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カメコに必要なレンズフィルター

例えば、クロスフィルターを使って光条を出したりといった写真表現としての芸術性を高めるためのフィルターの使用用途もあるが、今回は芸術面ではなく機材の保護のためや、白飛びの防止のためなど、もっと基礎的なレベルでそもそもフィルターがないと撮影できなくなる可能性があるシーンで必要なフィルターの話をしようと思う。


前置き

レンズフィルターはコスパが悪い投資分野

レンズフィルターはカメコにとってコスパが悪い投資分野だ。
まず、レンズによってフィルター径が違うのでプロテクトフィルターのように雨の撮影で使うフィルターの場合はレンズフードをつけたまま使える必要があり、ステップアップリングなどでサイズ調整して大きいフィルターでごまかすのも難しくレンズごとに揃えるにはコストがかかるのが難点だ。
野外の撮可現場自体そこまで多くないし、そこまで多くない野外の撮可現場の中で実際に雨が降るなんて、1年のうちでも出くわす確率はかなり低いのでフィルターを買ったとしても必ずしも1年以内に使わない人もいるだろうが、雨の撮影ではレンズ保護の観点でもレンズフィルターは絶対にあったほうがいいので、「転ばぬ先の杖」として所有しておいたほうが良いのも事実である。

保護フィルター

個人的には晴天のときに望遠レンズにレンズフードをつけていれば前玉を汚すことはないのでレンズキャップは不要と考えているが、雨となると話は別だ。

やはり前玉に水滴が付着するのを防ぐのはレンズの汚れを防ぎ、レンズ内部に水が入りカビの原因になるのを防げるので雨の時はレンズフィルターを使用するのが望ましい。(ちなみに、直近の撮可現場のときは事前に雨予報出ててレインカバーとか雨合羽は用意してたのにフィルター忘れましたww)

レンズフィルター(プロテクトフィルター)に対する考え方は2つある
1,(人にもよるが)常時つけることを考慮して光学性能が極限まで高いものを使用する
2,雨などの悪条件の環境ではもともと画質良く撮れる期待値は低いのでどの程度あるのか正直よくわからないフィルターの画質劣化はあまり考えずに適当なものを使う

自分的には考え方は①寄りで、雨の時だめ画質への影響が最小限の高級なフィルターを装着し、晴れのときは使わないがいいと考えてる。
例えば、ケンコー・トキナーかからラインナップされているプロテクトフィルターはシリーズによってあるサイズないサイズがあって実際はそこまでないが、10種類以上ラインナップされているので適当におすすめなものを紹介したいと思う。

オススメモデル

ケンコー・トキナーのプロテクトフィルターとしては最上位のモデル。筆者もこれの前モデルのZXで揃えている。
撥水コーティングが付いていて水滴も弾くし、無水エタノールで水滴痕を拭いたときもコーティングのおかげで拭きムラが残りづらく清掃が簡単。
また、上位のモデルは帯電しにくくホコリが付いても簡単にエアーで除去できるのでその点でも清掃しやすいので、高価だが汚れづらいので清掃しやすいのも利点だ。

これも同様に撥水コーティングが付いているので扱いやすく、ガラスに強化ガラスが使われてて破損しにくいので万が一のときのレンズにダメージが及ぶリスクが低いのがメリット

撥水コーティングが付いていて比較的安価なモデル

自分もEXUSも所有しているが、KenkoのZX同様に撥水コーティングも付いているし、帯電防止コーティングまでついてて扱いやすいのでオススメ(上位モデルの割にはKenkoのLotusフィルターに近い値段で比較的安めだし)
https://www.yodobashi.com/product/100000001005024642/


撥水コーティングはやはり欲しいところ。ヨドバシで実売7120円と値段が安めなのでその点でも良いと思う。
https://www.yodobashi.com/product/100000001006255640/


金額の実態

カメラ業界あるあるだが、メーカーの希望小売価格で売られてない場合がほとんどなので、実際の販売価格が重要になると思う。
70-200mmなど使用率が多い77mmの金額で見る。

紹介した3モデルの価格を比較するとそこまで価格差がないのが実情だ。
正直欲しいやつを買えばいいと思う。
カメコは結構清掃とか機材管理が雑な人が多いので、迷ったら耐久性が高いZeta Quintがいいかとは思うが、撥水コーティングが付いてれば別にZXシリーズじゃなくてもいいのではないかとも思う。

NDフィルター

前置き

ライブ撮影の大半は低照度との戦いなので、屋内では絶対にNDフィルターは必要ない。速いシャッター速度を使えなくて困ることはライブ撮影の現場で多々あるが、シャッター速度が速すぎて困るシーンというのは自分もこれまで出くわしたことがないし、シャッター速度速いほうが被写体ブレしないので普段1/640や1/800が基準で野外で1/1600が切れると嬉しい気分になるが、更に明るくて1/4000とかもっと速いシャッター速度を使えるならカメコとしては嬉しい限りだし、シャッター速度は速くできるなら速いほどいいと考えている。それに、速すぎる分には1/2500と1/5000くらいだと差を感じないので白飛びさえしなければokと考えている。
実際NDフィルターが必要なのは、F2より明るいレンズくらいかなと考えている。

そもそも、NDフィルターを使わないと撮影ができなくなるレベルの明るいシーンでは絞ったりして解像度を高める余裕があるほどなら単焦点レンズとズームレンズで解像度の差が出づらくなるので、ドピーカンでは利便性を重視してズームレンズを使用する場合が多いと思う

あと、最近は電子シャッターでEOS R3では1/64000まで切れるのでもはやNDフィルターは必要ない感じはするが、α9iiiでは大口径レンズ使用時に使える電子シャッターの速度に制限があったりもするし超高速な電子シャッターの画質への影響は議論になってないだけでよくわからない部分も多々あるのでやはり1/8000より先の速いシャッター速度はオプションくらいに考えといたほうが良いのかもしれない。

必要なF値

NDフィルターに関してはビデコの皆さんは必需品として常備しているらしいので、あっちの業界ではNDフィルターが必要なのは常識なのでビデオでのNDフィルターの話は省略するが(自分はビデオは詳しくないし)、静止画撮影でNDフィルターが必要なシーンについて説明する。

F2.8のレンズでは夏場の野外のドピーカンの撮影でもISO 100 1/8000でオーバーになることはまずないのでF2.8のレンズではレンズフィルターは特に必要ない。
自分が過去に経験した一番眩しかった現場でもISO 250,F3.5,1/3200でF2.8のレンズで野外で過剰な光量がある場合は、ピント精度を重視して1段程度絞ることが多いので実際の運用ではF2.8のレンズではNDフィルターは必要ない。(開放で撮ったとしてもおそらくISO 100 1/8000で白飛びするシーンは存在しないのでたぶん必要ない)EOS Kissシリーズなど最高シャッター速度が1/4000のモデルだとしてもおそらくISO 100まで下げる範囲で対処可能だと思うし、それでもダメならエントリー機なら絞ったほうが画質的に有利なのでどのみちF2.8のレンズをライブ撮影に使う分にはNDフィルターはいらないと思う。

ドピーカンの話

前項でドピーカンでF2.8のレンズでもまずNDフィルターは必要ないって話をしたが、ドピーカンで眩しいなって感じてても100-400mmなどF5.6のレンズをちょっと絞ってF7.1くらいで使ったりするとF7.1 1/2000 F640くらいだったりと、F5.6クラスのレンズでは実際はISO 400くらいで1/3200を切れるようなシーンは存在しないので暗いレンズはなんだかんだ言ってもドピーカンだからといってCMOSセンサーの超美味しいところ(ISO 400未満)で美味しいシャッター速度(1/2000より速い)を使うのは意外と無理なので暗いレンズはドピーカンでも明るすぎるなんてことはない

実例

自分は50mm F1.2のレンズ用にZXのND8フィルターを所有している。50mm F1.2のレンズは開放で使用すると真夏の屋外とかのドピーカンの環境だと白飛びすることがあるのでND 8フィルターを所有している。
実際の体感としてはF 1.2、ISO 100、1/8000で白飛びしてるが1段分くらい?な気がする。
ISO 100でシャッター速度最速で白飛びするようなシーンの場合はISO 100がISO 250、1/8000が1/4000になったところでそこまで画質に差はないのでND 4とND 8を揃えてなんてそこまでしなくていいと自分は考えている。(まず、白飛びするシーンなんてなかなかお目にかかれないのでNDなんてお守りに近いところはあるけど、持ってないと万が一白飛びした時に詰むので1枚あればok)

NDの数字

ND4であれば光量が1/4になるので同じISO感度で撮影した場合シャッター速度は1/4になる。
ND4でもたぶん大丈夫だが、アンダーに撮って暗めに表現するときにF1.2くらいの大口径レンズのときに物足りない可能性があるので1枚持つならND 8でいいかなと思う。どうせNDフィルターが必要なシーンならシャッター速度にもISO感度にも余裕があるので調整幅はある程度あるからNDフィルターが必要なシーンでNDフィルターを使った場合にノイズを気にする必要はないと思うが、ベース感度を使いたいならND 4も買えば良いと思うが、NDフィルターなんてめったに使わないから大口径レンズに対してND 8を1枚持っていれば十分だと思う。

ケンコー・トキナー

ケンコー・トキナーでは解像度重視で光学性能が高いZXシリーズか、無難に使えるPRO 1D Lotusシリーズなどがある。

最近の単焦点レンズ(特にミラーレス用レンズ)は高画素機に対応して普及価格帯のレンズから非常に光学性能が高いが、F1.2とかの単焦点レンズではプロテクトフィルターは使わなければプロテクトフィルターによる画質低下は回避できるが、NDフィルターはシーンによっては必要で使わずに撮れないシーンも多少存在するので所有しておく必要があると思う。
最新のレンズの高い光学性能を安定して発揮するためにはある程度出どころがちゃんとしたメーカーのハイエンドモデルを選ぶのが無難だと思う。
KenkoのZXシリーズは特殊な固定方法でフィルターのガラスの平面度が高くなって光学的な影響が出ないように設計に配慮されているのでおすすめだ。

結語

カメコ現場でレンズフィルターが必要なシーンなんてこんなもんで、実際はかなり限られたシーンで

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