episode 03. チャンキー松本
前回までのあらすじ
高島音頭を未来に繋ぐ、その思い、預からせてほしいと資金調達に奔走する大西。ついにクラウドファンディングをスタートさせる。
このお話に登場する人
チャンキー松本 漫画家、イラストレーター、切り似顔絵師、パフォーマーなどマルチな才能をもつ天才芸人。
大西 保存会の会員。最年少の30代。高島の盆踊り大会のリブランディングに取り組む。
チャンキー松本
どうすれば、わかりやすく藤原の思いが伝わるか。だらだら文章書いても誰も読まないだろう。読まれないのなら意味はない。
「そうや、漫画や、漫画しかない。」
チャンキー松本は売れっ子だった。大阪から東京に進出し、仕事の幅は広がり、イラストのみならず、切り似顔絵やパフォーマー、香川出身ではあるが、大阪で鍛え磨き上げられた漫談を携え、テレビ、雑誌に大活躍している。
セミの声がそろそろ聞こえなくなったその日、松本は一通のDMを受け取った。「なんや、大西くんやないか」
漫画と決めたその日から、松本に書いてもらうと大西は決めていた。傑作『盆おどる本ー盆踊りをはじめよう!/青幻舎』のイラストを勤めたのが松本であり、大西の数少ない友人のひとり。
藤原会長の思いを長文で伝え、最後に思い切って伝えた。
「漫画書いてもらえないでしょうか」
「ええよ、今度取材行くわ。交通費だけちょうだいな」
あまりにあっさり受けてくれて、拍子抜けした。
夏も終わろうとしている。セミの抜け殻がアスファルトに転がっている。
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