【03】 Spoonflowerにお店をひらいてみた
スプーンフラワー?
何だそれ?
私がその名前を初めて耳にしたのはついひと月前のことです。
アメリカのノースカロライナ州で産声を上げたSpoonflowerは、好みのデザインの布地をオンデマンドで作れるオンラインショップ。会員登録すれば自分がデザインした布を世界に販売できます。創業2008年。そんな前からあったのか…。
創業者はStephen FraserとGart Davis。
ある日スティーブンの奥さんが「特大の水玉模様の黄色い生地を探してるんだけど見つからないのよ」とぼやくのを聞いて、使いたい布をデザインしたり必要な分だけリーズナブルに買えるサービスがあるといいなと思ったそうです。
思惑はみごとに当たりビジネスは急成長。創業以来ユーザーは世界中に広がって現在会員450万人。そのうちデザイナーは2万人(2019年12月現在)。女性が圧倒的に多い印象です。
デザインの数は何と100万点以上。
すげーな(笑)
そんな大海原へ漕ぎ出すべく、デザイン初心者の私もこのたび小さなショップをオープンしました。
夏からひそかに作りためてきたデザインをアップしています。よかったらあとで覗いてみてください。トップページの画像をどれでも選んでクリックすると、生地の切り売りのページへジャンプします。
表示されるのは約54cm×50cmのファブリックイメージ。
選べる生地は20種類以上です。
画面右側の[FABRIC]のボックスをクリックすると生地の一覧が出現。好きな布を選んでデザインをプリントする流れです。
Spoonflowerはただの生地屋さんではありません。
布を使ったさまざまな商品もオンデマンドで販売しています。
ベッドカバー、カーテン、クッション、テーブルクロス、マスクなどなど。
布製品ではありませんが壁紙もあります。商品一覧はこちら。
どうです、壮観な眺めでしょう?
私も初めて見た時おお〜っ!となりましたよ。
もっと感激したことがあります。
これだけ多くの商品を売るためにデザイナーは画像(JPG、PNG、GIFまたはTIFF/150dpi)をたった1点アップロードすれば良いんです。
ひとつの画像が十数秒後には各商品に反映され、一斉に公開されます。その瞬間はもう鳥肌もの。
どの商品画像も布のシワやクッションのふくらみに沿って自然にマッピングされていてリアル。おいおい、なんかオレすごい商品を作っちゃったぞ、というふんわりした高揚感に包まれます。
商品ページを覗いてみましょう。
こちらはディナーナプキン。
商品ページには2〜4点の画像があり、おおよそのイメージがつかめます。
画像にカーソルを乗せると拡大表示もできます。
いや〜、良くできたショッピングサイトですよね。
買うほうもデザインするほうもワクワクするんじゃないかな。
バーチャル商品写真で魅せる方式はzazzleやSociety6など他のオンデマンドショップにも採用され、日本でも見かけるようになりました。
こんなん見せられたら、デザインをアップしてまうやろ。
中毒性がありますよこれ。
ただし、このサービスにはひとつだけ壁があります。
お金です。
デザインを売るためには1点登録するごとに5ドル必要。
アップロードしたデザインをショップに公開する前に、試し刷りの端切れ(8×8インチ)を1枚取り寄せなければなりません。
日本への送料は2ドル。毎回700円以上かかるのか…‥
なぜそんなことするんだろうと思ってましたが、端切れが届いてなるほど納得。
上の写真の柄は前回の記事(桃色の鳥〜)でご紹介した、私が4歳の時のクレヨン画をちりばめたパターン。布にプリントされるとけっこう印象変わるなぁと思いました。パソコン画面よりも淡くなる色、ビビッドになる色。布の種類によって色の沈み具合などもちがってくるようです。
端切れ(test swatch と呼ばれています)は印刷業界でいう色校正の確認みたいなものなのでしょう。ならば数百円の出費は仕方ないか、いやむしろ健全なシステムといえるのかも。データだけ納品してハイさようならでは無責任ですからね。
それにしても驚くのはSpoonflowerのデザインの数の多さです。他のショップを覗いてみると一人で1000点以上出品しているデザイナーが大勢います。彼女たち、端切れを買うだけで数十万円払ってるの?
いえいえ、必ずしもそうではないのです。
なるべくお金をかけずに出品できる方法を Spoonflower はちゃんと用意してくれていました。
次回はそのシステムについてお話しします。
◇ ◇ ◇
さて、Spoonflowerへの出店を機に新しいマガジンを作りました。
私、自分ではまだ若造と思っていますけれども9月に61歳になりました。柄物デザインを始めたのは7月だったのでタイトルは誤りではない(笑)です。
ファッションに縁のない人生を送ってきたおやじが、どんなデザインを考え、Spoonflowerなどのサービスをどう活用し、自分の世界をどう広げていくのか(いや、いけるのか本当に??)を正直にレポートしていきます。興味のある方、よかったらお付き合いください。