2024年を振り返って
弁護士の宇賀神です。2024年が終わるにあたって、この1年を振り返ってみたいと思います。
一言でいって、「疾風怒濤」の一年でした。よく乗り切れたなと思います。
1 案件数・種類・売上
2024年の新規受任案件数は50件を超え、前年比で1.5倍超でした。
案件の種類としては、労働案件が半分を超え、そのうち特に、ハラスメント・内部通報調査の社内研修や実際の調査対応の業務の伸びが顕著でした。このほか、4分の1程度が国際業務であり、その他の4分の1程度がフリーランスといった新しい分野や一般民事案件を含みます。特にフリーランス法務は、2024年11月にフリーランス法が施行されたことから、2025年はより多くのクライアントのお役に立ちたいと思っています。
売上もまた、前年比1.5倍超の見込みです。3分の1超が国際業務であり、労働案件が3割程度ですが、フリーランス、一般民事案件でも一定の売上がありました。
2 セミナー・執筆その他の営業
2024年の1年間で登壇したセミナーは、なんと52回でした。週に1度は何らかのセミナーに登壇していたことになります。テーマとしては、2024年11月に施行されたフリーランス法のセミナー、越境ワークのセミナー等のほか、とりわけ人気があったのは、ハラスメント通報・内部通報の調査のノウハウを伝授するセミナーです。日本監査役協会様でこのセミナーを開催したときには、会場のみのセミナー(ウェブ参加は無し)であったにもかかわらず、合計約1000名(!)もの参加者にお越しいただきました。
執筆も、フリーランス法の書籍を4冊も執筆してしまいました。
『実務フロー順でわかるフリーランス法への対応』(中央経済社、単著)
『ケーススタディでわかる フリーランス・事業者間取引適正化等法の実務対応』(第一法規、共編著)
『Q&A実務家のためのフリーランス法のポイントと実務対応』(新日本法規、共編著)
『フリーランスとの取引と企業対応』(有斐閣、共著)
このほか、雑誌記事も16本公表されました。
さらに、 日経電子版・日経朝刊にフリーランス法に関する私のコメントが掲載されたりもしました。
2024年も、430枚ほどの名刺を交換いたしました。新たな出会いの多い一年であり、こうした方々に支えられて日々生きていられることに感謝する毎日です。
3 稼働時間
上記のように案件、セミナー・執筆等の営業活動があまりに充実しすぎて、前年に比して極めて忙しくなってしまいました。月平均稼働時間は230時間超、多い月で280時間超も働いてしまいました。このうちざっくり半分はノンビラブル(執筆、セミナー、表敬訪問等の営業活動の他、事務所運営に要する時間等)ではありますが、いずれにしても、モリハマでジュニアアソシエイトをしていた頃と大差ない仕上がりになってしまいました。
これに加えて、私事ですが2024年3月に娘が生まれ、出産・育児にも時間をとられることになりました。
これらによって、心身共に、ほとんど綱渡りのような毎日を過ごしてしまいました(11月12月になってようやく落ち着いてきたところです)。
2024年初めに書いたの記事では、「そもそも業務においてかなり「ヒマ」をしているので、家庭との両立という観点で問題は生じていない」とか、「仮にそれでも調整困難なほど私のところに案件の依頼が殺到するようなうれしい悲鳴の場合にどうするか。依頼が殺到していない段階で皮算用するのは詮無いと切り捨てることもできます」とか、悠長なことを書いていましたが、早速「うれしい悲鳴」になったわけです。
4 弁護士2名の参画
もはや1人で全ての業務をこなすことが現実的ではなくなったので、誰か私の事務所のようなところでもジョインしてくれる弁護士はいないかな、と思っていたところ、本当に良い縁があり、なんと一気に2名もの弁護士を新たなパートナーとして迎えることができました。青木美佳弁護士(69期)と野水俊吾弁護士(73期)です。私の事務所(宇賀神国際法律事務所)は一気に弁護士3名の事務所になったわけです。
5 今後の課題
順風満帆のように見えますが、調子に乗っていると痛い目を見ます。2025年も、高い目標をもって、しかし着実に、精進を重ねていく必要があります。
第1に、陣容が大きくなったこともあって、さらに売上を伸ばすためにどうすべきか、より一層考えていかなければなりません。これまでの取り組みを粘り強く続けることは当然のこととして、プライベートで子供が生まれた関係で海外への出張などが行きにくく、「国際」法律事務所なのにあまり海外で営業できていないのですが、超円安の昨今、海外からの案件を開拓することのインパクトは大きいので、育児と両立しつつどのように取り組んでいくか、知恵が必要です。このほか、せっかく青木弁護士と野水弁護士が参画してくれたので、2人の強みを生かし、どのようにシナジーを生じさせていくのかも考えていきたいです。
第2に、独立して2年ほどが経ち、なまじっかうまくいってしまっていることから、最近少し傲慢・自信過剰になりすぎているかなと自覚しています。初心にかえって、謙虚に、愚直に、泥臭く、クライアントの最大の利益のために尽力していくよう、自分を戒めたいと思います。
第3に、私の事務所に所属してくれる構成員(弁護士のみならずスタッフを含めます)が、個々に自由に、やりがいをもって生き生きと働いてもらう場にするためにはどうすればよいか。これも不断の工夫が必要だと思っています。もともと完全な自由がほしいと思ってたった一人で始めた事務所ですが、だんだんと、経営者的な目線が求められてしまうのかなと予感しています。
長文をお読みいただき、ありがとうございました。