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RF70-200mm F2.8 L IS USM Z

念願のRFマウントのインナーズーム70-200mmが登場し、やっと納品されたのでレビュー記事にしようと思う。

注:まだ作例画像や詳細な画質テストが完了してないのでざっくりとした内容での公開です


導入の経緯

簡潔に:念願のインナーズームのRF 70-200mmだから

70-200mmはズーム操作も激しく、伸縮式のズームレンズだとイマイチ信用ならないなと思ったことと、実際に伸縮ズーム版のRF70-200mmF2.8を触ってみると気密性を高めるためなのか鏡筒のシーリングが結構しっかりとされているようで鏡筒に遊びがなく内筒と外筒の隙間が狭いみたいでズーム操作時の回転が重く、また、ぴったりとした鏡筒で動かすのに抵抗が大きいからかズームリングの回転角度も大きめで、それでもズーム操作の回転は結構重めでレスポンスが大事な70-200mmとしては扱いづらいなと思ったので伸縮ズームのRF70-200mm F2.8は自分は買わずにいた。

2019年に伸縮ズームのRF 70-200mm F2.8が発売されたときにはすぐにCanonのショールームに見に行った。
他社(NikonやSONYなど)はミラーレス版の70-200mmでもインナーズームで作っていたのにCanonは伸縮ズームで70-200mmを発売し、全長が短いことで縦位置グリップ一体型ボディを入れることができるカメラバッグでは24-70mmのように縦に入れることができるらしく、インナーズームの70-200mmよりも輸送面でのメリットがあるのは確かに一理あるなとは思ったが、雨の中撮影したり報道などプロの現場でも使われる70-200mmとしては安心感に欠けるレンズだなと思った。
当時自分がCanonショールームで現物を試してみた感想としては、このレンズは画期的かもしれないが未来はないなと感じた。前述の通り、伸縮式ズームなのが大きなネックだが、それ以外にも伸縮式ズームの影響なのか口径食が大きめに感じた。当時自分はライブ撮影ではなく航空機の撮影などがメインだったが、屋外で撮影を行う航空機の撮影ではライブ撮影よりも耐候性に対する要求は厳しいので当時の自分としては当時見たRF70-200mm F2.8(伸縮ズーム)の印象は良くなかった。
2019年当時はミラーレス機も登場していたが、まだEOS R5やEOS R6なども登場しておらず、まだまだ一眼レフ全盛の時代でミラーレスがここまで主流ではなかったのでプロのカメラマンなどもEFマウントの70-200mmが中心だったのでミラーレスを使う人は多くなくそこまで問題になっていなかったが、どうせ将来的にプロからの要望でインナーズームの70-200mmは登場するだろうなと思っていたので、ミラーレス移行後も伸縮ズームの70-200mmは導入せずにずっと待っていた。

購入余談

11月にこのレンズの予約開始日にカメラのキタムラのオンラインで注文し、2月下旬に入荷した。
カメラのキタムラで、下取りを利用し12.5万円くらいの査定額がついたので、新レンズは実質32万円くらいで購入した。(純粋に不要な機材を売却する買い取りよりも、買い取ってもらったお金で他の商品を買う下取りのほうが査定額が高くなるので下取りがオススメ)
EFマウント版のEF70-200mm F2.8L IS II USMは今年の5月でメーカーの修理受付も終了してしまうし、RFマウントでインナーズーム版が登場したことで乗り換え勢も多いので(現にインナーズーム版が予約開始したときは初日に半年待ちのアナウンスが出た)、多くのEFマウント版の70-200mmが中古として流通して査定額低下は進んでいくと思うので70-200mmをRFマウントに移行するなら早めに乗り換えるほうが吉な気がする。

重量、サイズ

一般的に最もこの状態で使っている人の多い、レンズフードあり、三脚座ありの「フルセット」で。
EFマウント版の70-200mmF2.8と重量を比較してみると約300g軽量化されている。

レンズフードなし、三脚座なしの重量を測定してみても同条件のEFマウント版と比べて300gくらい軽くなっていて、ボディ側の重量ではR1と1DX2で400gくらいの重量差があるので合計で700gくらいの軽量化になるだろう。

スモールパーツ(三脚座とレンズフード)の重量の比較では、EFマウント版のリング式三脚座と、RFマウントの三脚座の部分だけ着脱式の三脚座の重量がそこまで変わらなかったことには驚きを隠せないが、スモールパーツの重量はEFマウントとRFマウントで大差ない。

軽量化ポイントとしては、RF24-105mm F2.8Zのレンズフードに交換して軽量化することはできるのか?という疑問はあるが、レンズフード装着部の爪の部分の厚さが違うかもしれないし、そのへんの互換性が未検証なので、私としてはノーコメントで。

参考値:EF70-200mm F2.8L IS II USM

三脚座あり、レンズフードあり

三脚座なし、レンズフードなし

ボディと合わせた重量

EOS R1+RF70-200mmZで2.51kgだった。
1DX2+EF70-200mmは重量的に重くて首から提げると痛いので方に提げることが多かったが、この重量なら短時間なら首から下げても大丈夫だなってくらいには軽くなった。

1DX2とEFマウント版の70-200mmでは3.2kg程度。
ちゃんと計算通り、R1+RF70-200mmZは1DX2に比べて700g程度軽量化されていることがわかる。

外観

マウントアダプターがなくなったことで統一感があり、すっきりとして気分がいい。
最近のミラーレス用のレンズは、コントロールリングが追加されたり、絞りリングがあったりと、リングの数が増えた影響で1つ1つのリングが細くなり、一番使用頻度の高いズームリングにもそのしわ寄せが及んでいるレンズも多く、このレンズも例に漏れないがまあ快適に操作できる程度にはズームリングの幅は確保されている。
トラッキングAF全盛の現代にはもはや最後に使ったのがいつか思い出せないフォーカスリングなど使用頻度の低いリングの幅を細くしてズームリングの幅を確保した点は評価したい。

レビュー

ボケ

ボケの質の評価としてはやはりイルミネーションなどよりしっかりとした点光源でテストするのが妥当だと思うが、現段階での評価としては特にボケが汚い感じはない。

AF速度/精度

正直これくらいの速度と距離の被写体ならR1+EFマウント版の70-200mmや1DX2でも別に普通に撮れるなとは思うが、AF精度に関してはちゃんとトラッキングAFで補足して撮影できればAF速度,追従性ともに良好だなと感じた。
これくらいの距離がある被写体だと正直EFマウントのレンズでもAFの駆動量がそこまで多くなくピント精度的な問題が出ることはまずないので、今後ライブ撮影で使用してより詳細なAF性能の評価を行っていきたいと思う。

EFマウント版では明るいシーンでも近距離の大きな動きではわずかに外してしまうこともあり、近距離でのダイナミックな動きに対しては弱いかなと感じていたので、これだけAF速度が速いとより正確に瞳にAFを合わせることができるのではないかと期待できる。

解像度

解像度は一般的には、開放よりもF5.6-F8で最も良好になり、それ以上絞ると逆に回折現象で解像度が低下する場合が多い。(近年は開放からシャープで絞る必要のないレンズがハイエンドには多いが)

自分が気にするのはライブ撮影での画質なので、基本的には開放で、絞ったとしても屋外でF4くらいまで絞るかどうかくらいなので今回の画質テストも全部F2.8で撮影した。

これまでもEFマウント版の70-200mmでF2.8の開放で撮影していて画質的な問題はほとんど起きていなかったが、2010年発売のEFマウントのEF70-200mm F2.8L IS II USMと比べて、約14年後に登場しているこのレンズの画質が良いのは当然なので解像度には全く問題を感じない

周辺減光

Lightroomでレンズ補正on/offで比較してみた。

ISO 320,F2.8,1/2500 200mm
一般的にズームレンズではレンズの口径ギリギリまで使うテレ端のほうが口径食や周辺減光が大きくなる場合が多いので200mm側で、周辺減光がでた場合に分かりやすい青空バックの画像で周辺減光を評価してみた。

レンズ補正onでは周辺減光補正100/歪曲補正100で効かせているが、周辺減光補正が100だと空のトーンが明るすぎるかな?って感じがするのでそこまでガチガチに強く周辺減光補正をかけなくて若干残す方向性にセッティングするのでもいいのではと思った(普段100/100でそのまま使ってるのでケースバイケースかもしれないが)

自分としては周辺減光はF2.8での評価のみだ。
F4,F5.6の作例を撮り忘れたのは正直なところだが、ライブ撮影を行うカメコでレンズを絞って使えるシーンはほとんどないので、F4での周辺減光がどの程度かは正直興味がないし、どうせ絞れば改善するので補正もあるしまあいいかというのが素直な感想だ。

レンズ補正off
レンズ補正on

最短撮影距離、最大撮影倍率

正直ライブ撮影としてはあまり関係ないレベルの距離まで寄って撮ることができるので、自分としては評価の対象外なポイントではあるが200mm側で0.3倍まで寄ることができてかなり寄ることができるなと思う。(後々暇だったらマクロの作例も掲載するかも?)

作例

ライブ撮影

ISO 6400,F2.8,1/640
70-200mmで撮るには遠かったので、大きくトリミングして長辺4000pixを下回ってしまっている厳しいコンディションだが、細部まで拡大してみても髪の毛の輪郭もシャープで、トリミングで画素数が低下しているのを加味してもレンズの解像度としては優秀かなと思う。

ポートレート

ISO 1250,F2.8,1/80 EOS R1使用、ストロボ無し

この会場は特典会で写メのレギュレーションで写真を撮るにはストロボなしではちょっと暗い会場でシャッター速度も遅めだし、ISO感度も高めなのでポートレートの画質として評価するには微妙なので現段階での評価は保留(24MP程度ではEFマウント版の70-200mmとの画質差がそこまで顕著には出なそうなので画質差は軽微かもしれない)

良いところ

ズームリングの回転が軽い

ズームリングの回転はすごく軽い
数値化することはできないが、色々触った感覚としては、

RF(インナーズーム)>EF(ii/iii)>RF(伸縮/F2.8)>RF(F4)

という印象だ。RFマウントの伸縮ズームのF2.8はズームリングの回転が重くてすごく嫌だったが、F4は回転が更に重く、レンズ重量も軽いこともあって回転させると本体側にも力が伝わって回ってしまい撮影しづらいのでズームリングが重いレンズは自分は好きではない。

レンズ重量が軽い/重量バランスの良さ

EFマウント版と比べてレンズ重量が300g、ボディで400g程度軽くなって重量の絶対値が軽くなったことも大きいが、これまでEOS R3にマウントアダプターを使用してEFマウント版の70-200mmを使っていたときはただでさえ重いレンズ(重量物)が前に出てしまって、おそらくメーカーが一眼レフで持ったときに重量バランスが良くなるように作っていたであろうレンズを無理に20mm前に出して使っていたので重量バランスが悪いのか1DX2で使っていたときよりも重く感じ、疲れるのではやくRFレンズにしたいなーとは思っていた。

テレコン対応

今回、テレコンにも対応した。
そのうちRFヨンニッパも導入する予定なので、1.4倍のエクステンダーは将来的にテストしようかとは思っている。

三脚座

・ネジ穴が2種類ある

三脚座のネジ穴が2つあり、細ネジ(1/4)と太ネジ(3/8)の両方に対応しているので一脚などに装着したときの剛性を高めたり、2つのボルトでプレートを固定して緩みを防止したりすることができる。
また、緩み止めのためのピン用の穴もついていたし、ネジ穴まわりの機能が充実している点は評価したい。

・90°ごとに目印がある

RFマウント版の伸縮ズームにも目印はあるらしいが、EFマウント版は鏡筒に目印がなくて三脚座のどの位置が水平なのかがわからなくざっくりとしていたが今回は目印があるので三脚座の向きを調整しやすい。

・三脚座の高さがいい感じ

EFマウント版の70-200mmの三脚座は背が低くて一体型機ではレンズフードが机についていたが、今回は三脚座の高さがいい感じで三脚座で接地できるようになった。

悪いところ

価格

はっきり言って、このレンズはハイスペックだが流石に高すぎる。

レンズフードの幅が広い

レンズを下にしてレンズフードで立てたときの安定性はレンズフードの径が大きいほうが良いのかもしれないが、ボディごと倒れるリスクもあるし撮影現場でレンズを立てるのは危ないのであまり行うべきではないと考えているので別にレンズフードの幅が広くある必要はないと思っている。

個人的には、レンズフードは運搬時のカメラバッグでの収まりを考慮してレンズの鏡筒と同じくらいのギリギリの径で作ればいいと思っている。


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