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おいしい棚田米と保全活動 | せぎなお会

近江高島駅から西へバスで約25分、県道を抜けた先に日本の棚田百選に選ばれた「畑(はた)の棚田」があります。

橋本さんご夫婦が立ち上げた「せぎなお会」は、会員の方々と共に棚田の管理と周辺の環境保全を行なっています。草刈り作業の日にお邪魔し、お話を伺いました。

せぎなお会のみなさん

せぎなお会の活動

会長の橋本章一さん、はじめは京都から週末だけ高島で過ごす生活でしたが、次第に高島で過ごす時間が増え、生活の拠点をこちらへ移されました。

会長の橋本さん

畑の集落も住民の高齢化が進み棚田を維持することが年々難しくなる中、耕作放棄される田んぼも目立って来るようになりました。

せぎなお会では現在14a(7枚分)の棚田を管理し、周辺の環境整備も行なっています。一段上のエリアにあじさい園を整備中で、八角形のベンチからは棚田を見下ろすことができます。遊歩道には枕木を敷き、杭を打つのも会員の方々と一緒に場づくりを進めています。

整備中のあじさい園
あじさい園からの眺め。
せぎなお会が管理する棚田が見える

収穫したお米は会員さんが購入する分でなくなってしまう程の量ですが、無農薬で作った畑の棚田米はとっても美味しいそうです。せぎなお会では、水張り、代掻き(しろかき)、田植え、草刈り、稲刈り、天日干しといった一連の作業や水路の整備も会員さんと一緒に行なっています。全体作業の日もありますが、各々が来られる時に作業し、申告してもらいながら進めているので、作業日を限定しないことでより関わりやすい形となっています。

会員数は現在約40名、市内の他、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫と、各地から集まり、ご夫婦や親子で参加される方も。冬はオフシーズンに当たりますが、1mを超える積雪がある畑エリアでの雪遊びは、お子さまにも人気なのだとか。畑特有の気候もお米のおいしさの要素の一つですが、その背景を知って実際に作業し関わることで、収穫されたお米に対する感じ方も違ってくるのではないでしょうか。

その日の稲穂には、花が咲いていました

せぎなお会では龍谷大学のゼミ生の受け入れをし、一緒に作業をされています。
また、収穫したお米を籾殻と玄米に分ける「籾(もみ)すり」の作業を地元の方にお願いしています。ボランティアではなく収入にしてもらっています。
管理されている棚田周辺の道の草刈りもされており、周辺の環境整備にも関わっています。1年を通して棚田の管理をすることも大変なことではありますが、お米を育てるだけではない、活動の幅広さを感じました。

せぎなお会では「一緒に楽しむ」ことを大切にしながら、棚田保全を中心とした地続きな関わりを、会員さんそれぞれの頻度と関わり方で分担されている印象でした。

この集落が大好きだからこそ、少しでも何とかしたい。
そんな橋本さんの想いからスタートした「せぎなお会」、
耕作放棄される棚田が増え、変わっていく集落の現状を何とかしたいという想いは、新しいご縁と場づくりにつながっています。


棚田ハウスの外観

棚田ハウス と せぎなお会

現在棚田ハウスとなっている建物の持ち主の方が、下の集落へ移り住み10年間空き家だった家を橋本さんが5年前に借りて民宿を開き「棚田ハウス」が誕生。今では海外からのお客様も多く訪れます。しかし当初は雪の重みから屋根が破損し水が溜まっていた状態でした。屋根の修理、ダメになった畳を外に出し、床の張り替え、補修を自らの手で調べながら直していきました。棚田の横にある機材置き場の小屋も自分で建てられたのだとか!

レトロな雰囲気が漂う棚田ハウスの内観
田んぼの横にある作業小屋も、会長の手作り

棚田ハウスの大家さんが管理されていた棚田も高齢のため維持することが難しくなり、橋本さんご夫婦が「せぎなお会」を立ち上げ引き継ぐ形となったのが4年前。決めたのは3月になってから。5月の田植えを控え、急遽友人・知人に声をかけ、なんとか田植えを間に合わせました。機械もないので人力でした。現在は補助金で購入した農機具もありますが、棚田は大きな機械が入らないこともあり、また農家ではないので収益を目的としていないこともあって、手作業で手入れをされています。まさに天塩にかけて育てられたお米は、味もさることながら、そこに至る工程も体験として得られるという点で、より手元に届くことが楽しみになりますね。

取材:来見

せぎなお会では会員さんを随時募集しています。
詳しい活動は下記をご覧ください。

せぎなお会 Facebook
https://www.facebook.com/p/せぎなお会


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