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一脚を選ぶ

久しぶりに一脚を新調したので、カメコ現場で想定される一脚に使い方も考慮に入れてシーン別に一脚選びについて書きたいと思います。


GM4552L

実際に買ってきた。
全長1.9mなので踏み台や脚立使用時にも対応可能で、パイプもしっかりしてるので剛性も高いし、いい感じだ。

使用シーン別に必要な長さの目安

1,立ちで使う場合

普通に立った状態で使うシーンでは170cmくらいの身長では140cm弱くらいの長さが必要な場合が多いです。(一般的に、超望遠の単焦点レンズなどのレンズフットがあるレンズでの使用時はレンズフットの分レンズ側の背が高いので一脚の高さは数cm下がる)
基本的に、市販されている一脚のほとんどは1.6m弱くらいの長さなので身長1.9mくらいあるような大男じゃなければ一般的に販売されている一脚で立ちの状態で使い場合は長さが足りないことは考えられないので、長さの心配はあまりないです。

2,座りで使い場合

自宅の普通の椅子に座って(足がつくくらい)、適当に伸ばしてみた感じでは1m弱といった感じなので基本的にどの製品でも特に問題ないなって感じです。

3,脚立や踏み台で使う場合

カメコ現場で考慮すべきシーンとして、踏み台を使うシーンがあります。踏み台を使用した場合、最大で立ちの長さ+50cm程度の長さを考慮するべきだと思います。

4,遠征

遠征で考慮するポイントとしてはスーツケースに入るか入らないかが大きな境目になると思う。入らない場合には一脚用のケースに入れて持ち運ぶか、カメラリュックの三脚用の固定部分とかを使って運んだりするが、カメラバッグの表面に一脚や三脚が付いているとカメラリュックがバランス悪くなって自立しなくなったりすることもあり結構邪魔なのでスーツケースとか他の手荷物に収まったほうが長距離の遠征のときは快適だ。
機内持ち込み対応のスーツケースなら55cm以内(50cmくらいが無難)、普通のスーツケースなら60cmくらいでも入るとは思うが、1泊2日くらいの遠征であまり大きいスーツケースを運ぶのは無駄に疲れるし、送っても送料が嵩むでやはり一脚自体にはそれなりのコンパクトさがあると快適なのは間違いない。

選び方

カーボンvsアルミ

三脚、一脚を購入する時に必ず問題になる事項としてカーボンにするかアルミにするかという問題があるが、三脚で大型のものになると脚が3本あるので1本あたりの重量が嵩むのでカーボン製のメリットもあるが、一脚の場合は脚が1本だけでそこまでの重量差が出ないことと、「慢性的に金欠なドルヲタのカメコがそこまで高額な一脚を買うべきなのか?」という問題もあると思うのでアルミ製でも特に問題はないと考えている。
具体的な重量を挙げると、アルミ製の1.8mくらいのものだと1kg、カーボン製の1.8mくらいのでもので750gくらいと250gくらいしか差がないので価格差の割に重量差はあまりないのが実情である。(アルミ製でも短いものだと普通に軽いので、一脚の重量は素材よりもどちらかというと長さの方に大きく影響を受けている印象)

縮長

縮長が長い一脚は普段運んでいる時にスーツケースに入るか入らないかとか、単純に長いと邪魔なのでそのへんの使い勝手に影響してくる。
機内持ち込み対応くらいのスーツケースに縦に入るサイズのほうがスーツケースに入れやすいので快適性が高いが、そのためだけにトラベラータイプの多段の一脚を別途買うのかとか、トラベラータイプの一脚は段数が増えて下の方の足が細いので剛性が落ちるデメリットもあるので、そのへんのメリットデメリットを総合して選ぶ必要がある。

スーツケースに縦に入れば一番快適だが、もう1本買うコストやトラベラー型の剛性低下を考慮すると対角で入ればいいかなと思う(一脚が入ってる側に着替えやタオルでも詰めれば特に一脚のサイズは問題じゃないし)

最大長

先述の通り、最大長は立ちや座りの撮影では特に問題になることはないが、脚立使用時には最大長が重要になってくる。立ちまでで必要な長さと大きく違うので脚立用の一脚と立ちでの撮影用の一脚で分けるのでもいいような気もするが、一脚を2本買うのもコストが高いし、全長が短いのを持っていったけどやっぱり踏み台使うってなったときのことを考えるとやはり1本で両方に対応できる方が便利ではある。

段数

一脚の段数は全長、縮長、剛性など様々な要素に関連してくるので大事なポイントでもある。

全長、縮長:当然ながら段数の多い一脚のほうが伸縮比が大きくなるので、縮長を短くしつつ全長を長くすることができる。また、縮長がそこまで短くない一脚で多段だとより長いものになる

剛性:多段の一脚は下の方のパイプの直径が細くなり、固定部の数が増えるので剛性が低下しやすい傾向にある。

一脚選びではこのような要素が複雑に絡んでいるので、複数の要素を総合してメリットの大きいいい脚を選ぶのがよい。

ナットロック式orレバーロック式

GITZOやハスキーはレバーロック式しかない。
昔はベルボンのカーボン製三脚や一脚は大半のモデルでナットロック式とレバーロック式を選べたが、最近のラインナップを見るとほとんどのレバーロック式のモデルが廃盤になっているのでメーカーの経営上の問題でラインナップ整理で廃盤になったか、耐久性の問題で廃盤になったのかは知らないが、自分もどっちか選べってなったらレバーロック式を選ぶと思うし、レバーロック式のほうがロック機構としての信頼性は高いので安心感はある。

個人的にはメリットとデメリットを総合するとナットロック式かなーと思う。

1.8mより長い製品

GITZO

単純に機材マニアでGITOZも好きなのもあるが、高かったが私はこれを選んだ。
この後紹介するが、一番長い製品ならベルボンのほうが長いし、価格面でも劣っているが、最終的にこれを選んだ決め手として縮長の短さがある。
畳んだ状態での長さが56cmと他社の長いものに比べて5cm程度短いので、運びやすいというメリットがある。吸盤みたいな形をした大型のボール内蔵の石突から普通のゴム足に変更すればたぶん2cmくらい全長が縮むので、全長54cm程度の一脚で1.9m弱(短い足に変更するとその分最大長も少し短くなってしまうがw)の長さを使うことができると考えると伸縮比が大きいのはメリットだ。
自分が1泊2日くらいの遠征に使っている機内持ち込み対応のスーツケースにギリギリ対角で入ったのでやはり縮長が短いのはメリットがある。

【メリット】
機内持ち込み対応のスーツケースでもギリギリ入る
1.9mまで伸びる
最大長の割に縮長が短いので一般用途で使って持ち歩くにも快適な長さ

【デメリット】
価格が高い

ボールヘッド型の石突が嫌いでゴム足待ちで外してしまったのでゴム足付きで本当に入るか若干怪しいが一応入った。

GITZOの4型一脚の一番標準的な仕様のモデルにGM4542があり、最長159cmと一番標準的な仕様だが、GM4552Lと比較すると畳んだ状態での長さはこっちのほうが長いので、コンパクトさを重視するなら多少重量と値段は嵩むがロングタイプの一脚を購入したほうが実は短かったりする。

また、ロングタイプでも立ちでの使用時はロングタイプの下の方の足は使わないし、標準タイプに1段階細い足が加わって最大長が伸びるような感じなのでロングタイプだからといって普段立ちや座りの状態で使っているときのデメリットはこれといってないので個人的にはロングタイプのほうがオススメだ。

ベルボン

1.96mと自分が探した中では最長の長さだった。価格もヨドバシカメラで3万円程度とGITZOに比べても価格がお手頃で、長さもたぶん最長なので選んで失敗のない1本だと思う。
畳んだ状態で61cmと畳んだ状態がかなり長いのがちょっと欠点ではある。(長いというデメリットの代わりGITZOよりも段数が1段少なく一番下のパイプが太いのはメリットかもしれない)

あと、ベルボンは大型の石突以外に普通のゴムタイプの石突が付属品でついてきて別途買う必要がないので、その点でもコスパがいい(GITZOでは通常のゴム足は付いてこないので3000円くらい別途費用がかかるので一脚本体の価格も相まってコスパは非常に悪い)

正直、最近の撮影機材はヨンニッパやロクヨンだとしてもかなり軽量化が進んでいて5kgを超える機材は絶滅危惧種になりつつあるので一番上のグレードのモデルを買う必要性はそこまでないような気もしているので、価格とのバランスを考慮するとこれくらいの製品でも十分な気はしている。

スリック

アルミ製の一脚で、182cmあるので必要十分な長さが確保されているので脚立での使用を考えても十分な長さがあると思う。
アルミ製で多少重量は嵩むが、ヨドバシカメラで2万円程度と1.8m以上の一脚の中では最も安い価格で入手可能という点でオススメだ。
あと、重量がほぼ1kgあり一脚にしては重量が重いのがネックだがその分剛性感はしっかりしている点でもおすすめ度は高い。

一般用途にオススメな一脚

一般用途での想定重量では100-400mm+フルサイズ~縦グリなし(2.5-3kg)〜最大4kg程度
全体的な傾向として、どのメーカーも耐荷重が大きい製品のほうがナットが大きくなるので同じ最大長かつ同じ段数でも縮長が長くなる傾向にあるので、1.8m以上の一脚で紹介した製品は全体的にプロ向けの高性能な一脚を中心に紹介したが、本項では耐荷重は少し抑えめに設定して伸縮比が大きくて一般的な用途で現実的に扱いやすいくらいの製品で選んでみた。

ベルボン

縮長45cmくらいでMAXが1.6m弱が普通の立ちでの撮影で使う場合はちょうどいいところな感じはする。

マンフロット

これくらいのスペックでこの価格なら普通に剛性の高いハスキーのほうが良いような気もするが、適度に伸縮比があって縮長が短いものとして入れてみた。
レバー式のカーボン一脚はレバーのテンション調整が面倒で、出先でテンション調整が緩んだり、家で調整したテンション調整がきつすぎるとカーボンパイブが割れる可能性もあるので個人的にはナット式のほうがオススメではあるが、とはいえレバー式は便利ではある。

lefoto

一昔前では国産やヨーロッパ製のメーカーのカーボン三脚や一脚よりも安価だったので穴場感はあったが、最近は特に価格的なメリットを感じないのが実情だ。

1/4インチと3/8インチのネジ両対応で、バネで太ネジになる外側部分が出てくる構造のようだが、中空な構造の太ネジ部分の耐久性がどうなのかなど少し気になるポイントはある。

個人的にほしい製品

ハスキー

ハスキーのセミショート三脚の脚を使って作られた一脚だ。
カーボン製の三脚や一脚で空転防止機構があるやつは稀に空転防止機構が壊れて脚が抜ける故障が発生することがあるが、ハスキー製の脚は空転防止機構がないので上の脚が緩んでいると下の脚が空転してしまって緩めることができないというデメリットがある反面、空転防止機構がないので空転防止機構の故障が原因での機材トラブルがないというメリットもある。(扱いに慣れると正しい順番で緩めたり締めたりすればいいだけで、別に空転防止機構がなくても意外と困らない)
あと、全長50cmくらいでスーツケースに対角に簡単に入るし、踏み台に対応した長さではないが、地味なスペックだからこそのメリットもある。

GITZOトラベラー一脚

トラベラー一脚はあまり好きではないが、トートバッグでもちょっとはみ出すくらいの長さだし、運びやすいサイズ感なのは間違いないのでよさんがあったらそのうち欲しいなとは思う

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