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❨4❩1971.9.6 月 晴 ぶらじる丸4日目:船での生活
部屋は四人、気の良さそうな連中だ。
初日の夕食までに打ち解けて話せるようになった。
初めてとった夕食は、思っていたより豪華だった。断然気に入る。
二日目の夜は部屋の連中と二時すぎまで雑談に耽る。
体の調子の方は完調ではない。
船酔いのせいか胸が少し気持ち悪い。
飯だけは三度食べる。
朝食は、みそ汁・漬け物・梅干しと、有難いものが出た。
寝起きには体操と軽い補強をする事にしている(出来ればランニングも)。
それにしてものんびりした、ゆとりのある生活、自分は何をするにも自由なのだ。
こんな生活気分を、日本の親兄弟・友達に味わわせてやりたい。
運動と云えば甲板で倒立と小さなプールでの水遊びくらいのもの。
二人の女の子と知り合った。
一人は婚約者がいるといい、一人は向こうで(サンパウロ)住むという。
今俺の胸中は、広大な地を、自分の足で思い切り走る事で一杯だ。
強盗、事故、病気などの心配も多少ある。
でもそれは考えてもどうしようもない事であり、俺の運を天に任せるしかないのだ。
ハーモニカを鳴らしながら夕焼けがかった海を見つめていると、あまりにも静かで恐い程になる。
でもやがては、この静けさがたまらない程恋しくなるときが来るのだと思えば、思いっ切り楽しんでおきたくもなる。