episode 05. クラウドファンディング
前回までのあらすじ
チャンキー松本氏による『高島おどり物語 盆踊りだよ人生は編』が完成し、それを引っ提げて、いよいよクラウドファンディングをスタートさせる。
このお話に登場する人
大西 保存会の会員。最年少の30代。高島の盆踊り大会のリブランディングに取り組む。
運命のクラファン
2018年6月10日。いよいよ運命のクラウドファンディングが始まった。
保存会の中で「支援者集めるの協力するわ!」という人は結局一人もいなかった。成り行きを傍観するか、懐疑的に見る人しかいなかった。
「もし集まらへんかったら、ここまでの経費どうするつもりや」と、大西から「僕が全部負担します」という答えしか出せないようなことを直接言いに来る人もいた。
しかし、大西は信じている。一生のお願いを。チャンキー松本の漫画を。そして藤原会長の思いを。
思いを支援に代える。共感の輪を広げるのだ。
とにかく必死に走った。必死で呼びかけた。頭を下げた。
「もし集まらへんかったら、ここまでの経費どうするんや」
おれは、と思う。
おれは、応援できる人になりたい。
反骨をバネにして駆けた。
藤原会長は言った。「踊りを残すのは、地元の人間の使命」だと。
その言葉をくれた会長を、もう一度大勢の人に囲まれたその輪の中心に立たせてあげたいと強く強く思う。
こんなに高島音頭のためにがんばってきたのだから。
馬鹿にされも、仲間を失っても、ここまで続けてきたのだから。
この小さな願いが叶わないはずないじゃないか!
一生のお願いをだれかのために使うなんて、と思われるかもしれないが、だれかのためだからこそ、価値があるのだ。だれのためにも動かずに、だれが自分のために動いてくれるものか。
盆踊りの輪のように、だれかのための輪を繋げたい。そうすれば、愛に包まれた社会の、その象徴のような盆踊り大会になるはずだ。
走って走って、振り返ると、
開始3日目で目標金額を達成していた。
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