ですよ。もうね最終巻かなと思うような熱い展開ですよ。
涙腺ぶち壊すくらい好きだったキャラクターが、これでもかとカッコイイ戦い方するんですよ!!
それで桃太郎倒した後もこの2人帰らないんですね!!
月光たちが海に行くときも一緒についてくるんですよ!!
いや可愛過ぎかと。藤田作品でキャラに入り込みすぎるのは危険と分かっているのですがここは本当に最高でした。

11巻

長編のアラビアンナイト回ですね。
シェヘラザードが千夜一夜て言うくらいだから多分長編だろーなーと思ってたら案の定でした。
どんどん引き込まれていく感じがあり、ここから情緒がかき乱される予感はしてました。

12巻13巻14巻

月光の過去回ですね。ここで3回涙腺がぶっ壊れました…
・妹ミチルのために奔走するチルチル
・永束の人柱(雉も鳴かずば撃たれまい)で己の無力さを痛感するチルチル
・自分の境遇を受け入れるマッチ売りの少女
特にマッチ売りの少女が物語の世界に帰るシーンは、前作「からくりサーカス」で白金の回想シーンのエレオノールを彷彿とさせてグスングスンなりました。
サクシャ(作者)を問い詰めると言って、日本の世界に行った時点で嫌な予感はしたんですよね…昔話とかほとんど原典がない口伝だし…

15巻16巻

アラビアンナイト編ヒートアップ中ですね。
各キャラがピックアップされて移動しながら戦うところが、これも前作「からくりサーカス」クライマックスの列車での戦いを彷彿とさせてくれました。
あと斉天大聖かっこよすぎ。

17巻18巻

月光の過去回2ですね。
センセイの正体は驚きましたね。
あと僕は漫画に詩を引用される演出にめちゃくちゃ弱いです。
別作品だと小林尽先生の「夏のあらし」で谷川俊太郎の「生きる」が引用された時も心臓を鷲掴みにされるような感覚がありました。
あと高勢露ゾッとするほど美しい…「うしおととら」の白面の者の斗和子に近いものを感じました。

19巻20巻

おかしいと思ったんですよ…青い鳥がメインの話で妹のミチルがピックアップされないことに…
待たされる人間がどれほど不安で辛いか、ましてや幼い妹ですよ。
よくもまぁここまでたくさんのお伽話を絶妙に混ぜ合わせたものです…

21巻22巻23巻24巻

最終章かぐや姫回ですね。
かぐや姫を舞台にした話は色々ありますけど
(「トニカクカワイイ」畑健二郎著や「かぐや様は告らせたい」赤坂アカ著など)
「月光条例」ではかぐや姫の心情が特に残酷に描かれてます…
展開としてはアニメの「天元突破グレンラガン」を彷彿とさせる内容でした。
とにかく敵役が胸糞悪い。考え方が全く通じず(実際宇宙人ですが)相入れぬ存在って感じでした。
あと月光がお伽の住人たちを説得するシーンが「うしおととら」の最終章を思いだして、そこもこみ上げてくるものがありました。

25巻26巻27巻28巻

月光と一部のお伽の住人の戦いから総力戦へ。
ここの展開は藤田節全開のアクション満載でしたね。
そしてお伽の住人全員が守るものの為に戦うところでまた涙腺が壊れました。
月光条例は藤田作品のスターシステムも採用されてて初期からところどころ懐かしいキャラが出てきます。
漫画やゲーム、アニメも創作の源流を辿ればお伽話に行き着くところを、綺麗に融合されていて涙なしには読めませんでした。
あとシンデレラのラストは特に涙腺が決壊しました。

29巻

いよいよ最終巻です。
オオイミの歪んだ考え方との対峙は単行本で読んでいるなのにライブ感が凄かったです。
でもオオイミの自分が触れた作品やコンテンツに影響されておいて、自分を棚にあげる姿は他人事に思えないところはありました(もろ害悪オタクって意味合いで)
最後の展開は藤田和日郎先生じゃないと描けないラストだと思いました。
逆に他の作者がやってしまうとめちゃくちゃ炎上したでしょうし
(この最終回も賛否あるみたいですが)
おまけの卒業式のシーンは最初何のことかと思いましたが、藤田先生の遊び心とサービスを感じました。(ちなみに僕は左下の片目隠れロングの子と思ってます)


以上!!!!!!!

いやー感想書き切りましたね…
読むのに7時間、感想書くのに5時間かかりました。
鉄は熱いうちに打てじゃないですけど、この熱量あるうちに書き終えないと絶対
後悔すると思ったんで長文感想を書いてしまいました。
書いて思ったのですけど、やっぱりこういうアウトプットって良いですね。
自分がコンテンツに対してどれだけ熱を持ってたか自分でも再確認できて楽しいです。(まぁここまで熱が入ったのもわりと珍しいですけど)
もしかしたら双亡亭読み終えた時もこんな感じになるかもしれませんが笑
そのときもタイミング合えば書くと思います。

ここまで読んでくれる人がいるかわからないけど、
読んでくれた人サンキューでした!!!!

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